« ことばを縮ませる力 | トップページ | フェイスブックは無添加な言葉遊び »

2012年8月 4日 (土)

松井秀喜はガォーっと吠えないのか。

ベテランに差し掛かるときの生きざまで、いろんなことがわかる。受け容れるか、転じるか、貫くか。「ベテランはつらいよ」が、今年2012年のイチローであり松井秀喜である。

イチローは10年所属したマリナーズから自らトレード希望を出して、不利な契約を呑んでヤンキースに移った。打順は一番以外でも、守備位置がどこでも、控えに甘んじても文句は言わない。移籍後もそこそこの結果を出すのはさすがだけど。

松井は開幕後も所属先が決まず、ようやく雇われたレイズでは結果を出せず、不完全燃焼のまま(と新聞報道ですが)クビ。ヤンキースでの7年の後は、エンゼルス、アスレチックスと1年ごとに“転職”で、今年は2ヶ月しか働いていない。はたしてカムバックできるのか…。

海の向こうのことだし、野球記者でもないぼくだが、ふたりにちょっと哀しい共感をおぼえている。身につまされている。

まず「もはやヤンキースの松井じゃない」。

当たり前だが、契約があったゆえにヤンキースの松井だったのだ。浪人の今は、バットが振れる一人のオジサンに過ぎない。とすると“松井”をつくっていたのは、実は松井自身ではなく、巨人やヤンキースという「ブランド」だったのか?

スターの彼でさえそんなものなら、ペエペエの一般人の我々の存在は、会社というブランドがなければ何にもない。『社長島耕作』も会社を辞めれば『盆栽島耕作』なのだ。それなのに所属先会社の悪口なんか言うのは、ほんとうに儚い。

し かも松井は一流会社から二流へ転職した。“天下り”で良い業績を残せる人は少ないでしょう。「前の一流会社ではこれこれだった。お前らは二流だ」という目 線になりがちだし、逆に腰を低くすれば、今度は一流の価値がないと言われる。前職の財産を使い切ればアウト。成功する転職とは常にランクアップなのだ。

一方、二流会社のNo.1から一流の下位ポジションへ転職したイチローには「転職力」があった。

打撃は落ちても守備力、走力がある。転職の成功は“持ち札”である。ぼくの最初の転職力は“リサーチスキル”だった。それと英語力で数年もたせた。次の転職では持ち札はほとんどなかった。入社できたのは偶然で、だから“空中給油”で持ち札をつくりながら働いた。

そこでもうひとつ、たいせつなものがあるのに気づかされる。「適応力」だ。

一番から八番に降格でもフィット、右翼でも左翼でも守れるイチロー。チャンスに強いという打棒にかけるしかない松井。明暗を分けたのは適応力だ。サラリーマンの世界では市場価値とも言える。

だがふたりともバットマンなのだ。数年前のTV番組で、ふたりはバッティング談義をしていた。素人には入れない、野球の奥深い世界。まさに“求道者たち”に見えた。その姿を思い出すと、真の問題は「受け容れるか、転じるか、貫くか」の選択でもある。

生き残りを賭けて条件を受け容れる。日本球界に転じてもう一度やる。いや貫いてもう一度メジャーで輝く。

そこで野茂英雄を 思い出した。1995年、力ずくで日本からメジャーに挑戦し、日本人選手へ道を拓いたパイオニアだ。彼はドジャースで大活躍したあと調子を崩し、他チーム を転々としたが、力ずくでドジャースに復帰した。二桁勝利を続けて再び輝いた。スゲー男だった。彼こそドジャースの野茂というより、NOMOなのだ。


引用元

今のところイチローが一歩リードだが、松井秀喜はガォーっと吠えないのか。

|

« ことばを縮ませる力 | トップページ | フェイスブックは無添加な言葉遊び »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/158074/46584360

この記事へのトラックバック一覧です: 松井秀喜はガォーっと吠えないのか。:

» 万年補欠から4番バッターに・・・ [3日で一流の打撃コーチになれる指導法]
基本に忠実に地道に自主練習すること。それが実力をつける方法です。あなたも基本的なバッティングの理論を身に付けて子供や選手たちの良いコーチとなり威厳を見せてやりませんか? [続きを読む]

受信: 2012年9月 1日 (土) 10時27分

« ことばを縮ませる力 | トップページ | フェイスブックは無添加な言葉遊び »