マーケティング・マネジメント

2008年7月 6日 (日)

あふれる、まとめる、ゲットする“ポイントカード”

 先日始めて飲んだお茶があった。台湾の『BOBA tea』。これ美味しかった。

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 BOBAとは黒いタピオカのこと。杏仁ミルクティを頼むと、“ちゅるちゅるニュルニュル”のタピオカがゴロンといくつも底に沈んでいる。太いストローでミルクを吸うと、BOBAが不意に口の中で踊る。これ快感!おっと、テーマはBOBAではありません。

【hmm…なアドバイス148.あふれる、まとめる、ゲットする“ポイントカード”】
 同僚Cherryさん、注文時に何気なくポイントカードを出すじゃないですか。ポンと押してもらう。10個でRサイズの飲料ゲット。彼女はすでに常連である。バッグからカードを出した彼女に訊いた。

「ひょっとしてポイントカード入れって、持っているの?」

 すると持っている」というのだ。ほお!見せてもらわなかったが、オナゴはそんなモノまでも持ち歩くのか!改めて敬服つかまつりました。

【ポイントカードマニアは何枚所有するのか?】
 わたしゃポイントカードを作っても無くすクチ。最近、貯まって使ったのはタイ飯屋のティーヌンだけ。持ち歩くのはタリーズ、文銭堂(甘味)、しゃぶ楽、ダイエーのお買い物袋カードくらいだ。一体オナゴは何枚のポイントカードを持ち歩くのか?

13 ニフティの小ネタにあった事例は47枚も。

 そのウチ20枚は使用済みパスネット(寄付に使えると聞いたため)だから実質は27枚。それでもすごい枚数。彼女の場合、ポイントカードのせいでお財布がパンパンで閉まらない。単なる整理ベタなのかもしれないですね。でも、皆さんの周りのオナゴも持ち歩きで10枚以上、家にあるのはその何倍もあるはずだ。

【カードはジャバラで出し入れ】
 そんなポイントカード・マニアの需要をねらって、キングジムではポイントカード保存ケースを販売している。

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 キングジムの『スキットマンシリーズ ポイントカードケース』。探しやすく取り出しやすいジャバラ形状がポイントだろう。カード入れを開けるとジャバラが開く。ここに15枚までのカードが収納できる。これなら無くさないだろう。価格は1,050円。

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 ポイントカードケースを買ってもポイント付きますか?

 クレジットカード入れと一緒では持ち運びできない。名刺入れと一緒ではたしなみ上、ちょっとね。結局専用カード入れがよさそうではある。

【電子ポイントもさらに戦国時代へ】
 もちろんポイントは紙スタンプからIT化の時代だ。JR東日本とヤフーは「Suica ポイント」と「Yahoo! ポイント」を相互交換できる「ポイント交換サービス」を08年7月8日から開始する。出張し、エキナカで食べ、夜はオークションもする日本人類にはビッグな提携となる。

16 ペンギンもヤッホーと啼く

 だが他社ポイントの流入は自社販売の値引き原資になる。お客は増やしたいが、移行が多すぎると利益低下につながる。だからこれまでポイント提携は一種の“ババつかみ”とも言われた。そのババ引きを回避するため、両社は交換に15%の手数料を課す。100Suicaは85Yahoo!に、100Yahoo!は85Suicaに、それぞれポイント交換。賢いポイント消費者がこれをどう読み解くか見ものである。

【hmm…なアドバイス】
 ポイントカード、顧客のつなぎ留め策であることは間違いない。だがそれは値引きだろうか?

 20回来店で1回ランチがタダなら、@800円として40円の“実現値引き”である。使用前は未実現値引き、カードをなくせば喪失値引き、使ってくれて始めて実現する値引き。その実現値引き、カード交付数の2〜3割がせいぜいなのではないか?

 ポイントの還元率や値引率、他社との交換比率など“値引き原資”のことを気にしがちだ。大手量販店ならそれでもいいが、一般店舗が留意すべきことは違う。

 ひとつはポイントカード・ゲット率、つまり「ポイントカードを作りますか?」と訊いて「はい」と言ってくれるお客さまの数、あるいはレジに置いておいて手に取ってくれる数がゲット率だ。それが低下するとき、何か理由がある。

 もうひとつは配布数に対するポイント満了の“あがり!率”。満了までゆかない・紛失されるのは“その気がない”から。どちらも配布枚数の減り数と回収数でかんたんにわかる。「店舗がおかしいかな?」という予兆は“ゲット率”と“あがり!率”で見えてくる。今日は以上です。

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2008年6月25日 (水)

“おしぼり”ビジネスセミナー開催のお知らせ

ビジネスメディア誠で連載する“うふふ”マーケティング『お前が変えてみろよ、おしぼりの価値観ってやつを』、このエッセイでの主役、おしぼり会社若き二代目、藤波克之さんを招いてビジネスセミナー開催をいたします。

 『ウチの会社を変えよう!イメージ刷新からの ぎゅっと“価値観改革”

Photo おしぼりドビーくんより。

開催日時 2008年7月24日(木) 1400~1630 
場所     ビジネスブレイン太田昭和 南麻布事業所 (港区/白金高輪駅)
主催   株式会社ビジネスブレイン太田昭和
協賛   株式会社藤波タオルサービス

 第一部では“おしぼりの価値観を変える”ために、革新的な事業展開をしている藤波タオルサービス(本社国立市)の経営戦略室長藤波克之氏を招き、同社の本業強化戦略(おしぼりレンタル) 、新市場戦略(香りのおしぼり、Web・リアル通販等)、おしぼりブランド戦略(おしぼり漫画、フリーペーパー、おしぼりJapan等)を、熱く語っていただきます(冷たいおしぼり付きの講演です)。

 第二部、第三部では、ウチ(会社)とソト(お客さま)の価値観を変える改革を、原点へのこだわり、新市場開拓・既存市場強化のフォーカス&バランス、“改革のすぺり台”を転げ落ちない“起点人材”からの出発、「これまでどおりでいいや」という“心のワナ”を越えて本気にさせる方法を、原点からのビジネスモデル改革とモチベーション改革の観点から、弊社コンサルタント(郷、榎谷義明)がラップアップします。

 会社は堅気ですが、これは堅っくるしくないセミナーにします。正式募集前に、“先行予約”を受付中(聴講者は30〜40名を予定)。今こそ突破口が必要な経営者、明日の経営マインドをフツフツさせる方がメインですが、ご興味がある方優先です。聴講ご希望の方は郷まで(ygoアットbbs.co.jp)、「藤波タオル、聴講希望」とメールでご連絡ください(※アットを@にする)。折り返しギュッと連絡します。

追記:おっと藤波さん!今週の『R25 』にも登場してます! (6月27日~7月10日)
     いよいよ聞き逃せないぞ!セミナーパンフレットはこちらです。
           「seminar01.pdf」をダウンロード (まだβ版)

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2008年6月16日 (月)

間接部門のフリーアドレスに見えた、キューピーのイズム

 これは珍しいな!と思ったのが、キューピー工場間接部門でのワークスタイルです。先週のゴーヤーの記事に続いて、またしてもキューピーですが、わたしはキューピーの回し者ではありませんし、特にマヨネーズ好きでもありません。どちらかと言えばドレッシング派。

 フツーは営業とかコンサルの会社で導入される“フリーアドレス”、それを間接部門でという記事を読んで、なるほどこの会社は活き活きしている、楽しそうと思いました。ゴーヤーからフリーアドレスへ、ちとおおげさですが“オフィスの自由の意味”が今日のテーマです。

【hmm…なアドバイス131.間接部門のフリーアドレスに見えた、キューピーのイズム】
全国に9工場を抱えるキユーピーの生産本部の間接部門で、従業員の座席を
固定せず毎日自由に席を選ぶ「フリーアドレス」の導入が進んでいる。フリー
アドレスを営業部門で採用する企業は少なくないが、生産本部の間接部門に
導入する事例は珍しい。現在、6工場にまでフリーアドレスの導入が進んだ。

引用元 日経BP  

0616_ph01  
 キューピー仙川工場では5つの部署をひとつにして、無線LAN+ノートパソコンを配った。

 コンサルティング会社やIT会社ではもはや珍しくなくなった“フリーアドレス”。座る座席を自由にして施設コストを削減するもの。もちろん社内の“異職種交流”による仕事改善の意識への向上も目的のひとつだが、ホンネは業務コストを“安く上げるため”である。

 特に間接業務は、その名前通り間接的なので本質的に減らすべきで、究極はゼロがいい。キューピーでは工場の(たぶん間接部門の)社員から『複数ある間接部署を1部屋に集約し、席を並べて一緒に仕事をしたほうがよいという意見が出てフリーアドレスを導入した。

【間接業務=情報の製造ライン】
 実際はどんな具合なのだろうか?以下、取材したわけではないのでわたしの想像です。5つの部署は場所をひとつにして、機能は簡素化(重複した業務を削減する)しても、それぞれの機能(例:品質管理、衛生管理etc.)は消滅しない。

 だから各担当者が当日の業務がもっともやりやすい机(ホワイトボードのソバ)に座る。特定の人と打ち合わせが必要なら並んで座り、個人作業なら離れて座る。ある日の情報の扱いが、キメ打ちで処理する“セル生産型”なのか、流れ作業の“コンベアライン型”なのかで、座る位置を変える。

 同社の業務改善活動『HIT活動』は“間接業務=情報の製造ライン”とみなすそうで、そこからの発想だろう。これを自発的にできる社員がそろうとは、さすが優良会社は違う。脱帽です。

【事業計画にもそのイズムが見える】
 間接部門のフリーアドレス、単発のアイデアではない。同社の中期経営計画(07〜09年)の中でも具体的な数字を上げて、“グループコストの低減”を上げている。

0616_03  中計より。

 この“グループ”という言葉がミソだ。“情報の製造ライン”という考え方と同じで、調達・生産・販売を個別プロセスではなく、つながったプロセスと見なして物流を考えようというもの。お客さまを向く“イズム”と言っていいだろう。お客さまを向くとき“機能(調達・生産・販売)”は必要だが、それは“組織”ではない

 おまけですが、同社のこの中計は良くできている。参考になりますので見てください。

0616_02  
 ぐっときた中計の中の一ページ。

【hmm…なアドバイス】
 こうした提案活動がうまく運営されるのは“内部結束”のタマものである。

 フリーアドレス=オフィスの効率化に関連して、最近は入退室管理システムや指紋認証が一般化してきた。それも必要だけれども、むしろ組織は内部から崩壊しやすい

 個人情報保護を究極にするとどうなるか。「面接で何も聞けなくなりますね」と知人のコンサルタントが言った。厳密に運用するなら、名前はいいとしても、出身地や学校はもちろん職歴や学歴も聞けなくなる。男か女かさえ聞けない。性転換しているかもしれないからだ(笑)。マジメに言えば暴力団や活動家が入り込むスキができる。保護を強化すると内部崩壊のリスクが大きくなる。だとすれば皮肉だ。

 フリーアドレスがコスト面だけでなく業務まで含めて成功するのは、内部結束があるときである。価値観があるレンジで一定であり、協調して働こうという意識が生まれ、実践されるときである。社内でさえ“アイデアを奪われる”という意識があるのではダメだ。サツバツになり「僕、XXX君の隣に座りたくないもん」ということになる。今日は以上です。

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2008年5月16日 (金)

ビジネスメディア誠連載リスト

ビジネスメディア誠への連載、07年9月から早いもので8ヶ月経ちました。ご購読誠にありがとうございます。 かねて、書いたものをリスト化したいと思っていました。多少順不同はありそうですが、ご容赦ださい。リード文を含めた“フルリスト”は今日夜にもアップします。

【モノ】 照明を売らない照明器具「LivingColors」はどこが新しい? 31

【販促】 観る人の想像力をかきたてるバーチャルな映像広告とは——Free Format 85

【モノ】 犬も猫もみなハンコになる——ワン書体印鑑 48

【販促】 小雪&綾瀬はるかが六本木ヒルズをジャック!——伝えたいことは何? 13

【事業】 自分の帽子を探して——個人を結ぶ地球サイズのビジネスの可能性 17

【事業】 途上国から世界に通用するブランドへ——マザーハウス 14

【文具】 モノだけでなく、心も満たすリフィル文具 63

【音楽】 女子アナと和紙スピーカーから、“環境と音”の調和が響いた日 12

【モノ】 口に出せないメッセージは温めて——Toast Messenger 45

【販促】 資生堂・白TSUBAKIの女優たちには“ワケ”がある 70

【販促】 Think Store Different——アップルストアの秘密 28

【販促】 贈る人も贈られた人もわくわくできる——“仙台小箱”に隠された秘密 36

【デザイン】 ユニバーサルデザインはみんなを包み込む——Udea 38

【販促】 水商売から学ぶ“癒しサービス”の価値向上法 30

【エコ】 郵便に将来へのエコメッセージをのせて 7

【モノ】 無線LANフォトフレームで“アルバム・ビッグバン”の時代へ 281

【販促】 ハニカミ王子に学ぶ——スポンサーがお金を払う“3つのB”とは? 16

【からだ】 Wii Fitが“続く”3つの理由 27

【販促】 擬音語・擬態語で、グ〜ッとマーケティング上手に 29

【モノ】 スイーツ男が増えると、マーケティングが変わる 308

【販促】 “問い続ける男”が教えてくれる、“続けさせるマーケティング”—アウディ -

【音楽】 私がiPodを聴く気になれなかった理由 -

【文具】 ギアチェンジにこだわった多色ペン“リポコン4”を検証する 16

【愛と性】 早割でも遅割でも、ご結婚は計画的に -

【愛と性】 愛の告白がマーケティングを救う 47

【からだ】 寄せて上げて“緩める”マーケティングとは? 21

【事業】 お前が変えてみろよ、おしぼりの価値観ってやつを  141

【文具】 ドイツ製の“X”を見て、再びさすらいの旅が始まる  483

【愛と性】 まだまだ修行不足、“女を知る”は難しい 72

【生活】 片付けが上手な人にあって、下手な人にない「3つの力」 419

【愛と性】 なぜ私は、にしおかすみこが好きなのだろうか? 28

【エコ】“時計回り”の風力発電ライトが、地球へ善き心をもたらす 33

【からだ】 メンズネイルは流行るのか?——その価値は“領空侵犯”にアリ 17

【エコ】 “楽”ecoギフトで“エコストレス”を取っ払おう!

 タイトルの右側の数字はポチ、つまり「ポイント」です(2008年5月15日現在)。たいしたレベルになくて“汗”ですが、誠の読者層の嗜好はよくわかります。モノ系に集中するのは、読者層が男性で、デジモノ好き、わかりやすさでしょうね。販促系はそこそこ、エコ系は伸びなやむ。個人的には愛と性(さが、ですから)が好きなのですが、男性読者にはあまりウケないようです。知り合いの女性には、愛と性のテーマばかりウケていますが。

 力を入れて書くとかえってハズれ、脱力したテーマがかえって高得点。これは、この世の無常を感じます(笑)。もっともポイント=PVではないので、相関がどれほどあるかわかりません。ポイントが低くても、ビジネスメディア誠で週刊トップを取った週もありました(スイーツあたりに2度ほど)。さらにポイントシステムが壊れていた期間もありますので厳密ではありません。

 何かの際に、ご購読をよろしくお願いします。ブログは夜書きます。

 リード文を入れたリストはこちら 「rtf.rtf」をダウンロード

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2008年5月 9日 (金)

コンサルティング診断メニューご案内

 お徳なコンサルティングの“クィック診断メニュー”の案内をいたします。

マーケティング・アセット診断
スターバックスには、コーヒーを飲みにゆくのだろうか?
お客さまと貴社の間にある“本質的な価値”の最大活用への診断と提言
「marketing-asset.pdf」をダウンロード

マーケティング・フォース診断

なぜ、あの棚は売れないのでしょうか?
場(社会の潮流)、軸(ニーズ・用途)、枠(パラダイム)の変化への“波乗り診断”
「marketing-force.pdf」をダウンロード

 お問合せは郷までお願いします(プロフィールにアドレスがあります)。

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マーケティング・ブレインで考えていること。

  昨日のビジネスメディア誠の連載にからんで、ちょっと思ったことを書きます。

 もちろんあれは体験記でもありますし、そう読んでもらってかまわないのです。“へぇ!実はオレもやっているよ!”そんな感想をもってもらってかまいません。

 でも良い機会なので、わたしのマーケティングのモットーについてひとこと。図を見てください。

Photo

 いつも考えているのは「買う本質的なニーズ」であり、それは「お客さまのうれしい」。すべての出発点はそこにあります。本質的なニーズとは、人間の本性であり、執着すること。愛、美、清、金、健康、安全、評価、優越、ドM・・・ま、人間ですから、いろいろあります。本性をキレイにしたものを「消費者ニーズ」といいます。

 事業をやる上での出発点はそこを見抜くこと。表面的ではなく、できるだけ深く広く考える。ネイルビジネスを「1000円クィックビューティ」と考えるか、「領空侵犯ビジネス」として考えるか、まるで違う。どちらもありです。事業者の思想ですから。

 ただどちらかを選べば、マーケティングのやりかたが変わる。店舗の立地、レイアウト、椅子、装飾、サービス時間・・・。ネイリストのレベルも変わりますよね。採用から処遇、教育、シフトまで全部変わる。そこがキモです。いわゆる4Pとかいうのは“枝葉”に過ぎません。マーケティングの教科書が嫌いなのは、枝葉を“幹”とするような書が多いからです。

 教科書の代わりに、グっときた商品や業態を通じて、稚拙な思考であっても、毎日研究しています。それがこのブログです。

 ネイルのエッセイは“体験記”でもありつつ、真ん中にあることをめぐる“思案”でもあります。思案がめぐってオチが悪いのは、もちろん書き手の責任ですけど。

 「本質的ニーズから一貫して考えましょう、一緒に」、それがわたしのメッセージです。ちょっとモヤモヤしまして、書かせてもらいました。ブログは夜にアップします。

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2008年4月24日 (木)

なぜ私は、にしおかすみこが好きなのだろうか?

  今日はビジネスメディア誠で連載する『“うふふ”マーケティング』へのリードです。

なぜ私は、にしおかすみこが好きなのだろうか?
なぜか「にしおかあ~っ、すみこだよお~」にひかれてしまった。SM女王の
衣装をまとう“Sキャラ”、もう一方でひたむきにマラソンを走る“Mキャラ”、
SとMを持ち合わせている魅力に加え、彼女はもう1つのキャラを持っていたのだ。

 むかしバレーボールの選手へのインタビュー、新聞で読んだかテレビで観たか忘れましたが、名プレーヤーが記者から「なぜ、こんなに苦しい練習が耐えられるンですか?」と質問された。彼曰く。

 「終わったあとの1杯のビールがたまんなく旨い、からですよ

 ハハん、そうですよね。苦しい練習で自分をイジめぬき、それに耐えるには自分へのご褒美がないとやってられません。オリンピックという目標よりも、まず一杯のビールのために。スポーツはやはりドMがベースですね。

【スポーツビジネスの根本はM】
 スポーツがドMだという証拠は、今季の浦和レッズ(サッカーJリーグ)のすべりだしの2敗に凝縮されていた。ふがいない戦い方で開幕から連敗したとき、サポーターは“ドS”になってフロントを責めた。「社長、出てこ~い!」とスタンドからシュプレヒコールがあった。出てきた社長に罵声を浴びせた。わたしはスタンドにいなかったが、同じことを叫びたかった。

Urawa_reds 出典

 サポーターとはチームと一体といわれる。勝ってもひとつ、負けてもひとつ。だからこそ連敗した直後にはいきり立ったが、沈滞したチームと色が似てきて、いつしか自虐的になり、「社長を責めてもしようがないよな」「選手を責めても勝てないし」「オレたち、なぜこんなに不幸なんだろう?」

 とまぁ、かなりMにず~んと傾斜していく。ドMに落ちてゆきつつ、埼玉スタジアムの長い駅までの徒歩路を、うつむきながら歩くのがサポーターである。ねじれてはいるが、ドMもまた快感なのだ。勝てば勝って胸をなでおろすが、負けたときにこそドM感動に揺さぶられる自虐的な心理がスポーツビジネスだ。

 野球にもある。巨人ファンは、もともとが強者として勝つという前提できていて負けると、突き落とされる。これはドM。弱いチーム、たとえば昔の阪神タイガースや広島カープはドMというよりは苦痛を共に分かち合ってきた。「弱いよな~」「でも来年こそは!」 エッセイで書いた”アゴニー(苦痛)心理”。同情して苦痛を共に分かち合い、六甲オロシをガナる。

 “アンチ巨人、実は隠れ巨人ファン”は、巨人がやっつけられると、言葉の上ではザマミロというのに、心の底ではくやしい思いをする。これは相当なねじれがあるが、やっぱりドM。問題はここ数年、負けても何も感じなくなったファンが多くなったことだ。ファンなら負けてドSの心理が燃えさかって、そのあとドMに落ち込む。SからMへの感情がなくなったのが視聴率低下の原因だ。

【2チャンでは】
 ドSぽい、2チャンネルという現象はどうだろうか。書き込みの多くが罵倒や悪口やツゲ口。中には同情やまともな主張もあるが、言いたい放題の悪口が95%ぐらい。まさにドSである。2チャンの背景色を見るだけで気分が憂鬱になるので、わたしはあまりというか、ほとんど読まない。

 フト、SFのTV映画『ダークエンジェル』を思い出した。舞台は電磁波テロリストの破壊工作によって荒廃したアメリカ。日々活動が監視される人々の生活はすさんでいた。隠された真実を知る活動家のローガンは、非合法電波を使ってメディアジャックをして不正を暴こうとする。

Img_top01
Img_top02_2 インパクトありました。

 ローガンのメディアジャックは燃えない人々の心に火を灯そうとするが、なかなか燃えない。メディアジャックできる時間も限られているし。ところが2チャンはあんなに燃えさかり、ニコニコ動画はあんなにツッコミがある。人民全員参加の様相だ。なぜなのだろうか?わたしたちの本性はドSなのであろうか?

あるインタビューでひろゆき氏はこう質問された。「ネットで炎上のような事件が増えているという問題は(どう考えますか?)」

炎上って、だれかがここは炎上してるって見つけて騒いで、それに周りが乗っかって
コメントがいっぱいつくのが炎上なんですよ。どちらかというと、マスメディアがここは
炎上してるって言い出して始めて炎上なんだと思うんですよ。だって、ネット内で完結
している限りはいくらスレッドが伸びようがどうしようが生活になんの関係もないですから。
ブログ閉じれば終わりじゃね?って思う。ほっとけばいい。

 わたしは彼は人の心をあやつる天才だと思う。わかっているのだ、人は“場”を提供さえしてやれば、SにもMにもアゴニーにもかんたんに揺れまくるという性(さが)を。かんたんにイジめができるから炎上するのか。ネット内のつぶやき合戦にすぎないのか。どっちもどっちではある。だが彼の手の平の上に乗っているような気がしてならない。

 匿名ならイジめが増殖するのはわかりやすい。書き込む作業は実はねじれドS、つまりドMなのかもしれない。それもなんとなくわかる。ポジティブに考えれば、『電車男』だってある意味“炎上”である。人の苦痛を分かち合うアゴニー心理。その対極に“炎上”があり、そのふたつはどこかで通じている。ネット社会ゆえに、ドSとドMで揺れやすくなった人が増えた。

19980912shimalis いじめる?(シマリスくん)

【hmm・・・なアドバイス】
 2チャンとは、現在のあらゆるビジネスの中で、もっとも消費者の“生なる部分”に寄っているから廃れない。よくも悪くも廃れないのは、ドS、ドM、アゴニー心理がそろっているから。

 結局はそのビジネスのお客さま心理の真ん中は何なのか。それがMかSかアゴニーかその他のものか、それに逆らうと商売はうまくゆかない、良くも悪くも唯一の事実なのであります。今日は以上です。

 あ、できれば、にしおかすみこさんに会いたい!ムチも一発ぐらいなら・・・(笑)。

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2008年4月 3日 (木)

お前が変えてみろよ、おしぼりの価値観ってやつを

 今日はジネスメディア誠に連載する『“うふふ”マーケティング』へのリードです。

お前が変えてみろよ、おしぼりの価値観ってやつを
おしぼり漫画をWeb展開、7つの香りの新商品――日本独自のおもてなし文化・
おしぼりを、「OSHIBORI JAPAN」と称してブランド化を進める、おしぼり屋の
2代目がいる。“たかがおしぼり”から“されどおしぼり”へ、2代目の戦略とは?

 今回のテーマは、藤波タオルのプレスリリースを読んで、「何かあるな」と感じたものがあったのがきっかけです。ホームページやブログを見ると、あらら・・なんでこんなメニューが盛りだくさんあるのだろうか?だれがやっているのだろうか?たかだか150名の中小企業でしょ(あとでわかりましたが、そのうち100名はおしぼり工場のパートさん、ですから実質正社員は50名)。漫画にもぐっと惹かれて、連絡を入れたのがこのエッセイになりました。

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【It's a small world!~原点にこだわる跡継ぎたち】
 エッセイの中でも“奔流”と表現しましたが、藤波タオルの二代目の藤波克之さんのアイデアと活動量、並ではありません。3、4年でこれらを立ち上げ、運用し、さらに広げてゆこうという原動力、何なのだろうか?

 それはエッセイを読んでもらうとして、家業の原点にこだわりながら、新市場・新技術を次々に導入するお話しを聞いたインタビューの途中で、フト、克之さんとよく似た人を思い出しました。

 「ちょっと脇道に逸れていいですか?」とわたし。
 「いいですよ」と藤波さん。
 「わたしの知り合いに日本交通の社長さんがいて、彼がまさにタクシー・ハイヤーと
 いう本業にこだわりながらも、次々に新機軸を打ち込んでいるんですよ」
 「ひょっとして…川鍋一朗さんですか?」
 「そうです!ご存じなんですね」

 わぁ、まさにIt's a small worldですねぇ!と共通の知人を発見しました。川鍋さんは日経ビジネスでも、ガンブリア宮殿でも取りあげられる著名人で、若い世代の社長の代表格です。彼と藤波さんの接点はFBN(Family Business Network)という世界45ヶ国、2,000社を越えるファミリービジネスを組織する団体で、欧州を中心に著名な家族経営企業が入会している。そこでの活動などを通じて、お知り合いになられた。ちなみにわたしは、前職の頃、ある海外の地からのご縁が川鍋さんとあります。最近はずっとご無沙汰してしまして、すみません。

 お二人のこだわりは“ファミリービジネス”、つまり家業です。川鍋さんは三代目、克之さんは二代目という違いはありますが、その本業にこだわりと時代に合わせた新しい価値を加えてゆく姿勢が共通しています。

【承継とは何を承継するものなのか?】
 承継というと、父や他の縁者との確執や、偉大な創業者(父)を越える難しさから、まったく違うビジネスを興すという二代目も多いわけです。さらに事業の所有権問題、相続税の問題などが“骨肉的に”取り沙汰されることもあります。果たして彼/彼女が跡継ぎにふさわしいか?という問いかけもあります。そんな葛藤があるのが承継問題。かんたんではない。

 しかし、ほんとうに考えるべき問題は、創業後(また先代の跡目から)30年くらいが経過し、事業環境も変わり、見た目には古く見えてきた本業を、跡継ぎがどう見るかです。「古い」と斬り捨てるのはやさしい。しかし古きの中に普遍的な価値を見いだし、新しき価値を発見してオリジナルなビジネスに生まれ変わらせる。どうもそこに尽きるような気がします。

【おしぼり事業から世界が見える】
 それにしてもおしぼり会社にMacPro2機、驚きました。カメラマン(プロです)の方は「No Good」ということで写真に収まってくれませんでしたが、この広報戦略室から飛び出してくる素材、ウエブにせよ紙媒体にせよ、レベルが高い。

 MacPro2代、いや2台。Pict0377

 不動産会社の広報から外部のフリペまで請け負うようになったスターツ出版の『METROMINUTES』がありますが、将来にはきっとそんな展開もありかなと思いました。おしぼり事業からさまざまな世界が見えてきた今回のエッセイ、書いているわたしが愉しみました。

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2008年3月28日 (金)

経営情報誌『Globis.jp』への転載

 ビジネスパースンに贈る経営情報誌『Globis.jp』への転載も始まりました。

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“うふふ”マーケティング 『まだまだ修行不足、“女を知る”は難しい』

 内容はビジネスメディア誠と同じです。誠とGlobis、記事の交換掲載を始めたのですが、その一部になりました。グロービスにはマーケティングの大家が執筆されているので、並べられると恥ずかしいやら穴に入りたいやら・・・。
 読み比べないでください!何ていってもこっちは“hmm・・”や“うふふ”、いわば食玩のごとく“食べられない食べ物”をめざしてます!(すでに意味不明_笑)。Globis.jpもブックマーク、よろしくお願いします。
 

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2008年3月27日 (木)

まだまだ修行不足、“女を知る”は難しい

 今日はビジネスメディア誠での連載“うふふ”マーケティングへのリードです。

まだまだ修行不足、“女を知る”は難しい
「マーケティングとは女性を知ること」――筆者のモットーだが、ある女性に 
これを打ち砕かれた。「同じ洋服を買うときでも、180度違う目的で買うのよ」
という彼女のセリフにひそむ、マーケティングのヒントとは?

 

 エッセイに登場する同僚のMayuさんは仮名ですが、実在の人物。頭脳明晰で、突破力が高くて、企画やら仕事やらブログネタやら、いろいろな点でお世話になっています。謝々。

 さて、マーケティングとは最終的には「いかに売るか」に尽きるのですが、売るためにはお客さまとの関係づくりがしっかりしていくわけです。関係づくりの起点、どこに置くかでマーケティングはかなり違ってくる。起点は2つあると思う。

【モノの流行や都会という状況からのマーケティング】

 ひとつは“状況から考えるマーケティング”。

 状況とは都会の変化やトレンドや世相を読みこみ、ニーズの変化や競合の出方へ敏感に対応し、お客様の不満足を減少させ、時代を一歩先んじようというアプローチです。たいていのマス・マーケティングはこのアプローチです。

 「マーケティングとは変化に対応すること」でもありますので間違ってはいません。ですが、今回の誠のエッセイにも書きましたが、顧客をターゲティングし(標的とする)、セグメントし(細かく分割する)、ポジショニングする(差別化を図る)やり方がどうも通用しなくなってきています。とくにセグメンテーション顧客細分化というのは、これまで収入や購買履歴や購買頻度で消費者を区分けする、かなり荒っぽいやり方でした。

 荒っぽいから当たらない。当たらないなら、ネットと統計技法を用いて即時的にレスポンスしよう。それが昨今流行している“行動ターゲティング”です。サーチエンジンやウエブ店舗での検索履歴から商品のレコメンデーションをするあれですが、機械的に関心をもってもらえそうな商品を提示することができるので、採用が増えています。

 ただ・・・これは売り手との関係が希薄なのが気になります。ネットサーフィンの足跡に自動でレスするだけですから。マス・マーケティングのひとつの進化形でありますが・・・。

【お客さまの関心の本質からのマーケティング】

 もうひとつは“本質から考えるマーケティング”。

 人と商品の関係をじっと見つめて、ありたい姿や心の満足を増やし、感じるポイントを探ろうというアプローチ。こちらは時代を読むというよりも、モノとヒトとの本質的な関係を見つめて、あなたが欲しいのはこれでしょ?と作り手が提供するものです。「そうなのよ!なぜわかったの?」という声が返ってくれば、買い手と売り手は一生の付き合いになる。

 作り手は何か新しいモノをゼロから作るというよりも、積み重ねてきた技術や商品やサービスを“アーカイブ”として引き出しにもっていて、お客さんの心をさぐって、「これですか?」と新しい組み合わせで再編集して提供します。

 たとえばソフトバンクの漆塗り”や“友禅”の携帯電話、20色展開の『Pantone』携帯電話がひとつの例です。伝統の技巧と現代の精密装置のマジカルな出会い。多彩な色の好みの心理と精密装置の微妙なミクスチャ。こういうテイストのモノを欲しがる人が増えてきた

56_px250 修行してみたい女性と友禅携帯。
 出典 http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080129/1006574/?P=7

 このブログを書いてきて、これまで400~500品目ぐらいの商品やサービスやブランドを取り上げてきました。振り返ってみれば、わたしがグっときて取り上げる商品は、いわゆるマーケティングプロセスを経たものよりも、こっちのアプローチで考えられたものが多いのです。

【わたしのマーケティング定義】
 そんなわたしですから、いわゆる世の中のマーケティングの定義とわたしの思うそれとは違います。「このブログではマーケティングの勉強ができない」と言われる由縁です(笑)。

インフルエンサー・マーケティングの本田哲也氏のマーケティングの定義はこうでした。「生みだされたものをうまく伝え、手にしてもらい、消費してもらうための繰り返し作業」。かなりわたしの思いに近い。それを、ちょいと変えさせていただきますと。

 「お客さまと作り手が感じあえる“場”や“プロセス”を創りあげ、生みだされたモノを購入し、使い続けてもらうための繰り返し作業

 セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングというアプローチが決して廃れたわけではないのです。だが成熟市場ニッポンで通用しにくくなっている。なぜならわたしたちは感性型消費社会への過渡期にあるからでしょう。

 わたしの定義が正しいかどうか、それを仕事や執筆を通じて確かめてゆくのがわたしのライフワークです。今日はかな~りマジメになりまして、すみません。明日はまたいつものおちゃらけです。以上であります。

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2008年3月 3日 (月)

ひとさし指に風を感じて

 今日は隔週で書いているぷろこんエッセイからの転載です。
 テーマは“指”です。

 宮里がパー3の3番でつまずいた。第一打を池に入れてダブルボギー。
 上空にティーグラウンドでは気付かない風が吹いていたそうで「ショット
 自体はすごく良かった。わたしの責任でもありキャディーの責任でも
 ある」と悔しそうだった。

 米女子プロゴルフツァーHSBC女子選手権(シンガポール)に出場した
 宮里藍選手の言葉 日本経済新聞 2008年3月2日付記事

          ~○○○○○○○○○○○○○○○○~

 ゴルフでは風を読むときよく芝生をつまんでひょいと投げる。落下する
芝生の動きを見て、「アゲンスト(逆風)だな」「ヨコなぐりだな」「少しだけ
フォローの風が吹いている」などと読んで、アドレス(かまえ)やクラブ、
強弱の参考にする。指でつまんで投げる ― なんとなくその仕草がプロ
ぽくてやってみたこともあります。まったく仕草だけですが。

 というのもわたしのゴルフは「下手の横好き」ならぬ「下手の横飛び」
でした。ティーグラウンドでアドレスに入ると、いっしょに回る人々が危険を
察知して、後ずさりするようになりました。じっさい、打ったボールがコース
から大きく逸れて、フェンスを越えて走る自動車の屋根にぽーんと跳ねた
ときもありました。そのまま走り去ってくれたのは幸運でした。ゴルフを
やめたのは正解ですね。

 だから芝を指でつまんで投げるなんて、宮里藍選手のような正確な打球
が打てるプロがすることであって、横飛びがすることではない。まして地上
ではなくて上空の風まで読むなんて・・・プロは違うなぁと思いました。

          ~○○○○○○○○○○○○○○○○~

 そんなわたしは、風を読み風をつかむときにはひとさし指を立てます。

 この商品のポイントはこれだろうか。あの事業買収のねらいはそれだろうか。
あの人事のねらい、ほんとうはこれこれにあるんじゃないか?読みをいれる
とき、心の中だけでなく、ちゃんと右手のひとさし指を立てて、風を感じます。

 指に風を感じるときはGood。
 指が風を感じようとするときはBad。

 ちょっと哲学的ですが、アイデアは降ってくるものをつかむ作業であって、
つかまえにゆくものではない。つかまえにゆこうとすると、ロクなモノをつかま
えない。だから風を感じるか感じないか、風まかせというか“指次第”。

 指が何も感じないときも多々あります。そういうときはアイデアの枯渇、感性
の鈍りなのですが、「スランプ」ではなくて、感じる前に指をしまってゲンコツに
しているのだと思うようにしています。だから「指よ、隠れるな。立っていろ」と
諭して、心の指も立てるようにします。

 そんなとき思いだす“ひとさし指エピソード”があります。スープストック・トー
キョーの提案事例です。この事例、ひとさし指にピピンと感じるところがあり
ました。ピピンは「一人称」「一日」「指で味を取る」と、指一本に通じてます。

          ~○○○○○○○○○○○○○○○○~

 スープストック・トーキョー事業は、起業した遠山正道さんが所属する三菱
商事からケンタッキーフライドチキン(KFC)に出向した97年にさかのぼります。
遠山さんから見るKFCは「時代遅れ」。当時、日本は外食不況まっただなかで、
アメリカンそのもののでっかい厨房やドライブスルー、ペイしないばかりか、
感度が低いと考えました。これからは「低投資、高感度」なちっちゃいお店が
いい。これが遠山さんの提案の底流の時代感覚です。

 そんなある日、仲間とのレストランでの会話で、ふと「女性がひとりでスープを
飲むシーン」が心に浮かびました。その話しをみんなに話すと「いいじゃない
それ!」となりました。そこからスープストック・トーキョーのコンセプトを、全
13ページの企画書『スープのある一日』にまとめました。

 その企画書には3つの指1本がありました。一本目の指は“一人称”。

 企画書はこんな始まりだそうです。「恵比寿にある日本センタッキー・ブライト・
キッチンの秘書室に勤める田中は、最近駒沢通りに出来た(仮称)Soup Stock
の具沢山スープと焼きたてパンが大のお気に入り・・・」という始まりの“物語”。
主役の女性がその店舗を想い、店舗に訪れ、メニューを選び、ほっとしてひとり
でスープをすする・・・一人称の企画書でした。

 二本目の指は“スープのある一日”という視点。

 朝っぱらから、今日は何食べようか・・・とランチのことを考えているなんて!と
部長さんからはドヤされそうですが、人間の生活、リズムがあります。朝の寝起
きの気分、通勤途上の出来事、会社に入る前のコンビニでのペットボトルのチョ
イス、PCに電源を入れて思い出す今日のTo Do Lists・・・そんな一定のリズム
ないしサイクルにあるのがわたしたち消費者。ランチも重要な要素です。

 そんな物語の提案を3人のレビューアにぶつけました。当時のケンタッキーの
社長と副社長、そして今ローソンの社長の新浪さんでした。企画書の表紙には
我が子の写真さえ貼る意気込みにほだされたのか、その場で「それほどやり
たいなら、やってみろ」とゴーサインが出たそうです。

 とりあえずスープを煮込んで“煮えてるかな?”と指をちょこっと入れてペロリと
味見する。それが三本目の指です。

1 遠山さんの企画書

          ~○○○○○○○○○○○○○○○○~

 補足します。まず“一人称の発想”とは、「自分自身がそう感じているか?」
「それで自分は満足なのか?」 アイデアでも企画でも日常業務でも原点は
一人称で考えること。自分を満足させるのが、自然に顧客視点になります。

 二つ目の“スープのある一日”の視点とは、スープと秘書室の田中さんの
接点はランチでも、その接点を持つまでの期待の気持ち、接点後の満足の
気持ち、幸せになった一日全体を顧客満足として考えています。一日が
一ヶ月や一年というスパンでも同じですが、接点を通じて全体プロセスを
考えることで、自社の商品だけではなく、顧客の生活の全体を見渡すことが
できます。

 三つ目は比ゆですが“ひとさし指を時代にさしこんでみる”ということ。熱々の
スープに突っ込むとアチチでヤケドしますが、ときにはそれも必要。頭(理屈)
でなく指(感性)で感じているか?ことわざで「流れに棹を差す」と言いますが、
指を突っ込んでみれば時代の流れもわかります。

 ひとさし指を立てて自分に吹いてくる風を感じて、あたりを見回して、指を
くるくる回してみる―誰かに見られると「変な人!」と言われますが、やって
みてください。 

2 遠山さんのブログより。

          ~○○○○○○○○○○○○○○○○~

 宮里藍選手の昨年来の不調も気になります。不調の原因はゴルフ場に吹く
風の読みというよりも、どうも自分に吹いてくる風をつかまえられないのでは
ないか?プレッシャーさえも楽しむ“一人称のプレー”ができているだろうか?

 横飛びですからゴルフのことはよくわかりませんが、良いショットも打ちに
ゆくと力が入る。時には風まかせぐらいがいいのかも知れません。春一番で、
飛んでくるのが花粉ばかりかもしれませんが(笑)。

 今日は以上です。

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2008年2月28日 (木)

寄せて上げて“緩める”マーケティングとは?

 今日はビジネスメディア誠で連載する『“うふふ”マーケティング』へのリードです。

 寄せて上げて“緩める”マーケティングとは?
   去る2月12日は、“締めたり緩めたり”の記念日でした。締めると「さあ仕事!」、  
   緩めると「あぁ今日も終わった」……その記念日とはいったい?

 今日の連載の発端は、ウイズ株式会社ブラジャー新製品のリリースだった。その商品「姿勢美と美乳をつくる」という機能がウリで、そのリリースのURLを相棒Cherryさんにメールした。リリースには下 着姿の女性もばっちり写真付きです。メールにこう書き添えた。

 「ブログでさ、これ、取り上げてみたいんだけど」
 Cherryさんの答えは、まさに「うふふ・・・」だった。

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【オンナもすなるモノの話し】
 やっぱりむつかしいかなぁ・・・と諦めかけたら、ワコールの『女性の「胸」に関する意識調査』を見て、「おっと、ブラジャーの日ってあるんだ!」と知った。「これは書かなきゃ!バストは揺れるのが原点だ(ですよね?)」。思へば、揺れるものをワザワザ締めるところから、女と男の数え切れない物語が始まったのだ。

 「ハイヒールは現役の女であることの明かし」という文があった。誰の文だか思い出せないが、してみると藤原紀香さんや米倉涼子さんを範とする「ヨコムネ美人」もまた現役の女であることの主張なのだろうか?ムネの無いわたしは、仮説を立てても検証ができない(公に検証すると検挙されるし、密かに検証してもいずれ検挙されそうだ)。

【揺れた時代から、揺れない時代へ】
 ムネに胸を借りて言えば、あっちこっち揺れながら生きるのが人である。生きざまも価値観も時代精神を反映し、環境変化にさらされるが世の常。揺れて揺らされて・・・できればまっすぐに生きたいとは思う。「揺らされてばかりじゃないぞ」とときどき背筋を伸ばす。揺れを小さくして生きれるだろうか。

 商品開発もまた、時代精神の変化を映し、市場や消費者心理を揺らして需要を喚起するもの。それを否定しないし、それがマーケティングという面もある。だからそのときどきの流行をグローバルに流通させて経済使命を果たしてきた。戦後からこれまでは、それでバランスが取れてきた。

 だがモノが行き渡り、“揺れシロ”が減ってきた。消費者を揺らそうとしても揺れなくなってきた―それがここ10数年の日本市場。だから揺らす手段も巧妙になり、商品も多様になったが、消費者は常に一歩先をゆく。ムネほどかんたんには揺れないのである。

【セレクトへ、そしてその先には―】
 だから買い手が揺れないなら、代わりに「売り手が揺れよう」というトレンドは必然だった。それは“セレクトショップ”。売り手が流行をころ合いよく取り入れて「あなたが欲しいのはこれでしょ」というお薦めをするものだ。

 いわゆる衣服のセレクトショップだけでなく、広い意味でとらえれば「これオモシロい!」と膝を打つデザイナー商品も、顔の見える生産者の野菜も職人の手作り品もセレクトだ。セレクトは単に購買ガイドではない。売り手と買い手がお互いに感性を共有して“つながる”ことである。

 売り手がセレクトしたものに「いいねぇ」と応えるのがレビュー。「いや実はこういうモノが欲しいんだ」というレスポンス。「こんなモノがあったよ」というレコメンデーション。売り手と買い手、買い手と買い手がつながり合う、「レビュー・レスポンス・レコメンデーション」が今どきの“マーケティングの3R”である。3つのRを念頭におくのが「感性共有型の消費」なのである。

 ムネの揺れから想ふわたしのマーケティング雑感でした。今日は以上です。

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2008年2月20日 (水)

『その1人が30万人を動かす』の書評を掲載しました。

 

41wcghzna2l_bo2204203200_pisitbdp_2  『その1人が30万人を動かす』

 インフルエンサー・マーケティングに関する本、『その1人が30万人を動かす』の書評を書きました。マスメディア、プロフェッショナル・インフルエンサー(その道の専門家やセレブ、タレント)、個人インフルエンサー(カリスマブロガーら)をいかに組み合わせて消費者を自ら動かすか?という内容。とても参考になりました。

  http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0802/19/news006.html
  http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0802/19/news006.html 
  (どちらも同じ内容です=併載)

 ふと目に止まったのは『日産ケンメリTシャツ 完全復刻プロジェクト』の記事です。

       Sl02

 久米繊維工業の久米信行さんが、新型スカイラインの招待試乗記を書く話です。久米さんは経営者かつ実名でブログを書いているので(こちら)、その信用もあってのことだったそうです。しかし自動車評論家でもない自分が何を書いたらいいだろう?と彼は思ったそうです。

 ふと壁を見ると、先代の社長(久米さんのお父様)の飾る『スカイラインTシャツの生産に対する感謝状』が目に入り、「おぉ!これだ」とブログに書いたそうです。久米さんの父君がそのTシャツ・ノベルティを制作したとのこと。

 なぜなら、私は、多感な多感な小中学生時代を
 ケンメリTシャツに囲まれて育ったからです。

 http://kume.keikai.topblog.jp/blog/120/10004191.html

 久米さんは“プロフェッショナル・インフルエンサー”。そのブログを読んだ日産(マスメディアが「Tシャツ復刻やりましょう!」と乗ってきたそうです。さらに復刻するにあたり、オリジナル未開封Tシャツを探す知らせをメルマガに出すと「個人のスカイライン・インフルエンサー」から次々にレスポンスがあった。それで今、制作中とのこと。まさに現在進行形の“インフルエンサー・マーケティング”。

 商売を考えてのワザとじゃないというところがミソです。ブログには商売っけ抜きで、思ったことをサラと書くべし。これが今日の教訓でした。

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2008年2月 4日 (月)

お弁当とデリバリーを結ぶ企画発想

 今日はぷろこんエッセイからの転載です。
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 「企画立案で大事なことは、まずは常識にこだわらないこと。そして、
 生活者視点ですね。例えば、毎日スーパーに行っていると、180円の
 ホウレン草を見て『最近値段が上がってきたなあ』と実感する。そういう
 日常的な感覚の積み重ねが、新しいアイデアを生む苗床になるんだと
 思います(後略)」

                          夢の街創造委員会株式会社 中村利江社長
 引用元 http://job.goo.ne.jp/topics/special/iketeru/002.html

             @@@@@@@@@@@@@@

 お弁当やピザ、お寿司、最近はお酒までデリバリーしてくれる『出前館
を運営するのが“夢の街創造委員会”というユニークな名称の会社。その
名前に惹かれて、上場(大証ヘラクレス)前から注目していました。“ネットと
ビジネスの種を結ぶ”と、同社のコーポレイトメッセージにありますが、ネット
でちょこっと出前を頼めるのは、ひとつの夢の街のかたちです。

 その夢のかたちにいかにたどり着いたのか?それがわたしの興味であり、
今回のテーマです。夢の街づくりのカギを握ったのは現社長である中村利江
さんであり、氏の語られた冒頭のコメントに、夢のかたちにたどり着くお客さま
視点のビジネスの原点と発想プロセスがあります。

 それは次の3点でまとめられます。まず商品や消費を見るとき“常識にとら
われないこと”、判断する上でのよりどころは“生活者視点”、最後に何度も
フに落ちるまで“考え抜くねばり”。

             @@@@@@@@@@@@@@

 中村さんは根っからの優れたプランナーで、学生時代に女子大生を集めて、
モーニングコール事業を起業した。女子大生からの電話で起こされるなんて
シャレですよね。ターゲットはきっと独身男性や単身赴任のオトー様だったの
でしょう。彼女のお客さま視点、天然モノだということがわかります。

 その後リクルートでハウジング事業部の仕事で実績をあげ、結婚。子育て
一段落のあとに、お弁当のほっかほっか亭を展開するハークスレイに入社
した。大ヒットした「290円牛丼弁当」という企画もしたが、1999年当時、外食
産業全体が低迷期であった。デフレと新機軸無しの板挟みになっていた時期
だった。ハークスレイの関西地区で企画担当をしていた中村さんも、売上
アップの突破口を模索していた。

 あれこれ考えた末の答えが「お弁当のデリバリー」でした。

 どのようにそこにたどり着いたか。それはさておき、デリバリーで加盟店を
活性化しようと思い立ったのち、まずほっかほっか亭自前でネット出前サイト
の構築を図ろうとした。ところが当時スタートアップしてまもない『出前館』を
知り、ほっかほっか亭が自前・単独でやるよりも加盟した方がいいと判断して、
自前開発プランをいさぎよく捨てた。

 その後コンサルタントとして独立し、出前館の運営会社の夢の街創造委員会
のコンサルティングをする中で、「あなたが社長をした方がいい」と乞われて
副社長に就任し、現在の代表取締役に至る。

 成功物語はこんな感じですが、どんな思考をして「お弁当=デリバリー」に
行き着いたのだろうか?

 以下、わたしが実践している思考のプロセスにあてはめてお弁当=デリ
バリーのケースを考えました。実際に中村社長にお聞きしてフレームワーク
を作ったわけではありません。ひとつのケーススタディとして、普遍性を感じ
ていただければ幸いです。

             @@@@@@@@@@@@@@

 まず基本図(図1)。左の四角形のハコに入るのが「商品やサービス」。
ウチの商品やサービスの一般名称を入れます。“ほっかほっか亭の弁当”では
なく“お持ち帰り弁当”です。そこから矢印(→)を右に引いて先のハコが「お客
さまのしあわせな状態」となります。両方のハコの間にあるのが、お客さまが
商品とサービスに求めるニーズや気持ちです。できるだけ数多く列挙します。
商品とサービスを列挙し、それが“お客さまの最もしあわせな状態”の言葉に
圧縮され、さらにビジネスモデルのワンワード、「キーワード」を発想します。
 Lunchdelivery01

 実際にお弁当=デリバリーの流れに沿ってやってみましょう。

 まず四角形を描いてその中に“お持ち帰りお弁当”と入れる。その四角形から
矢印(→)を引き、右側のブランクの四角形につなげます。二つのハコの真ん中、
お客さまのニーズと気持ちを「お弁当の場合なら何なのか?」という視点から
挙げてみましょう。

 ・・・・
 ・容器サイズは大中小しかない
 ・日替わりがあるとうれしい
 ・外食は混んでいる
 ・会議室で食べたい
 ・みんなでワイワイ食べたい
 ・ちゃかちゃかっと食べたい
 ・早メシしたい
 ・食べながらネットみたい
 ・安くあげたい
 ・買いにゆくのが面倒
 ・だいたいメニューは一緒
 ・弁当屋の待ち時間がいや
              ・・・・

 ランダムで構いませんが、ルールはお客さま視点です。お持ち帰り弁当に
おける生のニーズや気持ちをできるだけ挙げましょう。挙げていくと「これは
もっともだけど」「これはあんまり」などが見えてきます。どれかしらこれだ!と
“光りもの”が見えてくればシメたもの。

 何が“光りもの”か、企画者の価値観や経験、センスで判断しますが、その
決め手は“生活者視点”です。「光る」か「光らないか」、売り手でも買い手でも
ない“生活者視点”がミソです。

 お弁当=デリバリーのケースでは、光りものは「会議室」「早メシ」「日替わり」
「時間」などになります。それらをギュっとすると“持ってきてもらえるとうれ
しい”というお客さまのしあわせな状態が見えてきます。そこから“デリバリー”
というビジネスモデルのキーワードにまとめるわけです。

Lunchdelivery02

 改めて“凄い”と思うのは、ほっかほっか亭の弁当は、従来「お持ち帰り弁当」
だったわけです。「デリバリー」というキーワード、同社の事業理念を真っ向
から否定しています。しかしお客さま視点はたいていそんな結論になります。

             @@@@@@@@@@@@@@

 もちろん一回でハマるアイデアが出ないときもあります。あきらめないで粘り
強く考え抜くのがたいせつです。ノートに書いて幾度も振り返ってもいい。ひとり
でやるよりふたり、三人寄れば文殊の知恵で三人でやるもの効果的。“うふふ”
な発想のコンサルタントが欲しいときはお呼びつけください(笑)。粘り強くお客
さまの真ん中にあるニーズの鉱脈を掘りつづけるのが企画の本質です。

 このフレームワーク、汎用的な使いかたもできます。商品・サービスのところを
“今の自分”として、お客さまがしあわせな状態を“自分がしあわせな状態”に
読みかえます。2つのハコの間には「自分のスキル」「やりたいこと」「できること」
「経験」・・・を書きだしてみる。そこから光りものを探しましょう。

 「いくらやっても何も光が見えてこないじゃないか!」とヒラめいたとしても、それ
はわたしの責任ではないハズですが(笑)。

 今日は以上です。

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2008年1月21日 (月)

“一回性”という成長の原動力

今日は隔週で書いているぷろこんエッセイからの転載です。
  配信は まぐまぐ と めろんぱん からしています。

 その後の人生を変えてしまう出来事を経験すること。これを「一回性」と
 いいます。脳には、いつ、どこで訪れるか分からない一回性の体験を、
 大切に刻印し整理していく働きが備わっています。この機能こそが僕たち
 の人生を豊かにつくっていくのです。

 引用元 『脳を活かす勉強法』 PHP出版 茂木健一郎著

           ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 成長の原動力とはなんだろうか?

 やりたいという気持ち、その環境に自分をおくこと、継続すること、きっかけ
をチャンスにし、やがて飛び立つ。そんな成長のシナリオを思いうかべれば
「気持ち」「環境」「継続」「きっかけ」「飛び立つ」・・という成長の各段階の
"シーン”があるはず。ポジティブなシーンだけでなく、「挫折」とか「意地」と
いった苦しいシーンも、きっといくつも散りばめられている。

 たとえば、わたしはこうして文章を書き続けています。1年以上前、ブログを
書き始めたきっかけは他愛ないものでした。マーケティングのことをもっと考
えようと思ったときブログという表現を思いつき、同僚のCherryさんに言いまし
た。ちょうどカフェでサボってお茶の飲んでいるときでした。「ボク、ブログを
書こうと思っているんだ」 そのときのシーンはまざまざと覚えています。
Cherryさんが「いいんじゃないですか」と言ったところでそのシーンは終わって
います。

 それが「気持ち」のシーンだとして、「環境」のシーンはブログのテンプレート
に初めてふれて、自分を表現するサイトをつくった場面でしょう。ブログの「継
続」には数多の苦難(おおげさですが)はありました。体調が悪い日、電波が
飛ばないエリアに入るギリギリ10分前のアップ、酸っぱい匂いの安いビジネス
ホテルでのネットワーク設定の苦労・・・いろんなシーンがあります。ウェブ
ポータル・サイトの編集長からメールをいただいて「ウェブサイトに文章を書き
ませんか」というのも「きっかけ」のシーンになりました。

 まだ成長もしていないし、身のまわりを見回してももっとご苦労されている
人はたくさんいるのでおこがましいことを書きました。むしろ読者の心にきっと
多くのシーンがあるはずです。それにおきかえて考えてみてください。

 こうしたシーンは静止画像というよりも場面記憶のフラッシュみたいなもの。
達成した歓喜のシーンもあれば、何気ないけれど引っかかるシーンもある。
何度思いだしても心を削られる残酷なシーンもあるでしょう。

 人間はそうしたシーンの積み重ねで成長するのではないだろうか。シーンが
成長の原動力なのではないか。そんなことを常々考えていました。

            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 なぜあるシーンが心に残っていて、なぜ繰り返し表れるのか、どうして自分
にそこまで干渉してくるのかわからなかったのですが脳科学者の茂木健一郎
さんの著書の中で“一回性”というキーワードに出会って、ヒザを打ちました。

 あるとき一回しか経験できない決定的な経験をする。それがその後の人生
に影響を与える。二度繰り返せないし、一回こっきりだからこそ、脳に深くそ
の体験がきざみこまれる。きざみこまれた体験を自分なりに反すうして、深め
ていく。それに執着するからこそ自分を高めていける。勇気をあたえてくれる。
そこから行動が生まれる、というのが茂木さんの著書『脳を活かす勉強法』の
中の“一回性”のくだりにある主張です。 

 一回性というとポツン、ポツンとコマ切れのシーンがバラバラにあるような感じが
します。でも脳がまったくバラバラのシーンばかり収集してないはずです。ある
起点になった「気持ち」に響くシーンを取捨選択し、収集して整理してくれるのだと
思います。

 整理してもパッチワークのようにバラバラな色合いのままか、ぴったりハメ合わ
せるジグソーパズルのように整然としているか、成長のテーマやその人の性格
にもよるのでしょう。それでもきっと脳は、一度しか起こりえない体験を、ちゃんと
整理してくれるというのです。

            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 茂木さんの考えかたはすばらしいアプローチですが、「一回しか経験できない
決定的な経験」とは、個人的なものにも聞こえます。グループ活動や組織活動
の中でその経験はどう活かせるのか?

 コンサルタントという仕事から考えてみましょう。クライアントの多くは情報を
共有するとか、成果を共有するとか、情報共有システムへの入力に非常に
抵抗します。その理由を今までわたしは、クライアントの社員が「面倒だから」
「同僚からも上司からもフィードバックもなく入力のモチベーションがあがらな
いから」「わからんちんに伝えても益なし!」といった思いからだと考えていました。

 それはそれで正しいのですが、まだ理由の一部なのでしょう。茂木さんの主張
をもう一度書きます。

 「脳は一回性の体験をきざみこむのをよろこぶ」

 つまり脳は、そもそも他人とのウワベだけの情報共有や追体験をイヤがるもの
なのだというものです。実は脳は情報共有をシブシブやっているのかもしれない。
自分の一回性の体験じゃない、他人の体験をシブシブ読んでいるのかもしれない。
自分のシーンでないことなので、脳が深めて整理することをイヤがっている。
なるほど、どおりで皆さん、情報の共有が進まないワケで・・・。

 情報共有をしましょう、成果をヨコ展開しましょう、そんなマネジメント用語を
したり顔でわたしも話していました。だが脳がよろこばないことをせっせと話して
いたとすれば、進まない理由も納得ができます。

 脳がよろこんでこそ仕事に創造性がやどる。よろこばせる情報共有でないのに
軽々しく「情報共有」とか「ヨコ展開」してください、とは言えないと思いました。

            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 でもこう考えることはできそうです。個人的な一回性の体験は、他人と共有する
のはむつかしい。しかしシーンとシーンをつなぐところ、つまりプロセスは共有できる
のではないか。プロセスはルールでもあり、行動でもあり、共通言語でもある。
プロセスの中での体験として「こんなことがあったよ、すばらしい体験だった」という
共有ができれば、響きあうことはできるのではないか。

 個々のシーンがあって、それをバネにしてプロセス(実行)にうつす。このふたつが
“一回こっきり”の創造的なセットになったとき、人生が豊かになる。“一回性”という
キーワードから響いたことをツラツラ書きました。今日は以上です。

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2008年1月11日 (金)

“うふふ”マーケティングこぼれ話 擬音語・擬態語はことばのコラーゲン

 今日はビジネスメディア誠連載の『擬音語・擬態語で、グ~ッとマーケティング上手』の与太話しの続きです。

 擬音語・擬態語という“ことばのコラーゲン”が失われると、ことばのハシバシが乾燥する。ことばに木枯らしがふきすさぶ。カサカサになる。やがて「無味乾燥なヒト」になってゆく。まずい・・・ というようなことを書いた。

【擬音・擬態は知的じゃない?】  
 すると同僚のYUKAさんからゼツミョーなツッコミがブログに入った。   

  「擬音語・擬態語が多い人は知的に感じられない」  

 どうも昨日某テレビ番組で「大阪人は擬音が多い」というネタがあったようで。その番組、観てい ないのだが、そう思いますでっしゃろ? そう思いますねん(笑)。たしかに擬音語・擬態語=知的 というより、関西人のノリ、落語家ぽいと思わへんか。  

 だが続けて書いてくれた「ぜひお近くの関西人で潤ってください」というコメントにはちょいとねぇ