ことばを縮ませる力
2010年に8月1日をゴロアワセでIKEAが制定した。この外資系会社はちょっと堅い日本語もあるけれど、他のどんな外資より日本語をたいせつにしている。今日家庭に到着しだしたIKEAカタログ2013年版、表紙には『部屋はどこまで遊べる?』。さっきデザインを学ぶベトナム人留学生に、一冊進呈してきたから、手元にない。昨日のプレス資料の画像で失礼。
カタログの新しい仕掛けAR(拡張現実)もサクサク動いておもしろかった。とはいえ今回のIKEAのテーマは「狭さを遊ぼう」だ。IKEAは数年の調査の結果「日本人は片づけ下手」と分析して、スキマプロジェクトなる狭小空間を活かす展示をした。
だが思えば日本人は、狭いなりにも我が家を楽しんできた民族。畳に箪笥、卓袱台に火鉢という、非常にシンプルな住まい方を江戸までしてきた。俳句、短歌、川柳は、花鳥風月への思いをたった数行の文字で表してきた。扇子や提灯、屏風には縮ませる美学がある。
日本人の感性とは、そもそも狭さを遊ぶ美学にあったのだ。
それが西洋化され、どんどん家具や物が増えて、狭くてモノに溢れてしまった。感性も鈍った、いや消滅しちまったのかもしれない。なんたることだ。いや嘆くこともない。実は「言葉を縮ませる文化」が広く浸透しつつある。
ツィッターでありフェイスブックだ。
日本はアクティブユーザー比率が高く、ツィート/アップデートの内容も濃いと言われる。五輪だってツィートの嵐だ。捨てたもんじゃない。縮ませる美学、ここにあり。
何 しろ言葉には、たったひと言で人を奮い立たせる魔法がある。「ぼくには君のようにはできないよ」と言われれば、ぎゃっとヤル気を出すものだ。何しろ心の形 は「じょうご」。何でも入れられる広い間口のときもあれば、逆さになって何も入ってこないときもある。逆さじょうごを元に返すのは「言葉」である。Let the words go forth(まず言葉ありき=JFKの言葉)と言うでしょう。
そこでもうひとつ言葉のサービスを考えた。
巷のフェイスブックのセミナーは、結局「いかに集客するか」だけど、それは興味がない。「ことばを縮ませて遊ぶ講座」。句会ではできない、瞬時に世界に伝わる可能性のあるフェイスブックやツィッターで、言葉遊びをする。縮ませ方の助言なら少しできそうだ。
さて今日まで3日間連続で、図らずも「言葉の新しい事業」を提案してきた。
1、ことばの媒体・売り方のイノベーション
2、暮らしの中のことばのデザイン
3、ことばを縮ませて遊ぶ講座
ことばは「読む聴く話す書く思う」と人の根幹道具である。道具だからメンテナンスもいるし栄養もいる。まだできてないことがある。そんなことを思ったわけであります。以上。
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