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2012年2月25日 (土)

『資本の<謎>』を読んで人民は蜂起せよ!

資本の<謎>』(作品社)は資本主義的な成長が曲がり角を迎えた21世紀初頭、経済恐慌が富める国と貧しい国にどう降り掛かり、富裕層や資本家がどう動き、中間層や貧困層はどうすべきかを考える道しるべになる本だ。

著者デヴィッド・ハーヴェイは資本論をベースにしつつ「なぜ恐慌が起きるのか?」を経済学の範疇を越え、人間の欲望や人類の膨張にまで言及し紐解く。とマジメな解説を試みたものの、文科系人類には読み通すのはなかなか骨が折れた。気になったところだけつまみ食いしたい。

【資本とは永続的な循環の過程である】
本書のきっかけは2008年のリーマンショック。「なぜひとりの経済学者も金融恐慌の到来を予想できなかったのか?」とエリザベス女王が英国学士院の経済学者に訊いた。経済我苦者は書簡でこう答えた(p.293)

「今回の恐慌の時期、深刻さを予想することができなかったのは(中略)システム全体を脅かすリスクを理解する上での、多くの賢明な人々の集団的想像力の失敗に起因しています」

本書の執筆のねらいがここに圧縮されている。ポイントは2つ。ひとつは“システム全体”である。

恐慌の発生の原因は、過剰資本を金融機関同士で貸し付けあっていて、その行き場が無くなったためだ。過剰流動となった資本は、ローンの延滞者の増加でパチンと弾けた。ハーヴェイは資本を次のように結論づけた。簡潔でわかりやすい定義だ。

「資本はモノではなく、貨幣がより多くの貨幣を求めて永続的に循環する一個の過程である」(p.62)

金融資本家は利子を見返りに貨幣を稼ぐ。商業資本家は安く買って高く売る。地主は地代で稼ぐ。不労所得者は特許や知的所有権で稼ぐ。トレーダーは資産をスワップして稼ぐ。国家も成長投資をして税収を稼ぐ。これがリンクしているのだ。

【反資本主義的転換をしよう】
資本はリンクを永続的にするのが宿命である。お金の流れのリンクが欠けたとき恐慌が一気に発生する。米国で端を発したサブプライム住宅ローンへの貸し出し先こそ、“リンク切れ”だった。それは低所得者層や貧困層

その後何が起きたか?どの先進国でも政治的な“格差の拡大策”が進められた。富裕層の税を下げ、所得の低い者への貸し出しは減らす。資本家は製造業に投資をやめ、金融に投資比重を移したので雇用も縮小した。だからこそOccupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)のデモが起きて、社会が揺れだした。

ハーヴェイは提言をする。「反資本主義的転換をしよう」これが彼のメッセージである。

【反資本主義に向かって蜂起せよ!】
2つ目のポイントは、今こそ“集団的想像力”、反資本主義に向かって蜂起せよ!なのだ。このままでは資本家は富み、貧者はますます貧する。それでいいのかキミたちは?

このあたりに、この本を企画した作品社の内田眞人編集長の執念がからんでいると思う。なにしろ彼のグローバリズム思想は、人民を捨てておけないという、センチメンタルなところがあるのだ(笑)。

かくいうぼくはもっとロマンチストだ。資本家や富める者から金を引き出し、地域活性投資やアート投資をさせてやろうと小さく蜂起している。たぶん内田氏の何倍もドンキホーテなのである。

以上、読書感想文でした。遅れてすみません内田編集長!

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