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2011年11月10日 (木)

ダイソンから見えてくるデザインへの執念

今日はビジネスメディア誠で連載する“うふふマーケティング”へのリードと、日本の製品デザインの四方山話です。

郷好文の“うふふ”マーケティング:なぜ他社の数倍の価格で売れる? ダイソンの掃除機をバラバラにして考えてみた
他社の数倍の価格でありながら、多くの顧客に愛されているダイソンの掃除機。サイクロンという特殊な形状を持つ同社の掃除機だが、バラバラにして、その人気の秘密を分析してみた。

銀座の時限ショップ『DYSON LAB』 で行われたイベント『Dyson Strip & Build(分解と組立で学ぶエンジニアリング)』に出かけた。ユニークな造形の掃除機をバラしながら、その吸引=サイクロンテクノロジーの秘密を解説し てくれるというもの。12月下旬までのこのショップでは、他にもトークショーや音楽ショーが開催されるのだが、分解好きのぼくは「これしかない」と申し込 んだ。


行くと掃除機がずら〜り並んでいる。ダイソン社エンジニアのAndrewさんのガイドの下で、吸引部のヘッド、サイクロン、そしてモーター本体を次々に分 解しては組立て。実に構造が知的に考え抜かれているのにびっくりした。それにもちろん国産の普及品には、これほどの知恵が詰まっているものはない。

我が仕事場の平凡な国産製品を開けると紙バッグはばっちいし、ヘッド部はそっけない。ジョイントは「つなぐ」だけで「いかに滑らかに吸うか」まで考えられていない。残念だが工夫がまったく足りない。掃除機はこうである、という設計図通りの製造品にしか見えない。

日本の製品開発、常識というやつに目詰まりしていませんか?

【日本のプロダクトデザインはザンネンが多い】
見回してみれば、日本のプロダクトは実直である。1週間ほど前にブログで書いたSONYの1979年製のラジカセ『CF−D7』にしても、機能美は充実している。良く言えば“けれんみのない”、はったりもごまかしもない実直さがある。悪く言えばつまらない。


スティーブ・ジョブズが言ったように「SONYはハイテクな外観、ガンメタルでグレイなデザイン」を追求していた。機能美の迫力で迫ってくる。それも悪く ないが素っ気ないといえば素っ気ない。彼のAppleの求めたデザインは、もっと情緒的なものだった。もっと人間の美意識を意識していた。

ダイソンのデザインはどうだろうか。“知恵と発想と汗で生まれた独創のカタチ”とでもいえそうだ。昔、著名な建築家が「形態は機能に従う」と言った。デザインは機能を求めて(あるいは機能に従って)あるべき形になるという意味だろう。ダイソンにはまさにそれを感じる。

イベントである参加者が「Appleとダイソンは似ている」と言っていた。それはデザインへの執着でよくわかる。



これはMacとiPhoneの電源部だけど、ジョブズは電源のデザインに異常なまでの執念を持った。それは消費者の家庭と本体をつなぐ部位だからだとい う。ダイソンもまたブラシやホイールにも執着する。それはユーザーの床やソファーとダイレクトに接する部分だからだ。ユーザーとの接点へ密着する執念、ど ちらも凄いものがある。

一方日本の家電製品は、ワケもなくイタリアンスポーツカーのような深紅で、空気抵抗を低下させるためか、ワケもなく流線形なのだ。掃除機に空気抵抗減は必要ないぜ、ゴミをいかに吸うかでしょう?と言いたくなる。カタチに理由がなさすぎるのだ。

ついでに日本の大半の自動車デザインも受け入れがたい。情緒寄りでもなく、造形寄りでもなく、“生産工程寄り”を感じてしまう。

日本の製造業がスタックしている理由は、ダイソンをつぶさに観ればよくわかる。そんな気がしたイベントでした。

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