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2012年9月 2日 (日)

蝉しぐれ〜染色体は音符になった。

雷雨が蝉の羽根を湿らせて、暑かった夏を惜しむメロディのように、すず虫の唄がひろがった。そのコーラスを前奏に聴きたい美しい曲がある。『蝉しぐれ』by MIMOさん。

ぼくが好きなくだり。くだりというわりに長いかしら。

親とは こんなにも
胸こみ上げる 愛しさ 強さ そして 優しさ
おんなじでしょう?
たとえ どんな 悲しいことに
この身が 打ちひしがれても
ただこの子を 守るために 生きていくから
もの言わぬ 我が子に教わり 自分も 愛されてた
その想い 気づいて 涙 にじんでいます

この曲が心を打つのは「みもちゃんにしか書けない言葉」があるからだ。自分のことを隠さない。子のことも隠さない。思ったままを描いている。ナマだから強くて、優しくて、じんとくる。

歌詞に目がゆきがちだけどボーカルがいい。太陽に向かってすっくと立つ向日葵のように、明るくて強い。画像もいい。向日葵や玉蜀黍がいい顔している。登場するMIMOさんには黄色がよく似合う。太陽、花、麦わら帽子…キラキラしているからかな。

この曲はMIMOこと酒井 美百樹さんがつくった。タレントのバックコーラスもされるシンガーソングライター。作詞作曲からビデオまですべてひとり。youtubeにアップした画像は、ナチュラルな“家族のアルバム”で構成した。ベタすぎずハマっている。

お母さんの詩のコンペに書いたら?と言われて「え!あと一週間しかないじゃん!」と作った曲は、詩のコンペなのに「曲がないと書けない!」から曲から作ったそうだ。どんだけ歌手なの?(笑)。でも自分の存在地点をもつ人は、そこから考えるもんだ。

さて「もの言わぬ 我が子」というくだりは、ソングライターのダウン症の子供のことだ。

ダウン症は体細胞の21番染色体が1本余分にあって発症する。外見も内側も病気になる率が高くなる。「1本多い染色体には、優しさと可能性が詰まっている」とダウン症の子をもつある親が、母から言われたそうだ。いい言葉だ。

考えてみると、ぼくらも1本多いかもしれない。それも良くない1本かも

それは、いじめを見ても何も言わない、しぃーっとの人差し指かも。
それは、弱い人を見てみぬ振りする、ひとつ目かも。
それは、考えないフリができる、心に穴を開けるドリルかも。

そんな1本はいらん。だがMIMOさんの子の余分と言われる1本には、音があった。

1本多く染色体を持った子は、それを母に渡した。母の手に渡った時それは音符になった。母はそれをつかって五線譜を美しい曲で埋めた。

MIMOさんに歌があってよかったね。この曲はきっと広まる。なぜならその音符には愛を伝える染色体があるからだ。

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