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2012年7月17日 (火)

ギャラリーに何をしに来ますか?

体が疲れたときは体を休めればよい。心が疲れたときは癒せばよい。それをする「どこか」をもっていればよい。

今朝は体の疲れが出てつらかった。瞼の裏を見るだけの二度寝か三度寝をして、気合いという名のジャッキで体を持ち上げて、ようやく家を出た。仕事場についてギャラリーの開場準備をすると、お客さんがやってきた。よおしファイト一発!リポビタンDを飲んだのだが、ファイトの代わりに眠気が出て、cherryさんがやってきた後、しばらく午睡をとった。

起きた後は頭痛も小さくなり、チラシづくりなど手だけ使う仕事をした。「帰ってください郷さん」とcherryさんは言った。

「いやこの暑さじゃバターになるし、早退しても家で邪魔扱いだから…」

がんばってここで仕事をしていた方が、いくらかは休まるのだ。そういう性分でもある。

そうこうするうちにギラギラの暑さは和らいで、日暮れてきた。いとおしい影の時間が近づいている。するとギャラリーにひとり、女性のお客さんがやってきた。訊くとこの近くで働いているという。

「ちょくちょく来ているんですが、写真展と聞いて癒されるかなと思って」

はいじっくりご覧ください、とぼくは下がって麦茶を出そうと思った。だが彼女は言葉をついだ。

「きっかけは神社と花の絵の展示会だったんです」
「あ、瑠璃白さんですね」
「そう。それで彼女のブログも読んで…」

携 帯電話をパチンと開いてみせた。待受画面には、神社の絵を描く瑠璃白さんの作品があった。彼女の絵を待受にすると良いことがあるという言い伝えがある。と いうと大げさに聞こえるが、ほんとうに何人もの人に良いことがやってきている。もちろんぼくのiPhoneの待受も彼女の絵だ。

立ったまま、彼女は自分の身の上を語りだした。

こんなことがあった。あんなこともあった。あの人とはこうだった。だけどおとつい、こんなメールがあって昨日最後に会って、すっきりとしました。別の人から、こういうこともありました。男性の心ってびっくりしますね…うんぬん。はっきりは書けない。だがこんなこと初対面で聴いていいの?というプライベートな内容でした。

「こんな身の上話を誰にもしないのに…」どうやら彼女はすっきりしたらしい。
「そう語れるのも瑠璃さんの待受のおかげ、かもしれませんね。また語りに来てください」と言うと彼女はお辞儀をして去っていった。

スタッフルームに戻ってcherryさんに言った。

「身の上話を語られたよ」
「遠目で見てました。誰かに話したかったのかしら」

すると、入れ替わりに若いカメラボーイがやってきた。白黒写真に興味があるという。そこで写真家の酒井敬司さんから聴いている範囲のことを、巫女さんになって教えた。カメラボーイはうんうんと頷いて「写真を撮ってもいいですか?」と訊いた。ぼくは「もちろん。全ての創造はマネから始まるんだから」と答えた。彼はしばらく写真作品と語りあっていた。

以上が今日、印象に残ったふたりのお客さんであるが、ギャラリーというものの存在意義をあらためて教えてもらった。

ギャラリーには絵を見に来るだけじゃない。癒されたくてやってくる。語りたくてやってくる。知りたくてやってくる。願いを叶いたくてやってくる。「行きたいどこか」に応えられるギャラリーになりたい。

そこでどんなアートをプレゼントしようか。

暑かった分、今日は夕陽が綺麗でした。坂を登ってゆく夕陽。紅いライトを自動車のテールランプと見るか、都会の太陽と見るか、心と体の赤信号と見るか、それとも明日への燃料噴射と見るか、すべて心の持ちよう。それを知らしてくれるアートがいい。

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