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2012年4月29日 (日)

in other words〜月への夢を言い替えれば

Facebookに盟友林田浩一さんが、ほろほろ酔って仕事で語り合ったことを書き込んでいた。鼎談はやがて放談になった。キミの言うことはこうか?言い替えればこういうことさ。いや違うんだよと…。そんなふうだったとか。まあそんなこともある。Jazz好きの林田さんは書き込み後に名曲『Fly Me To The Moon』の動画を挿入していた。歌い手は小野りさ。この歌には珍しい歌い手だ。

でもなぜFly me to the moonなんだろう?疑問に思って歌詞をひろってみた。

 Fly me to the moon and
 Let me play among the stars
 Let me see what spring is like
 on Jupiter and Mars
 in other words, hold my hands,
 in other words, darlin, kiss me

 私をお月さまに飛ばせて 
 お星さまに囲まれて 遊びたいの 
 木星や火星の春って 
 どんなのか 見せてほしいの
 ほんとはね 抱きしめてほしいの
 ほんとはね キスしてほしいの

訳はぼくだが「in other words」というフレーズが気になった。辞書的には「言い替えれば」だけど味気ないので「ほんとはね」と訳してみた。

そこで気づいた。もともとこの曲のタイトルは『言い替えれば』だったのだ。次の動画は『In Other Words by Kaye Ballard 1954』、Fly me to the moonのオリジナル曲だ。

1954年に初レコーディングされた『言い替えれば』はヒットしなかった。3拍子のアップテンポな曲は62年にボサノバ風にアレンジされ、64年にシナトラが“月に連れてって”と改題してヒットした。それまではNat King ColeもSarah VaughanもShirley Basseyも言い替えずに歌っていたのだ。シナトラの曲はアポロ計画発表後だったのがヒットの原因と言われる。

余談だが「お月さまに私を連れてって」と訳すのはアポロ計画の発表以降だろう。そこには「宇宙船で」というニュアンスが強いからだ。それまでは「私を月に飛ばせて」だったはずだ。

【いろんなin other words】
改題されたとはいえ、in other wordsはロマンチックなフレーズである。そこにはいろんなニュアンスが込められる。

説明をし直すin other words」。つまりねこうなのよ、こう言えばわかってくれたかしら…諭すように話しかける。

ぴしゃりのin other words」は、わからない人ね!つまりね、こういうこと!これでもまだわかない?ぴしゃりの尖った唇が見えるようだ。

煙にまくin other words」は、ふふふ…言い替えればこういうことなんだけど…あらもっとわからなくなったかしら。洒落たフランス映画の会話のように、言葉が言葉の謎を呼ぶのだ。

Fly me to the moonのin other wordsは「わかってるくせに」と微笑みながら、もとおねだりをする「言い替えれば」だろうか。言われた男性は彼女の口にそっと人差し指をあてて「わかったよ」と言う。

そんな大人になるのが夢だったが、ほんとうに夢になってしまった。できることといえば、月という夢の周りをぐるりと何度もすることくらいだ。着陸できるかもしれないし、できないかもしれない。だがめぐり続けることはできる。夢はどんな言葉で言い替えても夢だから。

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