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2011年11月19日 (土)

今のうちにMBAを買っておくべきだろうか。

1日1ジョブズで『STEVE JOBS』から引用してツィートしている。

付箋紙を付けたぐっとくる箇所を書き写す。読み進めるうちに、自伝のはずのこの本がグレートな経営書であり、グレートな生き方指南書であるのがわかってきた。読み終わるのが惜しい。そしてもうひとつ思ったことがある。

「今のうちにMBAを買っておくべきだろうか?」

MBA、それはMacBook Air。ギリギリまでシンプルさを追求したコンピュータ。2011年7月20日に発売された現行モデルは、ジョブズがあれこれ口を出した最後のモデルなのではないか?そんな気がしてならないのだ。

2010年10月に一新されて発売されたMBAは、iPadと喰い合うのではないか?と言われた。SSDによるクィックスタートや軽量さ、モバイルスタイルから“キーボードのあるiPad”と言えなくもない。さらにMacBook Proよりも処理スピードが速いと言われた。倍の重さ(2kg)のProとの喰い合いもあるはずだ

自社製品の喰い合いを恐れないのはなぜなのか?その答えは自伝にある。

If you don't cannibalize yourself, someone else will. (408)
「自分で喰い合いをしないでいると、誰かがそれをするさ」

だからもっと良い製品を喰い合いを恐れず出してゆく。Appleは戦略がシンプルだったから、製品も製品ラインもシンプルになった。それはジョブズという指揮者が主導する。それも“エンド・トゥ・エンド”で。

poetry connected to engineering, arts and creativity intersecting with technology, design (中略)an integrated end-to-end system (393)
「エンジニアリング、アート、クリエイティビティが、技術とデザインの交差点で結合して、詩を奏でる。それが“垂直統合”システムだ」

それは水平組織「からしか」生まれない。

Apple's great advantage was its integration of the whole widget - from design to hardware to software to content - he wanted all departments at the company to work together in parallel. (362)
「Appleの偉大な点は全体の仕掛けーデザイン、ハードウエア、ソフトウエア、コンテンツまで統合されていること。ジョブズはすべての部門が水平にコラボレーションすることを求めた」

縦型の組織から垂直統合が生まれっこない。iTunesというモデルへ乗り遅れたSONYを評してこう語ったのはA&Mの重役である。

"Steve would fire people if the divisions didn't work together, but Sony's divisions were at war with one another." (400)
「スティーブは、もし部門が一緒に働かないならクビにした。しかしSONYでは部門同士が戦争していた」

さらにジョブズはこう言ったそうだ。“Sony's never going to figure things out" (SONYはわかっちゃいない)。

これは2002年頃の話だが、今もSONYからインテグレートされた製品群が出ないのは残念。大企業Appleがなぜ水平でいられるか?その答えもある。現CEOのクックが語っている。

We don't have ’divisions' with their own P&L," said Tim Cook. "We run one P&L for the company." (408)
「我々には部門単位の損益がない。一企業でひとつの損益で走る」

ひとつ告白しよう。コンサル会社にいた頃、部門損益やさらに課別やチーム別まで損益を導入して“可視化するコンサルティング”の片棒をかついだことがある。なんてことだ。撤回したい。可視化システムの導入もナンセンスだ。恐怖であおるマネジメントをするより、真にやるべきことがある。

クソじゃない製品を創ることだ。クソじゃない製品を創らせるマネジメントを創ることだ。クソじゃない製品を創る人間で組織を創ることだ。ピリオド。

エンド・トゥ・エンドとは独裁のことではない。一貫した顧客体験のことである。それを追求する意思のことである。

Appleのそれは永遠に続くだろうか?

「ジョブズのエンド・トゥ・エンドが浸透していた時代の製品がよかったね」なんてことになる前に、現行のMBAを買いたいと思ったわけである。

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