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2012年5月 5日 (土)

『名文を書かない文章講座』から触発されて(1)

名文を書くと酔っぱらう。

独りでニヤニヤと酔いしれるならまだしも、「まあそう言わずもう一献」と読者に絡むような迷惑文もある。過剰な修飾語、難解な表現、華麗なる語彙と比喩に満ちた文である。ぼくもそんな名文を書いたことがある。明日も書くかもしれない。「オレの文、読まないっつうのか」と読者に絡むこともあるので、この本を読んで過剰さを捨てたいと思った。

ここ数週間ぼくの座右の書である。村田喜代子さんの『名文を書かない文章講座』。

いや、座右というのはおこがましい。まだレシピを見ないと作れない料理人のように、あちこちページをたぐっては材料や調味料を確かめている。たぐったページに付箋紙を貼って、一文一文を書き写し作業中だ。本書の感想を二回に分けてまとめたい。

【プロの文章を書き写す】
芥川賞作家の文章レッスンは『基本編』『実践編』『質問編』『独習編』そして『鑑賞編』に分かれる。もの書く人にはテーマ選定、構成、地文やセリフ、タイ トルなどの解説の実践編が直接的に役立つ。本来ここからだが、まずは「忘れていたあのこと」を思い出させてくれた『独習編』から。

プロの優れた文章を原稿用紙に一字一字書き写してみよう。これは、昔から多くの人々がやってきた練習法だけにあなどれないものがある。(同書P278)

村田さんはそのわけをこう述べる。

 「書き写しながら自分ならどう展開していくか、どういう言葉を用いるか」
 「面倒でも原稿用紙に一字一字、読点や句点まで筆写するすること」
 「そうすれば文章の密度や速度、展開法を自得できる」
 「短編小説全文を一度書き写すことをすすめたい」

なるほどこれはやるべき。まず敬愛する向田邦子さんのエッセイでやろう。と思い立つと悪いクセが出て来た。第一にそれに心を奪われて他のことをしない。第二にカタチから入りたがる。今夜はカタチが手元にないので、カタチを不乱に探した。それは「原稿用紙」である。

【名文を写筆するために原稿用紙を選ぼう】
レポート用紙カットの原稿用紙は学生ぽくってイヤだ。紙片タイプは敷居が高い。ノートタイプの原稿用紙を探した。

ライフ 原稿ノート』。定番でカタイ選択。紙質がいいし、ノートを熟知している会社だ。だがB5サイズなので開くとB4というのが大きすぎてひっかかる。一冊420円。

バンキッシュ400B5ノート』も見開き400字詰め。5冊組で675円はリーズナブル。


キョクトウの『二百字帳』はA5サイズ、見開き400字(30枚)である。一冊147円10冊まとめ買いは1,323円)もリーズナブルだ。ぼくのチョイスはこれだ。

おもしろいのは『天声人語ノート』。PR文より「朝日新聞の1面に毎日掲載されている「天声人語」を知らない漢字や言葉を辞書で調べながら書き写し、文章の構成力やリズムを身につけませんか」まさに村田さんの主張だ。天声人語は602字〜603字、ボケ防止にもいいらしい(笑)。

残念なのは無印ノート。安くて気軽に買えていいじゃないか、と思ったら廃番。画像は嘆いている人のサイトから。これに限らず無印は最近廃番が多い。「定番がいつでも買える」のが無印じゃなかったのか?無印の良さを捨てるか?これは余談である。

【名文の水や養分】
ところで「何のために書き写す」のだろうか?「写す」のだから「真似る」のだろうか?もちろん違う。あたかも画家がデッサンをするように、どんな文にも共通する普遍的なこと(表現、テンポ、展開、五感への効果…etc.)を学ぶためにする。

名文の観察は日々の観察に通じる。

文 章力とは何か特別に開発する能力ではなく、そんな(人に会う、仕事をするなどのインプット)日々の観察や思考が総合した営みだろう。決して生活や日常から かけ離れてはいない。基盤の生活が貧しく狭く偏狭ならば、その根から汲み上げる水や養分も少なくいい文章は育たないからだ。 (256)

水や養分をどう吸い上げるのかといえば;

私がいつも感ずるのは、人間嫌いでは文章はなかなか書けないということだ。人の話を煩わしがるようでもいけない。一人で机に座って孤独を守っていても授かり物はない。外には出て行こう、人には会ってみよう、である。(270)

プロの文章を書き写す。外に出かける。人にあう。感じたら文でデッサンをする。明日も本書の感想をまとめたい。

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