ワンウーマン・バンドが映す音楽のダイレクト・トレンド
Theresa Anderssonさんの“台所音楽”を聴きましたか?
台所音楽といっても鍋や釜やザルを使って、チンチン♪カンカン♪するわけではないのです(ソーダ瓶は使っているらしい)。台所をスタジオ代わりに音楽セッションの場にみたてて、さまざまな楽器の“ソロ演奏”をして、スタジオテイクならぬ“キッチンテイク”。
【hmm…なアドバイス143.ワンウーマン・バンドが映す音楽のダイレクト・トレンド】
スウェーデン生まれでニューオーリンズ在住のTheresa Anderssonさんが、
即興演奏『Na Na Na』を写した動画をアップロードしたのは6月8日(米国時間)。
瞬く間に視聴数は60万ビューを超えており、いまだ増え続けている。
引用元 Wiredvision
3分くらいなのでお時間がある人は視聴しましょう。『Na Na Na』、ギターもドラムもバイオリンもひとりで操る。わたしも最初は「素人のやらせでしょ」ぐらいに思った。だが聴いてみるとこの即興演奏はとても見事。ギミックでもやらせでもない。ポップで軽やかで伸びやかな歌声もいい。
これまで96年以降、06年の『Theresa Andersson』までソロで4枚のアルバムを出している彼女はベテランであり芸達者。話題づくりなねらい(だけ)ではない。本日(08年6月30日)現在で66万ビューを超えているのもなっとく。
【ダイレクトなアーチスト】
「台所の音響はすばらしい。自然で、見事な残響効果がある」と同誌に語るTheresaさん。たしかにほどよく狭くてどん詰まりで、音を反響させる冷蔵庫や食器棚やシンクがある。換気扇を回すとうるさいし音は抜けますけど。
08年9月に発売するアルバム『Hummingbird, Go!』も、この台所でレコーディングしたそうだ。台所という究極のスタジオでアルバム料理とは恐れ入る。CDはやっぱり缶詰ですよね?
シンガー“プリンス”のCDケースは丸かった。引用元
彼女、もちろん爆発的に売れている歌手ではない。この台所も自分なりのプロモーションもあるはず。でも彼女のサイトを見るとその姿勢がわかる。「無料オーディオクリップ」「ビデオクリップオンライン」「ウエブからのダウンロード」など、“ダイレクトに販売”に積極的。
つまり“私のこと、自分自身で発信します、素のままを見てください”。そうしたアピールがネットを使えばできる。
【hmm…なアドバイス】
音楽ビジネスはどんどんダイレクトに向かっている。提案の一部をモディファイしたのが次の図。
アーチストは事務所に所属し、レコード会社と契約して作品を発表してきた。音楽メディアもそれをもり立てる役割を果たしてきた。CDは垂直な販売チャネルで売られてきた。だがiTunesなど、ネットを用いたダイレクト販売がトレンドになり、作品はバラ売りされるようになり、ネット販売のチャネルが太くなった。これが今の状況。
次いで起きつつあるダイレクト革命は、アーチストとリスナーのダイレクト・チャネルである。台所からリスナー/特定のアーチストを濃く支持するコミュニティとのつながり。以前書いた“ArtistShare”(ダイレクト販売の取り組み)も同じだ。
アーチストとファン、そのコミュニティが自然発生するのがネット社会。当然、既存の枠組みや事業モデルにはそぐわないから、あつれきは起こる(大きな目で見てダビング10もそのひとつ)。だが流れはダイレクトだ。逆らえない。今日は以上です。
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