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2011年11月 1日 (火)

ジョブズへの弔辞:OH WOW. OH WOW. OH WOW.

Mona Simpsonさんの弔辞にぐっときた。弔辞ってのはそもそもお涙ものだし、実際に知らない人への弔辞にMovedされるなんて、ぼくはどうかしている。だがぐっときたのは事実だ。The New York Timesの原文はこちら日本文はこちら(翻訳してくれてどうもありがとう)。



Mona Simpsonさんはスティーブ・ジョブズ/Steve Jobsと血のつながりのある実の妹。ジョブズは養子としてもらわれた。彼女は父が出て行った後、一人娘として育てられた。ふたりは離れ離れで過ごした。 1985年、ジョブズは才能ある作家の卵のMonaをニューヨークに探し当てた。ふたりは初めて会い、長い散歩をした。友達のように語り合った。Mona が当時コンピュータを買おうとしているのと言うと、ジョブズは“この世のものとは思えないほど美しいものを作ろうとしている”と語った。



それがApple II。皆さんご承知のように1985年はジョブズにとって転換点。彼がAppleを追い出された年だ。ジョブズがMonaさんに会ったのは、Apple IIの発表のちょっと前のように思える。

I want to tell you a few things I learned from Steve, during three distinct periods, over the 27 years I knew him. They’re not periods of years, but of states of being. His full life. His illness. His dying. 引用元

私はスティーブと知り合った27年間、3つの期間に渡って彼を知り、彼から学んだことをお話します。3つの期間は年数ではなく、生きざまです。彼の強烈な人生、その病い、死んだこと。

小説家でもあるMonaさんはうまいことをいう。死もまた“生きざま”なのである。死に様というと、どんな最期を遂げたかという死への道だが、生きざまというと最期までの生き方となる。ぼくは3つの期間を通じて、彼の生きざまを感じた。

まず美の生きざま。

Novelty was not Steve’s highest value. Beauty was.
「新奇性はスティーブが最大の価値を置いたものではない。置いたのは美でした」

革新者としてのジョブズは頑固なまでの美への忠誠心に溢れていた。例のタートルネックを好むとそれを100枚オーダーした。鯖江に注文したメガネも100本だった。

“Fashion is what seems beautiful now but looks ugly later; art can be ugly at first but it becomes beautiful later.”
「ファッションは美しいがやがて醜くなるものだ。アートは最初は醜いが、だんだん美しくなる」

だんだん美しくなるのが美。彼の創造した製品作品はどれも最初から美しいけれど、使い込むうちに愛着が深まるのは、美が埋め込まれているからだ。

ふたつ目は誠実さへの生きざま。

When Reed was born, he began gushing and never stopped. He was a physical dad, with each of his children.
「最初の子Reedが生まれたときから感情を吐き出すようになりました。彼は子供をぐっと抱きしめるパパでした」

Reedと名付けたのは、これも皆さんご存知だろうが、Reed大学で妻のLaureneと出会ったから。彼はプライベートを頑固なまで大切にする人と言われた。妹や家族へは誠実な人だった。

みっつ目は、生きること。Monaは弔辞でこう語った。

This is what I learned: he was working at this, too. Death didn’t happen to Steve, he achieved it.
「彼はまだそれを実現しようとしていたのです。死はスティーブにやってきませんでした。彼はそれを達成したのです」

This had to be done. Even now, he had a stern, still handsome profile, the profile of an absolutist, a romantic. His breath indicated an arduous journey, some steep path, altitude.
「やらなければならないこと。その時も彼は厳しく凛々しい顔立ちを保っていました。絶対審美主義者、ロマンチスト。険しい旅へ向かって、急な途を高いところへ登る呼吸をしていました」

死の間際まで「創ろうとしていた」からだろう。だからこそ最期の言葉はこれだった。

OH WOW. OH WOW. OH WOW.

何て訳してもいいけれど、ぼくはこう訳したい。

「凄いじゃないか、ワクワクするな、すぐに創ろう」

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