ショップ・販促

2009年10月 1日 (木)

無印良品、それは暮らしのアトモスフィア

 今日はビジネスメディア誠に連載する“うふふマーケティング”へのリードと、閑話です。

“ブランド”ではなく“雰囲気”――無印良品の強みとは
1980年に始まり、徐々に支持を獲得してきた無印良品。幅広い世代の人気を集めているが、無印良品の魅力とは何なのだろうか。9月18日にリニューアルオープンした池袋西武店を訪問して、その理由を探った。 

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 当初は“無印良品、それは暮らしのアトモスフィア”というタイトルをつけていたのですが、わかりにくいということでボツ(笑)。でもわたしは“アトモスフィア”という単語に“愛着”があって、ブログのタイトルは原題にさせていただきました。

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 某デザイナー+良品計画によるカウチソファ。座り心地とデザインの良さ、サイズのぴったりさ。良品計画宣伝販促室の片寄美恵さんとの約束で、関わったデザイナーさんのお名前は書けません。わたしが最も尊敬し、フェチである、あのプロダクトデザイナーさんです。こんな値段ではフツーは買えません。“即買い”ですね。

 そのプロダクトデザイナーさんは、デザインするデザインはデザインじゃない、みたいなことを言っています。現代のモノ溢れの世界では、過剰さを削ぎ落とすところからデザインは始まるのだと。

 そう無印良品こそ、印(つまりブランドでありデザインであり家紋や印籠である)が過剰になってきた時代に、印って何だろう?いらないよそんなの、から始まったわけです。ムジラーたちはそこに共鳴している。今回はそんなことを書いたつもりです。

【スーパー後によろずやに出店してほしい】
 閑話休題。「セブン&アイ・ホールディングスは2013年2月期までに傘下に置くイトーヨーカ堂店舗の16%にあたる約30店を閉鎖する検討に入った。」今日の日経新聞のトップはこのニュースでしたね。衝撃が走りました。勝ち組だと思われたイトーヨーカ堂でさえですから。

 わたしは今日、やや遠いところにコンサル業で電車に乗りました。その行き帰りの車窓から見ると、イトーヨーカ堂、ダイエー、マルエツなどスーパーの数々があるんです。確かに多いなと思いました。

 政府発表の景況動向とは、経営者の見方や出荷時点データがベースですから、消費者のデフレマインドを計算に入れていません。売り手や売り心がアップしても、買い手が冷えたまま。それが今どきでして、PBにしても、消費者はPB商品を“仕方ないわね”と買うだけなのに、そこに経営資源を投下して目先の薄利を追求するのは、経営判断としてミスだと思います。PBの在庫の山を前にため息をつく、店舗の前線を見ていませんよ。

 だから店舗閉鎖やむなし、統合・合併やむなし。退店後には昔ながらの“よろずや”に出店してもらいたい。小規模で、地域に根ざした、店主の顔の見えるよろずや。コンビ二やスーパーのマニュアル接客はもう懲り懲り。そう思っていたら、ちょうど良い体験をしました。

【長い閑話】
 “紀之鉄商店”は地域に根ざしてるし、何しろ店主がわざわざやってくる。 

アートマルシェ神田(わたしとcherryさんが運用管理するギャラリー兼多目的スペース)のあるドアで、合鍵が必要になった。合鍵屋を探した。まず近所の駅構内にある、大手M店に行ってカギを持ち込んだら、こう言われた。「標準じゃありませんねえ、特注で2週間かかります」 明日必要なのに困った。そこでもうひとつの近所の駅の大手R店に行った。そこではもっとすげなく「この合鍵は作れません」。レアモノのカギを取り付けたリフォーム会社を恨んだ。

 途方に暮れていたら、ある人が近所の“紀之鉄商店”を教えてくれた。歩いて5分もしないところにある。ゆくと変わった店だった。店内にはインド音楽が流れ、入口にはお香が炊かれていた。備品も不揃いかつ個性的で、剥製があるかと思えば、海外のお菓子のパッケージが並んでいる。何よりそこの店主?らしいオトコが、30才くらいだろうか、漆黒の巻き髪に耳にはピアス、腕にはタトゥ。こりゃまずいかなと思ったが、わたしが渡したカギをじぃっと見て、あれこれとサンプルを探してくれた。やがて無いということになり、メーカーに電話をしたが、不明だった。 

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 「何とかしますよ

 彼はそういうとわたしに連絡先を訊いた。「ああ三和印刷さんね、あそこのカギはボクがやってますから」 出来たら届けてくれるという。わたしはおもしろいカギ屋がいるもんだと感動しつつアートマルシェに戻ると、ほどなく彼がやってきた。

 サンプルを作ってドアのカギをカチカチやった。「わかりました、もうちょっと調整すればばっちしです」。また三十分もしないうちにやってきて、確かにばっちしだった。複製カギができた。とても助かったし、とてもリーズナブルだった。 

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 話しが長くなったが、カギは特注なのにリーズナブル、しかも変わっている(笑)。超お勧めである(千代田区神田須田町1−7 3255-0670 店主の持田さんにはブログに書くとは伝えていない、ようするに宣伝なしだ)。ご近所のお店に感動したのが久しぶりだったので。こんなのは標準を追いつめてきた業態(スーパーやコンビ二)にはできっこないのだ。今日はそれが言いたかった。以上です。

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2009年4月21日 (火)

定額給付金で創造の種を撒こう!

 もはや巷の話題にもならない定額給付金が今日の話題です。なぜでしょうか。コピーを取るのを3日連続で忘れているからです。わたし、健忘症が年々激しくなっているゆえですが、さて、いったい何のコピーなのでしょうか? 

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 お金が頂けるのでありがたいのでムカっ腹は立ちませんが、正直、この国の政策ボケはわたし以上にボケてるかも。

【hmm…なアドバイス374.定額給付金で創造の種を撒こう!】
 定額給付金を受け取るためには2つのコピーが、我が自治体では必要です。ひとつは申請者本人確認。「運転免許証」「住基カード」「パスポート」「健康保険証」「年金手帳」「福祉手帳」「外国人登録証明書」。

 もうひとつは振込先金融機関の通帳のコピー!ええ!口座番号付きのコピーを役所に送るんですか!

 しかも! このふたつをひとつの封筒に入れて送るんです。しかも!それには「◯◯市定額給付金事務センター行」と朱書きされています(朱書きは嘘です_白黒です_笑)。身分証明と振込先のコピー。なんというパッケージ化された個人情報!それを書き留めでも何でもない封書で送る勇気、あなたにはありますか?

 つい先日、総務大臣から改善命令を受けたばかりの郵便事業会社を信用できますか?なんてキツいジョークで、さすがに郵便事業会社はOKとしても、この事業を受託している事務センターは民間企業。そこから情報が流出する危険性はゼロではないでしょう。あの大手M菱系証券会社でさえ、あのありさまですから。

【リスキーなレコメンデーション】
 総務庁は定額給付金の受付に、次の3ツの方式をレコメンドしています。

①郵送申請方式:振込先口座を記した申請書を本人確認書類とともに市町村に郵送し、振り込みにより受給
②窓口申請方式:振込先口座を記した申請書を窓口で提出し振込により受給
③窓口現金受領方式:申請書を窓口で提出し、現金により受給

 我が自治体は①を採用したようですし、隣の自治体であるcherryさんも同じです。窓口も現金も事務は煩雑かつリスキーなので、①が大勢でしょう。

 どんな経緯・根拠・暗算で825億13百万円をはじいたのか、つまびらかに知りませんが、配布対象ひとり当たりに直すと600円くらいになるはずです(桁間違いがなければね_汗)。

 自営業になって役所を訪れる機会が増えて思ったのは、あんがい役所は対応事務合理化に熱心で、テキパキしていました(失礼)。役所=サボりというイメージとは遠かったですよ。現場で改善している彼ら、国から降ってくる仕事が、一給付金トランザクション=600円。時給換算でそれっていくらなの?と言いたいだろうなと思いました。 

Weakな政権の選挙対策=思いつき政策と、中長期で実施すべき施策との間に“断絶”を感じている関係者は、とても多いと思います。

【ハハチチババジジオジオバ】
 1.2万がどのくらい消費喚起になるかわからないけれど、小売業は考えつく限りのセールをします。 

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 引用元 産経ニュース  他

 小売り業のホンネはこうなんです。“何でもいいからセールの話題が欲しい”。とにかく話題に飢えているし、注目を喚起したいだけ。セールのきっかけがあれば、母だろうが父だろうがババだろうがジジだろうがオバだろうがオジだろうが、年金だろうが一時金だろうが脱税だろうが(まずいね_笑)いいのです。小売業は理由なき話題を求める習性がある。それを景気アップとみるのは違う。 

市町村でタイミングもバラバラ、ターゲティングもナッシング、お小遣いありがとう、貯金するよ。だから選挙対策にもならんぜ。1.2万円の景気不要(いや浮揚)対策、効果あったぁ!なんてウソ統計はやめてもらいたい。愚策と謝った方があんがい現内閣の支持率は上がるかも(保証しませんよ_笑)。

【hmm…なアドバイス】
 わたしの定額給付金をあてる購入は帽子です。帽子デザイナーの山之井美穂さんの一品もの。1.2万では足が出ますが、同じものはひとつも無い。街でそれを被る人を見かけたら、それはわたしです。サインはもらえます。特に喜びはないですが(笑)。 

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 定額給付金、「創り手の顔が見えるクリエイティブな作品・手づくり品」にあてるのはどうでしょうか。才能あるクリエイターさんの支援に。わたしたちのビジネス(デザイナー作品販売)で買ってもらわなくてもいい(買ってもらえれば尚いい_笑)。創り手たちが、こんな不況下でも品質を落とさず精魂込めている品の良さを広めたい。 

創造の苦しみ・迷い・ひらめき・創る技術、そんなクリエイターさんの活動への“喝采”をすると、次世代に創造の種を撒くことになります。今日は以上です。

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2009年2月 9日 (月)

今、ユーモア広告を!

 相棒cherryさんが通うパン教室の先生、高橋雅子さんが新たにベーグル&カフェのお店を代々木八幡に出されます。オープンは来週2月21日の予定。ベストセラーをいくつも出されている高名な先生のお店に、クリエイター作品販売のutte事業で、あるお願いをしています。その打ち合わせで訪れた代々木八幡の新店舗、とってもキュートなお店でした。

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 帰り道(地下鉄)で、cherryさんと“ベーグル”の話しをしながら帰りました。「堅いよね、ベーグルって」とわたしが言うと、どうやらそうでもないという。ゆっくり発酵させれば、じんわりほんわりのベーグルもできる。そんな話しの記憶があるところに、このフランスパンの広告を観ました。

【hmm…なアドバイス317. 今、ユーモア広告を!】
 ベーグルは堅いが、フランスパンは衝撃に強い(そうだ)。

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 たしかに皮は堅いですよね。ハジというかヘッド部分は特に堅い。昔のフランス映画で(ルイ・マルか、誰かかなあ)、フランスパンを杖がわりに歩く子どもの姿の映像が焼きいている。杖にしても折れないんですよね。でも強さだけではないんです。しなやかでもある。

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 これは自動車メーカーのCMで、最初の衝撃テストでエントリーするのはフランクフルト。反った姿がドイツ人ぽく強そうに見えるのですが、衝撃でこっぱみじんに爆裂しまふ。ドイツ車って強そうなのに!

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 次なるは“巻き寿司”です。これを衝撃テストにもってくるのは、かな〜り販促、いや反則ですが、まあフランスのエスプリなんでしょう。日本車って巻き寿司のイメージなのでしょうか? マグロやタマゴなど生もの炸裂、寿司メシがこびりついてたいへんだ。あとの掃除を気にしちゃいましたし、さて恵方巻をタテにぶつけると、どうだろふかとか(余計なお世話)。

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 最後はルノーの車はなんちゃってで締めるこのCM、いやあ、久方ぶりのヒットです。おもしろいや。各国の経済クラッシュにも似たようなことがいえるなら、ドイツはソーセージ経済で中身の燻蒸しだい。日本はナマモノ経済で、その日その日でネタを巻く、首相発言がしっくりきますね。

 肝心の米国は、あんがい“ベーグルのように堅固”だったりして?

【おもしろエレベータ・シリーズ】
 オモシロ広告をついでに。エレベータです。わたしゃ(cherryさんによれば、かなり)せっかちなので、ドアの開閉スピードなどを遅くするボタンのついた、“シニア社会向け”エレベータがイライラしゃって。こんなユーモアがあれば、イライラも低下しそふ。

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もちろん映画のPRです。

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これも某映画にありがちなPRです。

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どうやら冷蔵庫のPRらしい。

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おと狭い。メタボリック退治には狭いほうがいい? 

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・・んなときは、やっぱ力でこじあける?

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 いや、階段を使いましょう!

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 水族館エレベータは楽しい! 引用元

【hmm…なアドバイス】
 今日は(月曜日なのに)いつになくcherryさんとバカ話しばかりで、大笑いが絶えませんでした。内容は思いだせないほどくだらないのでやはり思いだせない。utteのオフィスの薄い壁を隔てた隣りには、元は階下にいたテナントさんが仮住まいをしているのですが、さぞうるさかったろうな(笑)。

 そんな日だったので、今日はユーモアをテーマにしたいなと思いました。それにしても、こういうご時世だからこそ、 センスの良いユーモア広告が効きますし、求められている。暗いニュースや年長者の“がんばろう、大丈夫だよ”なエッセイばかりで食傷気味だから。厳しいご時世、広告マンもがんばろう!今日は以上です。

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2007年12月 7日 (金)

“うふふ”マーケティング こぼれ話 贈り物は参勤交代を越えて。

ビジネスメディア誠に書いた『贈る人も贈られた人もわくわくできる――“仙台小箱”に隠された秘密』。その大当たりを知ったのは昨年(2006年)の中元だった。その頃ブログにもちらりと取り上げたことがあった。なぜ単純な三段重ねにしただけの贈答品がヒットしたのか?疑問に思ったからだ。そのときは深く考えず書き飛ばしたけれど、疑問はそのままだった。

【大ヒットの数値を振り返ると】
大ヒットを数値でまとめておくと、次の通り。 

 06年 中元 9700個
 06年 歳暮 2万6000個
 07年 中元 (未確認だが1万個超は間違いない)
 07年 歳暮 目標2万9000個(asahi.comのニュースより)

百貨店自体の規模も違うし、取扱品種の数量も違うので東京など大都市の百貨店とは比較はしにくいが、「3000個も売ればヒット」といわれるぐらいだから、そのヒットぶりは凄い。藤崎の今年のお歳暮のカタログには仙台小箱が実質的に先頭バッターである(見開きで黒澤一門米、仙臺味噌、福治郎の納豆のこだわり商品紹介が各1ページあるが)。破格の扱いである。その後のページも派生商品の仙台じまん、仙台日誌、仙台ゆらり(母宛に一品申し込んだ)と続いて、一般ギフトになる。売りの序列がはっきりしている百貨店ならではである。

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 http://jyoho.kahoku.co.jp/member/backnum/news/image/img/news/2007/20070530011jb.jpg

【小箱のヒットは百貨店の原点の競争力向上に通じる】
ヒットの良いところは、企業の競争力の原点を呼び覚ますことである。

百貨店という販売業態には“縛り”がある。製造元と販売者の“綱引き”と言い換えてもいい。百貨店の商品バイヤーが自らの目利きで商品を選定し、自主企画を売る場でありたい。それが百貨店としての使命でもある。

だが百貨店の商品への目利き力が落ち、売上が落ちると売場の主導権が製造・供給元に移る。百貨店がテナントの場所貸しになってしまう。場所貸し勝負となると、デベロッパーの運営するショッピングモールに遠く及ばない。数百年生き延びてきた百貨店業態が廃れつつあるのは目利き力が落ちたからである。

仙台小箱は自らの目利きでチョイスするパッケージングの点でも、百貨店という業態の本来への回帰となった。これこそ藤崎だけでなく、他の百貨店が財産にすべき点であろう。

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 原点は『新三越本店』 山口晃氏作品
 http://em.m-out.com/ec/html/item/001/001/item767.html

【わくわくも下心あると嫌な気持ちになる】
「ヒットのなぜ」について、贈る人ともらう人の心の接点から書いたのが誠への寄稿である。

わたしがわくわくしたのは「何が来たのだろうか?検分しよう」という浅ましさだけでなく、小学生の分際で三文判とはいえ“一家を代表して”判子を押すことにもあった。そんな機会は中元とお歳暮ぐらいしかなかったからである。母も兄もいない、シンとした部屋の畳の上に、お歳暮や中元を重ねる。眺める。そして中身を検分する。ギフト券や電子ギフトポイントを否定しないけれど、あのときの“頂いた”という感じには遠く及ばない。

一介のサラリーマンだった父に、とりわけたくさんの中元・歳暮が届いたわけではない。そのころ(昭和40年代くらい)まだ盆暮れの贈り物習慣が当たり前の時代であったから、世間並みには届いていた。電力会社でダムや橋梁を設計し、現場所長をしていた父には、発注主の現場代表として協力業者さんからのお届けが多かったかも知れない。

だが一度だけ、父は頂いた贈り物を贈り主に突っ返したことがあった。

子どもの時分なので詳しくは覚えていないが、ひとことで言えば「賄賂」だったのであろう。あるいは貰うとある約束をしなければならない縛りがあったのかもしれない。「これは送り返しておきなさい」と父は母に言った。頂き物は高価なものだったはずだ(賄賂なんだから)。だが惜しいと思うよりも、その時は父よりも先に中身の“検分”をしていなかったことにほっとした。

贈り物には良い物もあれば悪い物もある。最近の某省の贈賄事件だけではなく・・・。

【恋人同士のギフトでも・・・】
だが贈り物なのだから、根は良いはずである。クリスマスはその最たるものである。ジムだってデラだって(O・ヘンリーの『賢者の贈り物』の夫婦)相手を思えばこそすれ違ったのだから。

恋人同士の贈りあうギフトも、お互いを知るはずなのに、考えれば考えるほどむつかしい。相方は喜んでくれるだろうか?相方は持っていないだろうか?相方はいつかXXXが好きだと言っていたが、口先ではないだろうか?

数々の疑問が、「わたしは、相方のことを、実はどこまで知っているのだろう?」につながる。何(十)時間も考えて「これ!」と思って買った品が、必ずしも喜ばれないばかりか、ギャップを露呈させることもある。その時、贈り物は残酷なリトマス試験紙になる。

むしろこう考えよう。感じ方、価値観、生まれ育ち、性格、好き嫌い、生き方・・・いろいろなことに、すれ違いがあったとしても、贈り物はそれを知るきっかけにもなる。ギャップは明らかになるからこそ埋めることもできる。

・・・と考えれば、すれ違いを楽しむのがほんとうの贈り物なのかもしれない。儀礼ギフトもしかり、パーソナルギフトもまたしかり。賢者たちの教えは普遍的なのだ。

今回の連載、果たして読者への贈りものになっただろうか?書き手とのすれ違いも微笑んで済ませてもらって、来週もまた読んでいただくという“参勤交代”になればよいけれど。今日は以上です。

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2007年12月 6日 (木)

贈る人も贈られた人もわくわくできる――“仙台小箱”に隠された秘密

今日はビジネスメディア誠に連載している“うふふ”マーケティングへのリードです。

郷好文の“うふふ”マーケティング:
贈る人も贈られた人もわくわくできる――“仙台小箱”に隠された秘密
儀礼ギフト市場が縮小する中、異例のヒットを飛ばしている人気の商品がある。仙台の百貨店が販売しているもので、名前は「仙台小箱」。他のお歳暮・お中元と何が違うのか? ヒットの理由を解き明かしていこう。

贈り物は、ときに厄介なもの。相手の好みを知っているならまだしも、仕事上の(表面的な)付き合いしかない人、就職の世話をしてくれた父の知人、結婚以来ほとんど会わない仲人さん・・・こういう人々への贈り物は儀礼レベル9.5ぐらいである(10点満点中)。儀礼感情が高まれば高まるほど、贈り物選定に“勘定”が入ってくる。つまり・・・気持ちよくないのである。

マーケットとしは儀礼ギフトは廃れ、その分パーソナルギフトにシフトしてきたと言われて久しい。だが儀礼もパーソナルもきっちり分けられないこともある。礼もあれば付き合いもあるし感謝もある。恋人同士のギフトでないかぎりアレコレ悩むことが少なくない。

ン、まてよ・・・たとえ恋人同士のギフトだって、贈り合ったものがすれ違いのきっかけになることだってあるだろう。O・ヘンリーの『賢者の贈りもの』のような美しいすれ違いではなく、ギフト品の選び方相方とのギャップを見つけたり、“生まれや育ち”を見透かしてしまってちょっと冷めたワ・・・なんてことがありますよね(わたしだけではないはずだゾ)。

明日はそんな贈り物のこぼれ話をいくつか。今日は以上です。

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2007年9月28日 (金)

Video Logo /“うふふ”マーケティング こぼれ話

またしてもドジをしてしまった。

Busines Media誠に書いたテーマ「Anne's fitting show」で、わたし自身がホログラムのように新宿をさまよってしまった。新宿高島屋で行われた「The view of UNTITLED」のイベントをこの目で観よう、錯視はしないぞ!と意気込んで出かけた。1階コンコースの柱にはたくさんの杏さんがいる。おぉ!ここだ。やってるぞ。

 Dscf1273 イベント「前日」の風景。

と、高島屋の入口の前につくと。黒いイベント小屋のようなボックスがある。「The View of UNTITLED」とある。ここだ。間違いない。だが・・・なぜか真っ暗なのである。何もやっていない。しかもkeep outの柵さえある。パンフレットを配布する什器はあった。ポスターもあった。よく見ると・・・。

あらら。今日は20日、イベント初日は21日。わたしは開始の前日に行ってしまったのだった

【Video Logo /“うふふ”マーケティング こぼれ話 】
知る人ぞ知る・・・わたしはドジ多き男なのである。むかし「ドジ踏み」と呼ばれたことがあった(本名よしふみ)。イベント前日という、自己脳内ホログラフィのエジキになったわたしは、めげずにその翌日新宿に行き、杏さんの幻を堪能した。

広告もファッションもうつろうものだから、ホログラフィックな仕掛けがよく似合う。広告はネオンサインの昔から、電磁石の反転式のボード(パラバラ・・・と黒と白が入れ替わるもの)、そして屋外の大画面まで、目立たせるために、その情報量を加速度的に増加させてきた。

広告はそれでよい。だが企業ロゴがうつろうのはどうなのだろうか?デンマークのデジタル広告制作会社viZooは、Free Format以外に「Video Logo(ビデオロゴ)」というサービスも展開している。それは「動く企業ロゴ」なのである。

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【企業ロゴが動く】
viZooのHPにいくつかショウケースがある、「MTV/music television(音楽ビデオがMTVの文字の背景にうつろう)」「vodafone(サッカーシーンが躍動する)」「Lexus IS (燃えるゴールドのイメージがスピード感を誘う)」などが掲載されている。ビデオコンテンツは、企業やブランドを反映してそれぞれ特徴がある。

 Logo04  Video Logo(TM)
 このサイトに事例がたくさんある。http://www.videologo.us/showroom/showroom.htm

従来のピカピカ光るネオン広告や、ボード系のサイン広告とはまったく異なるリアルさがある。店舗のVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)という概念とも違う。装飾というよりも、観る人にロゴが語りかけてくるような感じがする。

もちろんVideo Logoは表示デバイスが無ければ動かない。今の技術では電子ポスターでというわけにはゆかないだろう。カンバンや店内に装置を付けなくてはならない。だからサイン広告の一種ではある。

【企業ロゴとは何?】
ほんらい企業ロゴとは「しっかり」と消費者にイメージをもたせて、記憶させ、潜在意識に定着させるものであった。店頭で商品を手に取るとき、ステータスや信頼や安心やコストパフォーマンスの「堅い約束」があったはずだ。

だがVideo Logoは違う。SONYウォークマンなら、ロゴが歩いてどこかに去ってしまうなんていい。エビスビールならロゴから旨そうな泡があふれて出てくる。ハーゲンダッツならスプーンでロゴがだんだんとスクープされて、最後には消えてしまうなんて良さそうだ。

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 苦労したわりに出来が悪い。ごめんなさい。

とすると、ビデオロゴにしやすい会社、なりにくい会社がありそうだ。スターバックスのロゴが、いつも豆が挽かれていてガァ~っと音をたてていてほしくない。日立グループ連結何百社のロゴの幹が、ずずず・・・と集まって「この木何の木♪木になる♪木になる・・・」というサウンドが流れるのでは、いつもで耳につくので。

【勝手にアドバイス】
企業名を絶えず動かし、見る人を、また見る時間帯により、イメージを絶えず変化させる。そうなると企業ロゴは、あいまいなコーポレイト・イメージ表現ではなく、もっと具体的なコーポレート・メッセージの表現媒体となる。

1990年前半のバブル期にCI(コーポレイト・アイデンティティ)と称され、企業ロゴづくりに何千万円も投下された信じられない時代があった。あそこにもどってはならない。企業なぞ、収益性が低下すれば無形資産も有形資産も帳簿価値が下がる。不祥事があればゼロになる。企業イメージなぞうつろいやすくモロいものだ。Video Logoの根底には、そんな冷めた視点があるのかもしれない。今日は以上です。

 Visoo
 viZoo社自身のロゴはビデオではない。

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2007年8月31日 (金)

お客様行動の謎 5.顧客行動は共鳴ゆえ?

今週からタイトルを衣替えした「お客様に相談室」。お客様の行動の謎ということで、「お客様は左回り」「奧隅と眠りのパーソナルスペース」「マーキング行動」「いらっしゃいませ」を取り上げた。

だがお客様の謎は他にもある。エスカレータで登る人と登らない人がいる謎。レジについてからゆっくりとお財布を出す人もいれば、レジに行く前に小銭まで用意している人。返品やクレームで、難癖をつけるのはだいたい決まった人。

・・・・そして行列という、時に想像を絶する長時間を堪え忍ぶ謎の行動もある。

前にこのブログで取り上げた「行列マネジメント」について、再び取材を受けた。その座談の中で取り上げられたアンケート調査で、「その行列が何の行列かわからないけれど、ただ並んでしまったことがある」という行列体験に話題が及んだ。文字通り「そこに行列があるから並ぶ」という性癖と暇がある人が、当該アンケートでは2割に及んでいた。

この2割の行動をどう読んだらいいのだろうか?一見して理解不能である。

よく考えると、行列には「共鳴行動」というものが作用しているのではないか。そう思い当たった。共鳴行動とは「人は時空を越えて共鳴して行動している」というものである。お客様行動の謎の最終回の今日は、共鳴について考えてみたい。

【お客様に相談室 お客様行動の謎 5.顧客行動は共鳴ゆえ?】
さて、ちょうど大阪で行われている世界陸上選手権ではさまざまなドラマが生まれている(これを書く今日は2007年8月31日だ)。

期待通りの成果を挙げた選手もいる一方、記録なしで落選という結果に終わった人もいる。結果はともかく-。

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【現場オーラ】
スポーツ競技場では、場の磁力ともいうべき力がある。プレーする選手やチームから発せれるオーラもあるが、贔屓の選手やチームへ応援する団体と、対峙する選手やチームを応援する団体との押したり引いたりのオーラもある。テレビやネットからでは絶対に伝わらないのが、その現場オーラである。

現場オーラはスタジアムで共有する不思議な「共通体験」である。ああ、今日のゲームはよかったな。あのまま終わると思ったのに。あそこまで彼ががんばるとは思わなかった。そうだよね、意外だった。でも長谷部がもうちょっとしっかり走ればゲームはすんなり終わっていたのに・・・(すみません、つい浦和レッズの話に流れました)。スタジアムからの帰り、そういう感想を口々にするだろう。それを共鳴と呼ぶ学者シェルドレイク氏がいた。

【シェルドレイクの共鳴理論とは】
この説をひと言で言うと、『生物の同一種が同じ形態になるのは、形態形成場に時空を超えた共鳴現象が起きることによる』というものである。

これは形態に限らず、行動パターンにも現れ、数が多いほど顕著になるといいます。それを生物に限らず、さらに一般化すると、形というものは、遠く離れたところへエネルギーを抜きにして働きかけ、同じ形を生み出す力を持っている。関係の深いもの同士が共有し、離れていても作用しあう、目に見えないつながりがある。
引用元 http://www.ukinfo.jp/culture/sheldrake.php

シェルドレイク氏はさまざまな実験をしてその仮説を立証した。ロンドンの実験室でラット千匹にある行動パターンを学習させると、おかしなことにニューヨークで同じ種のラットにその行動パターンを習得させる時間ははるかに速くなるというのだ。

同じことを人間にも適用して実験した。クロスワードパズルの例は、新聞に出る前にパズルを解く時間と、出た後に(初めて)解く時間が短くなる。隠し絵にからんだ実験でも、テレビ放送前と後では、隠し絵の認識率に大きな差異(もちろんテレビ放送後が高い)があった。

つまり同じ種(人間)なら、同じ行動パターンを「時空を越えて」示すというものである。

わたしはスタジアムというすり鉢状の形状がこの共鳴に強く作用していると、かねて思っている。コロシアムの昔から競技場は囲まれるカタチである。あのカタチに秘密があるのではないだろうか。

 A03 有明コロシアム。

【シンクロニシティ】
時空を越えてとなると、そうだな、と思うのはひとつはコンビニである。朝っぱらでも、急に行列がのびだすことがある。その日の気候が作用するのだろうか?銀行のATMでも(昼休みでもなく、給料日でもないのに)ある時間帯になぜか行列がのびる。みんな現金が必要なデートとか買い物があるのだろうか?そんなことを訝しんでしまう。行列が行列を呼ぶ、みたいな感じである。

その現象を心理学から「シンクロニシティ」として説明したのは心理学者のユングである。

シンクロニシティとは、何か二つの事象が、「意味・イメージ」において「類似性・近接性」を備える時、このような二つの事象が、時空間の秩序で規定されているこの世界の中で、従来の因果性では、何の関係も持たない場合でも、随伴して現象・生起する場合があることをいう
引用元 http://bloom.at.webry.info/200612/article_1.html

シンクロニシティの最たるものは「恋愛」である。わたしは愛を語りだすと止まらなくなり、脱線しまくるので、今回は止めます。でも気心が通じている(と信じている)人とは、どこかでつながっていませんか?逆に言えば通じなくなったときシンクロニシティが無くなりませんか?わたしはそれが、生の言葉よりもより強くつながっている時があると思う。みんながシンクロニシティを信じれば、恋愛沙汰が原因のストーカー事件や殺人・自殺事件はなくなる(特に男性はそうだ)。

 3203041680  再結成されたポリスの往年の傑作。

【お客様同士の共鳴】
お客様の共鳴から少し脱線したが、お客様内の共鳴にはいくつかの種類がある。

 物理的共鳴
 言葉の共鳴
 場の共鳴 
 電子的な共鳴

物理的な共鳴とは、やや明け透けな喩えだが、バーゲン会場での同一品の取り合いだと思ってほしい。抗争であるので共鳴というより、競鳴と言えそうだが、あそこでセールがあるということを、アナウンスだけでなく嗅覚でかぎつける人も多い。これは共鳴現象である。

言葉の共鳴とは口コミである。あそこでXXXが安いわよ。そういう情報がチラシもなく伝わることがある。場の共鳴はスタジアムがショッピングモールやデパートになったと思えばいい空間である。電子的な共鳴とは、ブログに代表される電子網上の喜びや囁きや怒りや独り言の伝言媒介である。

こう書いてきてひとつ思い当たることがある。売れる場と売れない場の(売れなくなった場)の共鳴現象である。現場に立つ人は、風に当たるようにそれに気づくと思う。競合店出店、品ぞろえの悪化、サービスの劣化、価格競争力の低下・・・・いろいろな理由があって売れなくなる。

実はそのことをお客様も「共鳴して」知っている。

そこの売場ないし店舗が劣化しているということを。誰に言われなくてもそれを肌で感じている。では、誰から、何からそれが伝わるのだろうか?それは共鳴と言わずにどう説明できるだろうか。

             *********************

このテーマ「お客様行動の謎」は以上です。まだまだ掘るとおもしろいテーマなので、アンケートなど消費者=お客様の声を交えて深め、別の連載企画/書籍化を提案をしたいと思っております。

 Kotora1 Kotora   
 今週は疲れたぞ。う~んとノビとアクビしちゃおう。カワイイ。

同僚のYukaさんから猫写真のご所望があったので、本文と何の関係もなく(笑)掲載しました。写真は(勝手に)和の師匠 毬詠さんのページから無断転載しました。見つかったらまた怒られます。ごめんなさいと先に謝りつつ、次週は素敵な切り絵作家さんもテーマにしたいので、そのとき合わせて連絡いたします。
http://www.a-yarn.com/marie/

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2007年8月30日 (木)

お客様行動の謎 4.「いらっしゃいませ」で去っていく

みなさんは一日に何回、いらっしゃいませの洗礼を受けるだろうか?

指折り数えて、普通に会社のある駅に着き、コンビニに立ち寄り、2~3度のいらっしゃいませの洗礼を浴びる。ランチにも数度浴びる。スターバックスかタリーズでカフェをすればまた浴びる。夕方にショッピングモールに立ち寄れば、それこそ何十回もいらっしゃいませシャワーを浴びて、家路に着くことになる。

だがそれを浴びて、清らかになっているだろうか?

清らかになってないとすれば、「いらっしゃませ中毒」になるのだが。これだけ浴びてもまだそうはならないところをみると、いらっしゃいませ自体に効果があることを疑ってしまう。むしろすでに「いらっしゃいませ鈍感症」になっていて、聞き過ごしているだけかもしれない。

一日何十回の「いらっしゃいませシャワー」の中で、「ああ、これは良い『いらっしゃませ』だったなぁ」が何度あるだろうか?

 Manekineko103001001  3日連続の猫(笑) 玄関マットです。
 http://www.joaf.co.jp/nobori-new/genkan-mat/genkan-mat-welcome-.html

【お客様に相談室 お客様行動の謎 4.「いらっしゃいませ」で去っていく】
わたしはたくさんのいらっしゃいませシャワーを浴びても、一度も感動する「いらっしゃいませ」に遭わない日がある。むしろ耳障りな、魂こもらず、マニュアルぽい、とって付けたような・・・という苛立ちを隠せないあいさつが多い。むしろ言われないほうが静かでいいのよ。どうしてそれがわかってくれないの?そう言いたい。

たぶんわたしだけではない。ショッピングモールでお客様をぼんやり見ていても、いらっしゃいませという声かけで逃げていくシーンをたくさん目にする。それでも店員は「いらっしゃいませ」を言うのだ。それがマニュアルだからか、手持ちぶさただからか・・・。

【気に障るいらっしゃいませフレーズ】
好き嫌いに個人差があり、特定企業をあげつらうわけではないという前提で、いくつか嫌いな例を挙げよう。

まず「いらっしゃませ」と「こんにちは」のセットが好きになれない。なぜ「いらっしゃませ」だけではダメなのだろうか?あるサイトを読むと、「あなただけへのメッセージ」のために、わざわざ「こんにちは」をつけているという。しかしその場合は、お客様も「こんにちは」と言葉を返さなくてはコミュニケーションにならない。果たしてお客様は「いらっしゃませ」時点でコミュニケーションをとりたいだろうか?

いらっしゃいませの連呼も気になる。店のみんなでお迎えするという意味なのだろうが、違う作業をしていてお客さんの方も向かずに言葉だけ連呼されても、何も嬉しくない。「ありがとうございました!」の連呼にも同じことが言える。

要は空々しいから、いらっしゃいませに心がこもっていないから気に障るのである。お客様はコミュニケーションを取りたいのかといえば、常連かそうでないか、買うのか見るだけかなど、ケースバイケースである。ならば通りすがりにひと言小さな「いらっしゃませ」のひと言ぐらいでいいのに。

接頭語も気になる。「ようこそ○○○○へ」のフレーズは、どうも空々しい感じがしてわたしは好きになれない。「ようこそ」と言われるほど大枚もはたかないし、長時間いるわけでもないのに。

【あいさつにプロフェッショナリズムがない】
なぜ耳障りなのだろうか?それは職業とあいさつが分離してしまったことがあると思う。

わたしの叔父は地方で商売をしている人だったが、その彼が初めて上野アメ横を訪れたとき、あの威勢の良い売り口上に聞き惚れて、その場から立ち去れなかったという話を聞いたことがあった。「まぐろまぐろまぐろまぐろまぐろ・・・・」という連呼で、だんだんと値が下がっていき、底値に達したとき、囲んだお客さんから「買った!」と声が掛かる、あの掛け合いである。

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この売り手のいらっしゃいには「職業呼吸」ともいうべき、リズムがある。商売に根ざしたいらっしゃいがある。買い手の呼吸がそこに合えば、聞いているお客さんみんなが気持ちがいい。

アメ横まで行かなくとも、(減る一方の)商店街の八百屋や魚屋の「らっしゃいらっしゃいらっしゃいらっしゃ~い!」にも職業呼吸があった。いらっしゃいと商売がしっかり結びついているから、いらっしゃい!のあとに「今日は良いカジキが入ったよ」というお薦めが自然に結びつく。お客さんも「じゃ買おうかしら」と合いの手をつい入れてしまうじゃないですか。

こういう例もある。アメリカでNBAの試合を観ているとピーナツを売りに来る。たいがい黒人だ。彼はこれだけを言う。「ピーナツ!ピーナッツ!」 そしてピーナツを買いたいお客さんが手を挙げると、そこに向かって(バスケットのシュートをするように)ピーナツをポンと投げるのだ。お客さんはそれをキャッチする。そこには言葉は少ないがプロフェッショナルな呼吸がある。

 Nba320 NBAです。

【職業呼吸が失われた】
いらっしゃいませをコミュニケーションとするためには、ここに挙げたようなお客さんとの呼吸がなければならない。それがまったく無いのに、一方的に(マニュアル/教育研修通りに)「いらっしゃませ」を連呼するから、お客様は引くのである。

チェーンオペレーションが増えて、「いらっしゃませ」と言う労働者が経営と分離してしまった。だからあいさつも教育のメニューになった。教育が行き届かないとあいさつが絵空ぽくなるのでお客さんも耳障りになる。こういうことは言えるだろう。

だがいらっしゃいませが一方的になったのは、決して教育の不足だけでないと思う。職業に誇りを持つ労働者が少なくなったということもあるのではないか。お客様のことを考えない店員が多くなったのではないだろうか。だから、職業(商売)ごとに接遇は異なるべきなのに、画一的に「いらっしゃいませ」文化が浸透しすぎている。

いらっしゃいませで引かれるのは、ひとつには職業呼吸が失われたこと。これは経済の潮流で仕方ないとしよう。だがもうひとつ、プロフェッショナル呼吸も失われつつあるのが、サービス業で気にあるところである。

 Arch_2 商売の原点を学ぼう。

【お客様の気持ちを先読み】
すべてはお客様の気持ちを先読みできるかどうかにかかっている。いらっしゃいませを最初のコミュニケーションにしようとするなら、そこに来るお客様の気持ちを考えて工夫をしたい。

本屋ならば静けさとBGMだけでいいので、いらっしゃいませはいっさい不要。焼きたてパン屋ならば「いらっしゃませ!ただいまパン・ドゥ・ミーが焼き上がりました!」。美容室であれば「こんにちは、まず今日は、どんな髪にされたいか、お聞かせいただけますか?がいいかも知れない。今日は以上です。

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2007年8月29日 (水)

お客様行動の謎 3.マーキング行動

昨日(2007年8月28日)から少し涼しくなり、ほっとひと息つけました。わたしの老婆も言っておりましたが、昔は30度と言えば猛暑、それが今や40度だからね、と。毎年暑くなる地球を思うと、個人の小さな行動の積み重ねが必要なことは明白です。わたしもエコバッグを買い求めて使いだしました。

小さな行動といえば、こうして(ほぼ)毎日マーケティングのことを考えるのも小さな行動です。しかしそれを見ていて(読んでいて)くださる方もいるもので、今日はある件で取材も受けました。お世話になりました。また別の会社から拙文のお申し出も頂きました。ご縁を大切にしたいと思います。

ブログを書くというのは、たとえれば、ウェブの世界にマーキングを残すことでもあります。個人の思いを文に書いたり写したり絵に描く。無限大のネット空間のどこかにそれが残る。ちょうど猫のマーキングのように「わたしはこれが好き!」という「URLの道しるべ」。それが巡り合わせで誰かに伝わる。マーキングとマーキングが出会う。力が生まれる。

さてお客様行動の謎と題して書き出した今週の「お客様に相談室」は三回目。お客様の行動はマーキングに似ている、ということを考えたい。

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   わたしの買ったスーザン・ベルのエコバッグカラー

【お客様に相談室 お客様行動の謎 3.マーキング行動】
マーキングといえば猫や犬がおしっこを電柱や壁に引っかけたりするアレである。飼い猫は家の中のあらぬ場所におしっこもする。おしっこ以外にひっかく行為もそれだとされる。

 Tora_chibi0306  おっと後ろに。
 引用元 http://tabineko.seesaa.net/archives/200605-1.html

マーキングは動物に備わる本能的な縄張り宣言行動である。だが近頃の室内犬や室内猫(という言い方はなぜかしない)は、室内で飼育されるため、屋外を縄張りとは思わないそうだ。散歩に出た犬はすでに他の犬がひっかけた後の電信柱にさらにオミマイするのだから、それは縄張り宣言ではなく、他の犬への伝言板なのだという。「今日オレはここを通った」「うん、わかったよ、わたしも通ったよ」という「かけ合い」なのだ。

マーキングには「縄張り」と「伝言板機能」がある。

【マーキングは変化の後に】
マーキング行動の本質は「変化に対応して本能的にやる」ものである。縁があってその家に飼われたときが最初の変化で、まず実施検分をしてオミマイをする。躾けがしっかりなされるか、あるいは飼い主が諦めたとき、マーキング行動は落ち着く。だが何らかの変化が訪れたとき、新たなマーキング行動が表れる。たとえば次のようなもの(カッコ内は例)。

 ・同居猫の階級の変化(子猫が生まれた、新しい猫がきた)
 ・同居人間の変化(カレシが居候し始めた、子供が生まれた)
 ・新しい家具などの購入や間取りの変化(ひっかき甲斐のあるソファ)
 ・猫用の家具の購入や間取りの変化(キャットタワーの新規導入)
 ・部屋の匂いが変わる(普段と違うカノジョの異なる香水)

身のまわりの変化に応じて、新たにマーキングをオミマイする。だから「最近、ウチの猫ちゃん、オミマイするの。ちゃんと躾けしたつもりだったのに・・・」と嘆くのは筋違いかもしれない。猫ちゃんは変化に対処しているだけで、いずれ落ち着くのである。
この項の参考&参照サイト http://www.arks.com/arks/kankeigaku.html

【ホモ・コンシューマのマーキング行動】
ホモ・コンシューマ(買い物人)もまたマーキングをする。すべてのホモ・コンシューマがするかどうか断定はできないが、つぶさに店舗観察をすると、大なり小なりしている。

流通業で聞いた話。何も買わないのに毎日のように来店し、特定のフロアを一周するお客様がいるそうだ。ふ~んと興味を惹かれて尋ねた。「どんな人ですか?」「たいがいはお婆ちゃんですね」。その店舗の顧客が高齢化しているせいもあるので、クラスタでの特定は要調査。しかし何気にお客を観察すると、かなり共通項はある。
 
 ・ショルダーベーコンのパックを親指で押す(atスーパー)
 ・無料の脂身を指で潰す(atスーパー)
 ・手に取った缶コーヒーをシェイクする(atコンビニ)
 ・カシミヤのマフラーをつまむ(at衣料量販店)

買わないのにその売場/通路を通るなど、ホモ・コンシューマは無意識・有意識のうちに、さまざまなマーキングをしている。もちろん価格が安くなっていないだろうか?品揃えや在庫が減っているだろうか?といった実利的なチェックもあるが・・・。

【わたしのマーキング】
ひとつ白状しよう。わたしはある品(ワイシャツだっただろうか)が誰かに買われないように、ゴンドラの台の奧にぐぃっと入れて隠したことがある。「オレのだから買うなよ」という排他的な縄張り行動である。これは立派なマーキングである。でも他のフロアに寄ったあと戻って、買ったので許してほしい。

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店舗の配置換えや商品入れ替え、季節の変わり目のバーゲン、店舗のリニューアルなどは、いずれもマーキングを誘発する。店側の都合でやっていることだが、消費者は自分の縄張りが変わったとき、つぶさに何がどう変わったかマーキングするのだ

【マーキング行動を追尾する】
逆に言えば、ホモ・コンシューマのマーキング行動を誘発するような店作り、カテゴリーづくり、棚づくりをする必要がある。新製品導入という視点だけでなく、ホモ・コンシューマのマーキング行動パターンを研究してみてはどうだだろうか?

それに取り組める商品化はすでになされている。大日本印刷が開発した「ICタグ商品棚システム」はICタグを活用して、『来店客が陳列された商品を手に取る回数など、POS データでは把握できない購買前の情報を分析できるとともに、手に取った商品の情報を提供することもできる』仕組みである。
引用元  http://japan.internet.com/wmnews/20060913/5.html

   060912_1 詳しくは問い合わせされたい。  

こうしたシステムでのデータ分析と、店内顧客観察を合わせることにより、お客様の恥ずかしいマーキング行動がアカラサマになる。ここまでやると高コストと思われるなら、お客様に失礼にならないように、お客様を追尾して「棚別のオミマイ」を観察するのも明日へのヒントになる。わたしのアドバイスは「勝手にマーキングさせておけ。やがて落ち着く」であるが・・・。今日は以上です。

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2007年8月28日 (火)

お客様行動の謎 2.奧と眠りのパーソナルスペース

猫はいつでももっとも心地よい場所にいるものだ。

夏は暑さをしのげる冷えた日陰にのたりとのびる。冬はお日様を吸収してポカポカの車のボンネットにちょこんとする。誰に教わることなく、もっとも心地よい居場所を探りあてる。猫はとらわれるものがないから、自分に対していつも自然体なのである。

 File_20061113t154429984 ぽかぽか。  

ところが人間様はそうはゆかない。職業、身なり、所得、体面や世間体、人間関係など、とらわれることばかりだから、ストレートに心地よい場所に行き着けない。まっすぐじゃない。まっすぐじゃないから、その生態を解明するため、遠回りな解釈が必要になる。それがマーケティングというアプローチでもある。

お客様行動の謎と題して書き出した今日は第二回目「2.奧と眠りのパーソナルスペース」(昨日予定したタイトルから変えました)。なぜ人(とくに日本人)は、奧や隅っこが好きなのだろうか?をテーマに。

【お客様に相談室 お客様行動の謎 2.奧と眠りのパーソナルスペース】
あなたはセガフレード・ザネッティ・カフェでどこに座るだろうか?

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セガフレード・カフェといえばオープンカフェである。冬でも店舗を開けはなして、お客さんもコートを羽織りながら座りカフェを飲む。それがこの店のスタイル。

このカフェは他に比べ外国人が多いというイメージがある。たとえば広尾店でも末広町店でも(いずれも外国人が多い場所ではあるが)その通りであり、そして外国人はおおよそ店頭にせり出した場所に座る。サングラスをかけ、足を組んで座る。暑くても寒くてもそれは変わらない。

 Ucw111 これが同店の標準形。

それがまた(癪だが)サマになっているのだ。お店を額縁にはめた絵とすると、絵の構図ができあがっている。カフェのせり出したポジションに座る日本人は少ない。一事が万事と言うつもりはないが、外国人にせり出しが似合い、日本人には奧が似合う。

【欧米の外国人とカフェはよく似合う】
実際にセガフレード広尾店では2階があるが、そこは日本人ばかり。スターバックスやタリーズといったカフェでも、外は外国人(店頭のテーブルで立ってお喋りする人もいますよね)、内は日本人という事情は似ている。日本人で外にいる人は、どうやら喫煙をするからであり、自ら進んでオープンカフェにいるわけではなさそうだ。

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カフェといえばオープン環境が多い、彼ら(欧米)の出身国の習慣からだろうか?それともコミュニケーションの持ち方の違いなのだろうか?他の何かの作用が働いているのだろうか?

余談で、しかもコンプレクスに過ぎないのだが、欧米の外国人とカフェはよく似合う。自分を含めた日本人でサマになる人は少ない。こんなことも何か影響しているのだろうか?

【席が選ばれる因子】
お店の席はもちろん外人・日本人で決まるわけでない。いくつもの因子から、場所の良し悪しが瞬時に判定される。わたしの因子は比較的単純だ。

 タバコ喫い>子供連れ>おばさん団体>おじさん団体>カップル

XXX>の左側が、なるべく近くに座りたくないという劣性順。女性なら寒そう(男性なら暑そう)も気になるし、BGMの場所も気になるかも知れない。従業員動線も因子のひとつだ。連れがあるのかないのか(同性か異性か)、そうしたTPOで違う。

だがわたしもそうだが、みんな奧に行きたがるのだ。TPOもあるけれども、磁石のように、奧や隅が好まれるのは事実である。

【電車では隅に座る】
電車で隅に座るか、中に座るか。コトノハで「電車では隅っこから座る」○か×か、がある。その結果は(予想通り)圧倒的に隅っこから座る、が多い。隅から座る人の主なコメントは次の通り。

「入り口から近いし寄っかかれる」「はじっこが好きなんです」「そうそうそうそう、皆ほっといて^^」「端っこLOVE落ち着くのw」「カド好きなのです」「落ち着く」「隅族」「隅っ子です」「隅が取れなければ見送ることさえある」「パーソナルスペースを守りたい」「真ん中は、なんか申し訳ないような気がするからこっち」「まんなか落ち着かない」「人と接触するの嫌いですから」「寄り掛かりたい」「My指定席」「隅大好きw」

中から座る人は少数派だが、コメントのいくつか。
「隅っこを譲る(ようにしている)」「真ん中」「ガラガラの時はどまんなか」「ど真ん中も好き」「気にしていない」「夏は隅だけど、冬は真ん中」「隅っこのとなり」

  Tube どこから座る?

投票数の差からしてもそうだが、コメントを読めばわたしたちは「端が好き」であることは間違いない。それも実利的な理由があるわけでなく、理由もなく隅が好きというのが大方の気持ちのようだ。

【パーソナルスペース】
ひとつの学説に依ってみよう。「パーソナルスペース」という理論がある。

『人と人との快適距離―パーソナル・スペースとは何か』(渋谷昌三著)は、文化人類学者のエドワード・T・ホールが提唱した、プロクセミックス(proxemics 人と人の距離を研究する学問=近接学)がテーマである。パーソナル・スペースとは「個人空間」であり、人間におけるプロクセミックスが「密接距離」「個体距離」「社会距離」「公衆距離」の四つの段階によって構成されると論じた。

 密接距離:愛しい相手には愛しく、嫌な相手には排除という「エルボー・ディスタンス」
 個体距離:自他を区別し、個人が成立する距離
 社会距離:相手に見つけられるか見つけられないかギリギリの距離
 公衆距離:通りすがりの距離

この理論では人が快適さを維持する、おおよその距離を設定している。有名なのでご存じの方も多い。だから店舗や公共空間の設計に応用もされている。

この理論の個人的な応用だが、人の距離感は変化するのだと思う。店舗へ入るまでは公衆距離(5m超)を保ち、席を選ぶ(案内される)ときには社会距離(2m)に気をつけ、座るときには個体距離(75cm)の間隔をチェックする。密接距離までの「時間距離」をいかに測り縮めるか?女性とのこの間隔はしぶとく考え抜きます(笑)。

密接は熱いカップルにまかせて、レストランではこのような間合いの取り方というか折り合いの付け方が瞬時にあって、やがて落ち着いて飲食をする。要は猫のマーキングのようなものかしら。
参考サイト http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140016051/daiya0b-22/
参考サイト http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0213.html

【居眠り=パーソナルスペース】
電車の中で居眠りができる日本を見て外国人は、「なんてこの国は平和なんだろう」と言う。だがわたしは居眠りをするのは、むしろ警戒しているからではないかと疑う。

 居眠り=パーソナルスペースづくり、なのである。

日本は世間も職場もストレスの多い社会である。そこからの逃げ場が「奧」や「端」なのではないだろうか。人間関係は見知らぬ公衆距離なのに、電車の中では否応なく個体距離を強いられる。隣の人が居眠りして寄りかかり、エルボーが当たれば、立派な密接距離なのだ。

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 出典 http://halfmoonbay.blog.ocn.ne.jp/mays_cafe/2006/06/index.html

だが幸運なことに、潜在的にストレスフルでも、欧米のような生命の危険は低いので、奥に行くことと眠りのパーソナルスペースづくりが国民性になったのではないか。今日は以上です。

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2007年8月27日 (月)

お客様行動の謎 1.お客様は左回り

今回から1週間(5回前後)で書いてきた「勝手にアドバイス 旬ネタ」のタイトルを改めます。新しいタイトルは「お客様に相談室」。わたし自身にとって、ずっと変わらない旬ネタは、お客様、であるからです。

でも気をつけてください、「お客様相談室」ではありません。お客様「」相談室です。

いつも気になるのですが、多くの会社にあるお客様相談室という名称は「用事があるなら来い(無ければ来るな)」というニュアンスがありありです。「」を入れることで、お客様の話を聴き、その心理や行動の本質を理解してマーケティング構造改革をしよう!これがメッセージです。図らずも「勝手にアドバイス」も「お客様に相談室」も「に」がポイントになりました。

               **********************************

【お客様に相談室 お客様行動の謎 1.お客様は左回り】
さて今回の「お客様に相談室」のテーマは『客行動の謎』である。お客様はなぜそのような行動をするのだろうか?という素朴な疑問をテーマにしたい。

わたしは都内の下町育ちから、郊外の某マンションに移住してかれこれ十数年である。下町(豊島区)の祭りと言えば、鬼子母神の万灯供養という大きな祭りが年間の最大イベントである。祭りとはそういうものだと思って育ったが、郊外に移住すると「これが祭り?」と思うようなチャンチャカ・イベントと素人祭り、そしてあろうことか盆踊りなのである。

その批判が本稿の目的ではもちろんない。だがひと言いいたい。真夏にマンション街の行事として行われる「盆踊り」、チャンチャカと大音響も耳障りだが、ヨサコイだのサテコイだの、拡声器による音頭の合いの手には恐れ入谷の鬼子母神である。神をも恐れぬ仏の所業である。それはそれとして・・・。

 「なぜ盆踊りは左回りなのだろうか? 」

左回りとは「時計と逆回り」という意味である。一説によると全国各地で左回りらしく、昔から左回りと相場がきまっているようなのだ。調べきったわけではないので、逆証もあるかもしれない。

 Bonodori やはり左回り。

神様か仏様かが「どちら回りで踊りなさい」とご託宣したわけじゃないだろう。だがどこでも左回りと相場が決まっている。そこにはきっと何か理由があるに違いない。

【左回り動線を軸にする店舗づくり】
店舗動線は左回りである。盆踊りの伝統なのか、欧米から伝わってきた流通業の理屈なのか、動線を左回りにするという倣(なら)わしが浸透している。

入口から入り、右に折れて、左に回って買い物をするという人の流れをつくる、これが左回り。コンビニでは右に折れて雑誌コーナーがあり、突き当たりに飲料があり、回ってレジに近づくにつれて総菜やパンがあるというレイアウト。スーパーでは入口から入り右手に野菜、奧に鮮魚や精肉、真ん中に乾物や菓子・・だいたいそのように作られているでしょう。

  20061201_68720  キャメロン・ディアズも左回りだろうか?

左手でカートを押し、右手で品物をピックする(電話もする)。これが標準だから、POPも島出し陳列も、左回りでお客様を迎えたときに目に入るような位置・角度で作られる。

【ベスト新宿本店の法則】
この法則はコンビニやスーパーの日用品購買にだけでなく、高級品にも適用される。高級時計を扱うベスト新宿本店の社長の石田憲孝氏は自身のブログでこう書いている。

ちょっとずれましたが、僕の店舗は、すべてそういうこと(左回りで)で配置を考えています。
それは、「居心地のよい空間」をつくるということです。あくまでも接客を意識した環境をつくっていくということは、回りやすいことではないということです(つまり左回りとは逆の位置的関係です)。落ち着いた環境をつくり、長く滞在させるには「左回り」の環境に対応した環境が必要です。

引用元 http://blog.livedoor.jp/noritakaishida/archives/53652467.html

 Floor_4_1 新宿店4F 高級と伝統を提案するフロア

マクドナルド出身の石田さんはずっと「人の行動統計」に興味を持って、さまざまな疑問や仮説を考えたそうである。「なぜここがお客に良い場所か」「なぜここは悪い場所か」「色、匂い、空調はどうなのか」・・・そういう思考が高級時計の店舗づくりにも活かされている。

右回り(時計回り)に動線をつくり接客をするということは、お客様が居心地が悪くなる。右側で商品を検分し、手にとり、にらめっこしたいのに、すぐに店員とがっつんこと対面するような店舗環境となりやすい。お客様は逃げる。お客様を滞留させるには、奧に誘導させてからじっくり接客する。

【利き足という説】
石田さんの話しのベースは「多くの人が右利きである」とうい事実からである。だがそれだけでなく、利き足が左回りを誘導するという説がある。多くの人は右利きであり、右足で踏み出すので左回りになるのがその内容である。

右利きならば、自転車は右足で踏み出す。女性がギコギコと片足乗りして乗るときも、右足を踏み入れて加速している。ちょうど世界陸上が開かれているが、陸上競技でのトラックもまた時計と逆回りである。それは『1913年にIAAF(国際陸上競技連盟)が「レフトハンド・インサイド=左手を内側に」と統一したから』とある。7割が軸足が左足で、踏み出す足は右足とするほうが早く走れるという理由からだそうだ。
出典 http://www.hamaspo.com/sport/vol_164/ans.html

チャップマン利き足テストというものがある。「サッカーボールを蹴る」「缶を踏みつける」「砂に足で文字を書く」「砂地をならす」「片足跳びをできるだけ速くする」「できるだけ高く足を蹴上げる」「足先でこつこつリズムをとる」などの11項目のテストで、左足を用いる場合=3点、右足=1点、両方=2点を付ける。すべての項目で左足なら33点、逆にすべての項目が右足なら11点となる。

このテストによる調査では、右手が利き手で、右足も利き足の人はなんと94%という結果である。
参考 http://personal-dictionary.com/enq/view/enq.asp?EID=44202

【キスも左回り】
道や雑踏では、左側通行の人が多いのも利き足のせいだろうか。圧倒的に左側通行である。だがわたしはアマノジャクなのか、気づくと右側通行をしている。だから前方から人が押し寄せてくる。多勢に無勢には逆らえず、肩にアザができる前にわたしは左側に避難するのだ。

わたしはアマノジャク・・・と思ったが、道行くスィートなカップルを見て、ふと思った。そうだ!キスをするときは、男性は女性の右側、女性は男性の左側が多いのだ!つまりキスもまた左回りなのだ(それはわたしだけだろうか?)。男が女にかぶさる限り、それは真実だ!とひとり合点した。

 Photo  逆もまた真なり。

キスの左回りを納得しつつ今日は以上です。『お客様行動の謎』では明日以降、以下のような構成を想定しています。右回りになったらごめんなさい。

1.お客様は左回り(本日)
2.奧隅はなぜ心地よいか
3.マーキング行動
4.「いらっしゃいませ」で去っていく
5.顧客行動は共鳴伝導ゆえ?

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2007年5月12日 (土)

ブロガーズ・パラドクスからの脱出 まずは新丸ビル

ブロガーズ・パラドクスというものをご存じだろうか? 

ブログは日記である。頻繁に書かなければならない。頻繁に書こうとすると出かけられなくなる。出かけられないとネタに困ってブログが書けなくなる。それがこのパラドクスである。

わたしがブロガーズ・パラドクスに陥りかけたとき、Cherryさんからメールが飛んできた。「一昨日、新丸ビルに行きました、それほど人混みではないし、大人のお店が多いので落ち着けます・・・・」 そうか、パラドクスにはまっていた。これはまずい。ということでさっそく出かけた。ざっと歩いただけですので店舗紹介はできません。

休日の今日は、東京1000m上空からの雑感です。

01_20  祝!開店!

【勝手にアドバイス Vol.167 ブロガーズ・パラドクスからの脱出 まずは新丸ビル】
新丸ビルの重厚なコンセプトデザインは英国の設計家の手による。

「新丸の内ビルディング」のコンセプトデザインを担当するのは、ロンドンで活躍する世界的な建築家、マイケル・ホプキンス卿。ハイテクなイメージと落ち着きある英国趣味の融合、また都市の歴史性を踏まえた設計で高い評価を得る彼の手腕は、ここ丸の内エリアにおいても如何なく発揮されることだろう。
出典 http://www.shinmaru.jp/04_about/concept.html

重厚感のある内装デザイン(手摺りまで皮で巻かれている)、ゆったりとした空間(通路も広く、ソファが至るところにある)、そしてショップ群もテナントを入居させたという感じがせず、選りすぐりの店舗を配しましたという穏やかさがある。東京の玄関口の歴史、がテーマでもある。

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ロゴ開発コンセプト
ロゴマークは、丸ビルとの連動性および一体感を持たせるため、丸ビル同様に“M”の文字をモチーフとし、新丸の内ビルディングの“Massive”(重厚感のある)な存在感を象徴的に表現しつつ、エレガンス、上質感も加えてデザイン化しました。

出典 http://www.shinmaru.jp/04_about/concept.html

丸の内の大地主、三菱地所の開発による。比較してみようと六本木ヒルズのウェブサイトをのぞくと、今のトップページは「スパイダーマン3」が踊っている。サイトの色づかいからみてもポップなコンセプトが伝わってくる。こちらのオーナーはもちろん森ビルである。そして東京ミッドタウンは「おもてなし」「都市機能のコラボレーション」「グリーン(緑)」がコンセプト。竹を多用した緑の多さ が印象的である。オーナーは積水ハウス、全農協、大同生命、三井不動産などのコンソーシアム。

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上品=三菱地所流行=森ビルおもてなし=東京ミッドタウン・コンソーシアム。良くも悪くも、オーナーの企業イメージやコンセプトが伝わってくる都市開発である。訪れるわたしたちにも選びやすていいじゃないですか。わたしは新丸に1票を投じたい。もう1票あればミッドタウン・・・いや丸ビルにかしら。

【新丸ビルをぶらついて見て】
まだ1Fと4Fぐらいしか見ていないが、気になったお店は、手ぬぐいと和雑貨のかまわぬ、生活雑貨のBshop、デザイン雑貨のIdea Seventh Sense、素敵なシャツがあったTABLOID NEWSなど。いずれも4Fである。Idea Seveth Senseに犬段という段ボールで組み立てる雑貨があり、犬好きの老婆(母のことです)が病院で退屈しているので買うことにした。

 Dt5710350_1   Stand  ヒト段もあるが5万円。

歩くだけでも楽しいので、これから帰宅途中にぷらぷらして商品眼を鍛えよう。ブロガーズ・パラドクスがブロガーズ・パラダイスに変化するだろうか?だが、これで丸ビル、Oazo、そして新丸ビルと、東京駅丸の内に一大ショッピングセンターができあがった。このことをどう考えればいいのだろうか?

【勝手にアドバイス】
①都内のオフィス街がショッピングセンター化する
汐留、六本木ヒルズの開発から、職と食と遊が大規模化してきた。わたしの働くビルにも食ぐらいは一通りあるけれど、話題を呼ぶようなお店はない。何よりも土日は閑散としている。今は、平日も土日もフル稼働するオフィス・コンプレックスが主流になったのある(もちろん家賃が高いので土日を計算せざるをえない)。

②都内の既存ショッピングセンターが劣化する
東京駅で言えば、八重洲地下街の危機感は強いだろう。これまでショッピングなら八重洲、労働は丸の内だったのが、人の流れががらりと変わりつつある。八重洲地下街の一部は改装中であり、大丸は2011年竣工をメドに移転増床計画に着手する。

だが集客上の危機感は都内全域で高まっている。ちょうどベルビー赤坂は2007年5月10日に全館リニューアルを行った。56店舗中35店舗をリニューアルし、内14店舗が第1号店ないし新業態という本気さ。この店舗規模(12000㎡)のクラスになると、丸ビルやミッドタウンの影響をもろにかぶるからだ。

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③郊外ショッピングセンターの競争力低下
新丸ビルもベルビー赤坂もそうだが、新業態の開発や地方の優れた店舗の発掘がなされており、「店舗のセレクト」が競争力の源泉になっている。その目で見ると、郊外ショッピングセンターやGMSには似たようなショップが多くてまったく退屈である。それに母の日にカーネーションを大量陳列するような企画力では・・・・店舗づくりに差がますます開くばかりである。

労働者の収入格差は開くばかりだが、店舗開発の都市・郊外・地方格差にも、ため息を吐いてしまった。

今日は以上です。ブロガーズ・パラダイス情報、お待ちしてます。

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2007年4月17日 (火)

縮小するキヨスク

先週のニュースで気になったのが、JR東日本のキヨスクが大きく減少していること。目下の休業の主な理由は販売員の減少と言われる。店舗リストラが効き過ぎたせいで、販売員が一時的に足りなくなり、「東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の約560店舗のうち、現在185店舗が臨時休業中」なのだとか。

ところがちょっと調べてみれば、店舗のリストラは相当進められてきた。JR東日本管内でピーク時(1996年)には1600店舗あったキヨスクは、2006年時点では800店になり、2007年度に560店に絞り込んでいるさなかの出来事であるのだ。
参照 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070413-00000108-yom-soci

わたしは駅でスポーツ新聞をほとんど購入しないが(ストーンズ初来日、W杯予選突破、浦和レッズ優勝のときぐらいだっただろうか・・・・)、さらにpod castingのおかげで、以前は英語勉強のために時折買っていたDaily Yomiuriも最近は買わなくなった。振り返ればキヨスクでモノを買わなくなった。今日はそんな実感と共に駅起点ビジネスの変化を考えてみたい。

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【勝手にアドバイス Vol.153 縮小するキヨスク】
駅スタンドのキオスク自体が、時代の流れにそぐわなくなっている、とも指摘する。「団塊世代が一斉に退職した影響は大きかった。新聞、雑誌、たばこといった、キオスクの主力商品が売れなくなってきています。その一方、コンビニ型店舗は売り上げを伸ばしています。
出典 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/17/news094.html

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http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/17/news094.html

1988年の売上高1,799億円の95%がキオスクだった。17年経って2005年では、売上高2,271億円の内、キオスクは37% 795億円に過ぎない

【キオスク衰退の要因】
衰退にはいろいろな要因がある。

①駅で新聞を買う人が減少した。
携帯ウェブサイトやワンセグでニュースは視聴ができる。新聞の手軽さと低コストの魅力がゼロになったわけではないが、駅という情報拠点がどんどん変化する中で、旧メディアの象徴でもあるのかも知れない。

②駅でタバコを吸えなくなった。
JR東日本では2007年3月18日から先に新幹線と特急では全面禁煙に踏み切っており、駅でも分煙・禁煙が進んでいる。駅で吸えないタバコを売るなという声もあるようだが、禁煙推進もキオスクの売り上げ減少の要因になっているだろう。

③キオスクのオバサンの手さばき・客さばきという属人性
手早くお客さんをさばくキオスク店員の確保がむつかしくなってきたということもあるだろう。自分でチョイスしてレジで決済(Suicaで決済もできるようになってきた)というコンビニエンスモデルと逆行している。キオスク自体も従来の角形店舗から曲面型店舗に移行し、取りやすく・払いやすく・陳列量を確保できる店舗モデルを開発してきた。

   Kioskshop

④商品がこれだけバラエティが出たのに、キオスクは単品販売に近い
JRが民営化したころ、キオスクという絶対的な物流チャネルに自社商品を乗せてもらうために、どれだけの営業活動・交渉をしたか、キオスクが君臨していた時代があったのだ。今でも、もちろん売れるチャネルであることに変わりはないが、オンリーワンの販売チャネルではない。

今ではちぐはぐなこともある社内の中吊り広告で大々的に広告が打たれているのに、その新製品は品揃えがなされていない、こういうモノはたくさんある。あれだけ車内をひるがえる女性誌の中吊りも同じ。駅で変える女性誌は極く少数である。広告と品揃えがアンマッチというのはおかしなことである。

消費の多様化、商品の多様化にコンビニが真っ向から取り組んでいるのに対して、比較的長寿命のコモディティ商品が多いような気がする。もちろん店舗スペースには限りがあるが、時代が変わってもマーチャンダイジングに大きな変化が感じられない。

【駅利用者の買い場が変わってきた】
買い場とは伊勢丹の用語と言われるが、それをわざわざ使った理由は、駅構内とは言うまでもなくJRなど鉄道事業者の資産であり、外から見るとその自社資産を計画的にキオスクなど店舗開発・出退店をしているように見えるだろう。誰もが駅に行き、駅を降りる。言わば殿様商売のように、圧倒的な立地力を持っている。

だがキオスクの減少に見られるように、駅利用者の消費スタイルやニーズが大きく変化している。JRといえども、その変化にあわせて、サービス業態を変化させなくては買い手を失うのである。だから「買い場づくり」という視点が必要だと思う。その変化をキーワードで見てみる。

駅ソノマンマ」(キオスク) 不採算なキオスクを閉鎖する一方で買いやすい店舗へ改造。
駅コウナイ」(Newsday/コンビニ) 駅構内という圧倒的な利便性
駅ナカ」(エキュート大宮、品川、立川) 大規模商業施設
駅コウカシタ」(品川の品達ラーメンなど) 遊休地活用
駅マワリ」 電子マネーSuicaをテコにの商業タウン開発

このようにJR東日本の空間プロデュース力はすごい。エキュート大宮の賑わいづくりは、驚かされた。そして今、Suicaによって、電子マネーの活用策は駅から駅マワリへ広大になってきた。

その分、キオスクはリストラ・・・・それも経営視点ではポートフォリオなのかも知れないが、あれほどの一等地を再開発できないのだろうか?

【ヒントはIt's Demoにあり】
相棒のCherryさんはふら~っと『It's Demo』に入って、流行のCDや雑貨を買ってしまうらしい。それを聞いて、名古屋の名鉄口の店舗をおもしろそう!と思ったが、中には入らなかったことを思いだした。

 Logo_its_demo  

It's Demoは男性はあまり立ち寄らないお店なので、オトコには何それ?でしょう。名古屋はわたしはお客さんの関係、埼玉県の結構な田舎の某駅のIt's Demoにも気になった。店舗は小ぶりだが、何と言っても商品数に対してその陳列の潔さにグッときたのである

このお店、つまり小さなセレクトショップなのである。運営はアパレルのワールドからのスピンアウト。フード、コスメ、音楽、雑貨、アクセサリーなどを取り扱うが、音楽ひとつとっても「どこで見つけてきたんだろう?」というようなセレクト感がある。雑貨も「目玉焼きアイピロー」「フライパン栽培セット」、レターセットもかわいい。

It's Demoのビジネスパートナー募集のページを見るとこうある。 「価値ある商品が、市場に出ないで眠っていませんか?同じモノでも、ターゲット志向に合わせた販売方法をとることで、魅力的に変身します」。さらに「モノづくりを一緒に取り組みましょう」「ファッション&遊びに好奇心旺盛な女性顧客様に満足していただける商品を共同開発しませんか?」ともある。

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セレクト&開発で現在34店舗、売上高は49億円。あの小さな店舗で年商1億円以上なのである。男性の方もJRの駅のイツデモを見てください。セレクトに興味がわくと思います。

【勝手にアドバイス】
It's Demo、JR東日本のキオスク建て直しのヒントは、あんがいこんなところにないだろうか?

何が言いたいかと言えば「セレクト」という能力開発が必要なのではないだろうか?セレクトは品揃えとか陳列とはまったく違う思想であり自分表現である。セレクトとは、あなたにそれを買ってもらうとあなたはHAPPYである、という説得であり、売り方のアートなのである。

僭越であるが、キオスクにはそれが欠けているような気がするのである。団塊世代が大量に退職したのに、キオスクの品揃えは、まだ団塊世代そのまんまのような気がする。商品セレクトがきちんとできれば、もっと売れるはず。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年4月14日 (土)

カスタマー・バリューのフロンティア 6.売り手の情熱:トヨタbB 若者による若者のための・・・

【カスタマー・バリューのフロンティア 6.売り手の情熱:トヨタbB 若者による若者のための・・・】
消費者行動と消費者調査をテーマにしてきた今週の旬ネタ、今日は最後である。

心脳マーケティング』には、従来のリサーチは、つくった仮説を検証するという運命から逃れられないという主張がある。

市場調査の80%以上は追認的なものであり、それによって新しい洞察が明らかになるというよりも、すでに調査者が持っている信念や本当だと考えている事柄を確認するものである。
『心脳マーケティング』 ジェラルド・ザルトマン著

もちろんリサーチにも段階があり、追認型のリサーチをすることで需要量を想定する作業段階もある。だがザルトマン氏が指摘しているのは、商品のコンセプトを抽出する段階、絞り込む段階、そして揺さぶる段階でも、追認型に陥っていないか?という問題意識である。

次々に新しい地平線から競争相手が現れる現代において、既存業界の商品開発やサービスのあり方、業界慣習などを取っ払って、既視なる状況や枠組みをリセットすることが求められる。だからこそ従来の路線で安易に開発し、その検証も追認に陥ってはならないというのだ。それは事実である。

だが、自らの仮説を「無意識に」確認してしまうのなら、むしろ罪は軽い。経験の浅さや、やる気の空回り、若気の至りということもあるから。罪が重いのは、決めておいた答えを誘導するたぐいの調査やアンケートである。予算取りのための顧客アンケートや、「社員の声を(一応)聴いたぞ」的な社内アンケート。良し悪しはいろいろあるが、世の中にはこんな事例がたくさん転がっている。

脱線した。今日考えたいのは別のことである。追認型はナンセンスだし、業界の慣習や既存の商品やサービスを見る視点をリセットした方がいいのは事実。だがマーケターや開発者は仮説をまったく持たず、心理的なバイアスがまったく無いことがよいのか?それは違うということである。

【トヨタbB】
2005年12月に発売したトヨタの『bB』は、車離れが著しい20代向けの戦略車種として発売された。20代の車離れは市場全体の問題ではあったが、トヨタにとっては年代別シェアで、この年代だけが40%を下回るという、未来への危機感もあり、なんとしてもヒットさせたかった。そこで商品開発はすでに終盤にさしかかっていた2005年2月に「誰もが見たこともない宣伝をしよう!」という目的で、27歳の宣伝広告室社員の中澤さんリーダーにするプロジェクトチームを発足させた。中澤さん以外に商品企画、デザイン、営業、技術から若手を7名選出し、いかに20代にアピールするかを検討した。

まず最初の気づきは、「若者はTVを観ない」という事実だった。中澤さん自身もほとんど観ない。ところが自動車の宣伝はTVCMで知名度を上げるのが常識である。20代にはそれでは伝わらないので、基本を口コミ・ネットコミのキャンペーンに据えた。そこまでの方針はチーム内ですんなりと決まったが、問題は前例否定の宣伝をいかに経営層に説得するかであった。

【車ではなくて、音楽プレイヤー】
中澤さんらが実行したのは、キャンペーンやイベント案(この時点では仮説である)を4つに絞り込み、調査会社と連携して、実際に20代の約60名の男性に生に聞いてみることだった。だがキャンペーン案やキャッチコピー案まで事前に開示してしまうと、市場に漏れてしまう可能性があり大きなリスクであった。そのリスクをあえておかしても、前例がないことをするためには、若者の生の意見を聞くべきだと判断したのだ。

そのキャッチは、『Toyotaの車型ミュージック・プレイヤーbB』である。これは車ではなくて、音楽プレイヤーなのである。革新的な宣伝であった。

 Toyotabb

このキャッチコピー案までを示して「どう思いますか?」「なぜおもしろいのですか?」「どこにどきっとするのですか?」と、なぜなぜ質問を5回繰り返すということをしつこくやりのけた。若者は車離れしていても、音楽離れはしていない。車として売るのではなく、音楽プレイヤーとして売ろうという発想だった。もともと開発コンセプト段階で、9つもの高性能スピーカーを搭載することは決まっていたというが、デザイン部門からは、アグレッシブなデザインではなく「ミュージック・プレイヤー」として売られることに抵抗もあった。

それを中澤さんらは「若者は車と聞いただけで関心を失う。それが現実です。だから関心を喚起するために、多くの若者が興味を持つミュージック・プレイヤーだと宣伝すべきです」と、生の声を集めた調査データを示して、経営陣を説得した。 (以上、日経情報ストラテジー 2007年4月号を引用&参考)

 Toyotabb2

この画像bBのイベント告知の案内なのであるが、ぐっとくるのは小さく書いてあった次の文面である。

※試乗体験は、bBのミュージックプレイヤーとしての魅力を体感していただくものであり、試乗運転ではありません。(運転免許証は必要ありません)

運転しなくていいですよ、乗って音だけを聴いてください、というのだ。徹底しているじゃないですか。こんな車の宣伝はこれまでなかった。

【冷静に情熱を抱け】
このトヨタの事例の素晴らしいところは、従来の宣伝や広告を一切リセットし、生活者目線で、本音や本当の気持ちをベースに宣伝案(仮説)をつくり、それを事実(調査)で裏付けたというところである。

「5.AVISレンタカーの利用者体験からの改良」のAVISレンタカーの事例では、調査チームに「未来学者、心理学者、文化人類学者」という他業界のアウトサイダーを入れて、予想もつかない視点から分析するというアプローチがあった。これも新鮮である。専門的な第三者という客観性が保てるからだ。

だが、その商品を創る開発者自身が、冷静に熱くなることも必要である。開発者が熱くなるから、プロジェクトが成功した、とはどこでも聞くことであり、個人的にも間近で観てきたことである。熱心さを統計には取れないが、熱心なリーダーの存在が成功の確率を大きく上げることは間違いないだろう。一方で熱いだけではダメだ。冷静にとは既視感をリセットした仮説をもつこと、熱くとはその仮説を立証することである。

ザルトマン氏も同じことを言っている。「冷静に情熱を抱け」。 「新しいアイデアに対する情熱(または感情)は、創造的な思考を活発にする」と。既視感をリセットするのにも情熱力がいる。

【フォト・サンプリング】
bBのリサーチでこうした手法が使われた痕跡はないが、フォト・サンプリングという調査手法がある。

今や数千万人が携帯電話のデジカメを肌身離さず持っている。その写真機能を調査に使うものである。さまざまなシチュエーションで行えるが、たとえばペットという調査テーマならば、ペットをめぐって気になる写真を撮ってきてください、それをリサーチャーに送ってもらって、その写真を見ながらインタビューを進めてゆくというものである。

ペットの挙動やいたずら、しつけ、食事、遊び、病気など、さまざまなシーンがあると思われる。被験者に「なぜその写真を撮ったのですか?」「何が気になるのですか?」「なぜ今売られているペットグッズでそれができないんですか?」などと、質問も深ぼりができる。ひとりのインタビューからでも、相当な知見やアイデアが得られる。もっとも、ペットの写真だけ持参してもらって、ペットは連れてきてもらわないようにしよう。ペット自慢談義で終わってしまうので(笑)。

 Neko  とあるペット。(無断掲載_笑)

dBの場合なら、音楽ライフというテーマだけを与えて、何でもいいから写真を撮ってきてください、それをもとにインタビューをしましょうとなるだろうか。そこに果たして車が出てくるかどうかわからない。だが音楽を聴く従来のスタイルを変化させる発想が、湧いてくるかもしれない。

【最後に】
商品やサービス、顧客の体験を考えるとき、「直線的に成長させる」か「新しい別の階段を創るか」という2つのアプローチがある。

AppleのiPodを例に取るとわかりやすい。携帯音楽機器業界でゼロシェアだったAppleは、iPodというイノベーションで、従来の音楽携帯機器と別の体験=iTunesというダウンロードサイトにより、新市場を創った。それに対して、他の携帯音楽メーカーは軽量化や薄型化など直線的な機能進化に終始してしまった。既視感に囚われていたために、ウェブサイトとの連携という別の階段に上ることができなかった。

あらゆる業界・商品で、昨日と今日の変化値がとても大きくなっている。顧客のニーズは直線的に成長しないと言ってもいい。その意味では、顧客の本質を見抜くアプローチも、それを確認するアプローチも、刷新しなくてはならない。いつまでも同じリサーチやコンサルティングのやり方にこだわっていてはいけない。

その意味で、顧客体験を抽象化する「コンセンサス・マップ」、メタファーで本音を語らせる「ZMET」や「フォトサンプリング」、第三者視点で顧客経験を分析する「経験エンジニアリング」、想定ターゲットのライフスタイルを24時間視点で分析する「トータル・ライフスタイル分析」、量より本質を求める手法として注目したい。

今週1週間、お読みいただきありがとうございました。いくつかコメントや反応をいただきました。このテーマは個人的にも想いもあり、重みもあるので、別のかたちで「カスタマー・バリューアップの活動コンセプト」として体系化したいと考えております。ありがとうございました。

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2007年4月13日 (金)

カスタマー・バリューのフロンティア 5.経験心理の消費:AVISレンタカーの経験

【カスタマー・バリューのフロンティア 5.経験心理の消費:AVISレンタカーの経験】
消費者行動と調査をテーマにしてきた今週の旬ネタ。5回目の今日は「経験心理の消費」における消費者心理と調査について考えてみる。

昨日(2007年4月12日)のブログにも示した図にあるように、「経験消費」とは横軸の左側に伸びる矢印で表した消費心理である。これは誰もが反復的に経験する消費行動と規定した。だから、なるべく心の摩擦係数が小さい方がいい消費心理なのでである。

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コンビニエンスストアやスーパーでの消費のように、毎日反復的に消費する場合、長いレジの列やレジ係の段取りの良さ、さらに商品陳列の巧拙が影響するだろう。あるいは吉野屋に行き牛丼を頼むとき、カウンター内の店員が接客に注文受け、運搬に品だし、そして代金受領までをテキパキとできるかどうか、同じ牛丼でも味が違うと思ったことがあるでしょう。右往左往する店員にいらいらさせられると、味も変わるのである

銀行のATMもそうだ。港区新橋の某銀行は、規模も大きいし3階まであるし、1階角地にあるATM台数も多い。それでもそこのATM行列はいつもディズニーランドのアトラクション待ちのように、行きつ戻りつと長いのである。あそこの銀行の心理摩擦係数は高いので、近くを通るたびに中を見て、どのぐらい並んでいるか観察してしまう。同僚のCherryさんは、「あそこの銀行を使うとき、わたしは一番右側にあるブースにゆくの」と言っていた。それは静脈認証専門のATM。彼女はずるいのである。だが、ずるい消費者がいることを、某銀行は恥じるべきである。

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それはともあれ、その人の消費経験によって商品やサービスの評価はかなり変化する。その商品の持つほんらいのバリューに関係なく、変化する。だから心理的な摩擦を小さくすることが、消費者満足は「大なり」になるのである。

【消費の経験とは何だろうか】
心理摩擦係数を小さくすることは、他の消費、たとえば感動消費にも通じるではないかという反論もあるだろう。もちろんあらゆる消費には心理摩擦係数が小さい方が良い面がある。だが「経験」という点から見ると、なかなか興味深いことがわかる。

わたしたちは、今経験したことを評価したり咀嚼したりする場合、既知の知識を活かす。これまでに経験したことから見て、このことがどうなのか、プラスなのかマイナスなのか、黒なのか白なのか判断するだろう。つまり過去の記憶や経験が、現在の評価の鍵を握ることが多い。つまりこうである。

消費者はマーケティングの影響を受けながら、過去に経験したことをそれとは異なる新しい経験に置き換えながら記憶していく。『心脳マーケティング』より。

つまり消費者の「記憶や経験という心理の場」で、売り手は商品やサービスを提供し、買い手はそれを購入することで、毎日記憶を塗り替えている。売り手は自社のブランドやサービスイメージというマーケティングをし、買い手はこれまでの経験を確認して安心し、あるいは値踏みしている。経験消費は、その反復行動を通じて、経験を塗り替える合戦なのである。

【顧客との関係性とは何だろうか?】
ところで今や大学生の間でも浸透している「CRM」という言葉がある。もちろんCustomer Relationship Managementの略で「顧客関係性マネジメント」と訳されている。一般にはCRMができるシステムをCRMと呼ぶ。

わたしにシステムのなんたるかを教えてくれた先輩は「CRMって顧客の‘関係’を管理するんだよな。顧客を管理するなんて、そんな失礼なことはないよな」と言っていた。まさにその通りだが、世の中の実態は違う。「顧客を管理しよう!それもたくさん買ってくれる(くれそうな)顧客を識別・管理し、買ってくれない(くれそうもない)顧客は管理するのをやめよう」 つまり購買額や、かけたコストとリターンを管理しているのが実態である。どこのコンサルタントもITベンダーも平気でそう言うだろう。

ところが、顧客の記憶や経験が売り手と顧客との関係を通じて、塗り替えられるとすれば、顧客との関係性の何を管理すべきだろうか?ザルトマン氏はこう主張している。

顧客の記憶をどう管理すべきかということを理解せずに、CRMを通じて顧客から信用を得ることはできないし、利益を上げることもできない

いささか変わり者のコンサルタントを張るわたしは、CRMを入れれば利益が上がると言ったことはないし、これからも言わない。だがCRMで、たとえ特定少数の顧客であっても、その記憶や経験が管理できて、経験プロセスに対して打ち手を考えるためになら、ぜひ導入すべきだ。

【Total Experience Management】
顧客の経験を改善するコンサルティングがある。それはExperience Engineering社という「Total Experience Management / 経験マネジメント」という手法で、店舗やサービス改善をする米国のコンサルタントである。以下は『心脳マーケティング』、MIT SLOAN MANAGEMENT REVIEW(Spring 2002)、Twin Cities Business Monthly(Jan.2003)を参照してまとめさせていただいた。

創立者でCEO(Chief Experience Officer)のCarbone氏は「(消費者の)経験に関する一切合切は、吸収し観察すべき手がかり」と言い、「その手がかりが経験をつくる」と言う。

 Experience_engineering_ceo Carbone氏 CEO。

同社の代表的な事例がAVISレンタカーでの経験の改善である。

【AVISレンタカー事例】
1990年代の前半、AVISレンタカーは、顧客満足度調査のスコア下落(全米最下位)に悩んでいた。そこでニュージャージー州ニューアーク国際空港支店にExperience Engineeringを導入した。その手法の基本は顧客の「レンタカー経験」である。受注後、隠密に調査チームが組織化された。

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それを探るために(あらかじめ承諾&謝礼支払の前提で)顧客の腕時計や服に小型カメラ(録音機能付き)を仕組み、個々の顧客のレンタカー経験のすべてを記録した。顧客のボディ・ランゲージ、声の抑揚、言葉の選択などを記録し、その感情の変化を分析した。その感情のあり方を裏付けるため、顧客とレンタカー従業員の両方にデプス・インタビューを実施した。

おもしろいのは、その調査チームにはリサーチャーだけでなく、未来学者、心理学者、文化人類学者など人間を分析する「知」を結集しているところである。わたしのつたない消費者調査経験からすると、それはたいへんな重装備であり、各分野の専門家の指摘がぶつかり合うならば、とても興味深い。

その結果はAVISには驚きだったという。レンタカー屋のパンフレットにあるような「綺麗な車」「サービスの迅速さ」「挨拶の良さ」「装備の良さ」ではなく、ひたすら「旅行に伴うストレスや不安を取り除いて欲しい」というものであった。

【わたしの米国でのレンタカー体験】
わたしは短期(1.5年)の米国駐在をしたことがあるが、米国内で出張したことも多かったし、駐在後に訪れることもたびたびだったので、レンタカーにはエキスパート(自負)である。とはいえ駐車場からバックで出ると、右脳と左脳が逆転して、左側通行をすることもよくあった。レンタカーもレンタカー会社もまだ凹ませたことはない。

国土の広い米国では、レンタカーなくては商談やミーティングが成立しない。だからなるべく早く予約車にたどり着き、鍵をもらい、レンタカープールから出て、目的地にゆく。慣れた地ならまだしも、始めての地では緊張する。空港によって、微妙に借りるシステムが違うこともあった。空港カウンターのレンタカー・チェックインは、単なるチェックで、実際に借りるにはバスに乗らねばならない。他国籍のわたしは尚不安になる。

たいて黒人の運転するレンタカー場への案内バス(それを間違いなく乗るのも緊張する)に乗り、AVISかHeartsかその他か、到着地を聞き分けながらバスに乗るのである。空港によっては、予約シートを渡すと、当該レンタカーの目の前までバスを走らせてくれたのでほっとした。そうでもない経験もあって実に心細かった。さらに返却するのにも、どのぐらい空港への時間がかかるかわからないなど、緊張することが多かった。

AIVSの「経験調査」の場合、わたしも感じたようなストレスを解消するために、レンタカーの返却場所の入口に、フライトの出発時間・ゲート案内を示すビデオの設置、荷物の移動をしやすくする設備面の工夫や、ビジネスセンター設置などの改良を行った。その結果、米国内空港の顧客満足度調査でトップに躍り出たという。調査前は最下位だったのが飛躍的である。

【事例の受け止め方】
以上は米国での事例とわたしの経験であり、日本のレンタカーシステムはかなり違うので、そのまま当てはめられない。だがこのリサーチ事例を自社のサービスに適用されたことを想像してみよう。おそらくかなりの汗をかくことだと思う。

顧客視点を持つこと、顧客を研究することは、「言うは易し行うは難し」の代表的なことである。それはっふだんエンドユーザーに接しているか、接していないかには余り影響がないと思う。職業の違いもあまり影響がない。むしろ顧客心理感度の高低があるのだと思われる。自分の中の「職業経験」が、消費者視点にもどることを阻害しているのだろうか。

今日は以上です。明日は「カスタマー・バリューのフロンティア」のまとめをしたい。

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2007年4月12日 (木)

カスタマー・バリューのフロンティア4.感動心理の消費:エッセンシャルでかわいくなる

【カスタマー・バリューのフロンティア 4.感動心理の消費:エッセンシャルでかわいくなる】
消費者心理学者ザルトマン氏の好著『心脳マーケティング』に触発されて書いてきた今週の旬ネタも4回目である。これまでとこれからは次の通り。

1.カスタマー・バリューのフロンティア(2007年4月9日)2007年4月9日
2.表層心理の消費:ホット庫という見えないニーズへの気づき(2007年4月10日)
3.深層心理の消費:サントリーのネット‘珍問答’飲料調査(2007年4月11日)
4.感動心理の消費:エッセンシャルでかわいくなる(2007年4月12日=本日)
5.経験心理の消費:AVISレンタカーの利用者体験からの改良
6.売り手の情熱:トヨタbB 若者による若者のための・・・

4軸の消費者心理プロファイルを再掲しよう。

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今日のテーマの「感動心理の消費=感動消費」とは、自分の心への刺激の度合いが高く、感動や驚きを求めて、心の摩擦係数を大きくしたい心理と規定した。感動消費は、心にできるだけ波瀾万丈な摩擦を求める。摩擦と言っても自分にとっては良い摩擦である。今までの自分が新しくなる、楽しい体験ができる、深い思い出を求める。ハレとケの消費から見れば、「ハレ」であり、OFFタイムの多くの消費行動はここにあると言える。

だから同じ感動心理でも、表層心理に訴求する感動と、深層心理に訴求する感動とでは、おのずと内容が異なる。消費者購買が意識的な(ロジカルな)プロセスで実行される場合、マーケティング・コミュニケーションは容易である。買い手にも売り手にも見えている範囲で、商品開発をし、改良を重ねればいい。

だがどんなにコモディティ化された商品でも、実は消費購買が無意識的なプロセスに影響されている商品は数多い。たとえば歯磨き、口臭防止剤、ヘアケア商品、化粧品、医薬品などパーソナルケア商品では、潜在的なニーズが隠れていることが多い。こうした商品のマーケティング・コミュニケーションは難易度が高い。だが、それを発掘できた企業が、予想外のヒットを飛ばすことがある。

【何気ない言葉の奥深さ】
あなたにはお気に入りの品があるだろう。その品を長持ちさせて、いつまでも使いたいとき、どんな表現をするだろうか?たとえばわたしは(高いものではないが)靴を大事に履きたい、長持ちさせたいと考えている。だから磨き方にも気をつける。1日履いたら「休ませる」。だから、靴墨を「手入れする用具」というより、「靴を休ませる」という表現をしたいと思う。

そうした表現をすると、靴墨は汚れ取りから「疲労回復」の素にもなり、ミンクオイルは「若返り」の素になる。シューズキーパーは「若返りグッズ」にもなる。そこから「皮の皺を取り」「形を整え」「長寿命化を図る」クリームなど商品開発の切り口にも広がりが出るはずである。余談だが、リフレクソロジーをしてもらって足は若返らせても、1日の労働で汗を吸い、疲れた靴を履いて帰るのでは、どこかすっきり感がない。施術の間だけでも、靴ケアと靴下ケアもしてくれればいいのに。

ザルトマン氏の『心脳マーケティング』に好例がある。引用させていだだこう。

柔軟剤について消費者が語った際に「衣服を育む」という表現をした時、その表現にどのような意味があるかを理解している企業は、より効果的な柔軟剤を開発するに留まらず、衣服の皺をとる、色を保護する、長持ちさせるなどの機能を持った関連製品を開発することができるかもしれない

消費者へのインタビュー調査をいくら重ねても、何気ない消費者のひと言から本質的な意味を感じ取れるかどうか、そこに商品力の差異が生まれると言ってもいいだろう。

【花王のエッセンシャルの生まれ変わり】
知られたことだが、花王という会社の商品訴求の基本は「科学」である。だからあらゆる製品で科学的な効果がうたわれる。だが、エッセンシャル・シャンプーを再開発したときは、「機能性だけでは厳しい」という尾崎社長のひと言で、機能以外の訴求ポイントを探ることが命題になった。

エッセンシャル・シャンプーと言えば、1984年に歌手の堀ちえみさんが「クレイジーラブ」というCMソングをエッセンシャル・シャンプーのCMで歌ったくらいの歴史的長寿命商品なのである。発売は1976年。

 B00005olr5_09_lzzzzzzz 堀ちえみベスト。わたしはファンではないです。

商品寿命的には当然ながら末期的症状であり、40代主婦が購入する家族ブランドでバーゲン商品だった。それを従来の顧客層を捨て去り、「もう一度20代前半の女性に認められるブランドに」という悲願にも似た無謀な(失礼)目標を、女性のプロジェクトマネジャーが立てた。池田順子さんという、現在はアジエンス ・ エッセンシャルのシニアマーケターである。過去を全否定する、素晴らしい目標設定である。

池田さんは200名以上の女性に会って、「髪に何を求めているか」聞き回り、そのうち20人には髪に関するブログを書いてもらうよう依頼した。そこから表れたのは意外な心理だった。

髪の傷みは気にしていない」 エッセンシャルのそれまでのキャッチは「ダメージ・ケア」だった。若い世代にはその基本機能は全否定された。では20代女性は髪について何を気にするのか?そこには深層心理があった。

帽子をかぶったら髪形がくずれるのが嫌」 髪の傷みよりも髪形なのである。それが崩れるのが嫌なのである。髪を伸ばせば、毛先がどうの、枝毛がどうのという声があるのは事実だが、20代の女性は若いし髪も若い。若いのだから(心の痛みはともかく)髪や身体の傷みは知れている。再生力はどの世代よりも強いのである。花王は「科学する」会社であるので、女性の情緒局面に立ち向かう商品開発には弱かったのかも知れない。

【情緒的便益と機能的便益】
情緒的便益と機能的便益について、ザルトマン氏はこう書いている。

消費者が商品やサービスを買うかどうか判断する際には、商品が提供し得る機能的便益(たとえば、投資商品のリスク性向など)と情緒的便益(たとえば、愛する家族のための保障など)の双方を考慮に入れる。(中略) マーケターは消費者とのコミュニケーションにおいて、常に製品の機能的便益と情緒的便益とを密接に関連づけながら(その関係が非常に微妙なものであったとしても)提示すべきである。

ここで大事なことは、機能と情緒は相互作用するということである。花王の製品例なら、やはり毛先のダメージは機能面のニーズでは重視される。それは毛先15cmの髪形が思い通りになると、かわいくなるという情緒面のニーズと相互作用があるのだ。

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【プロダクト・マネジャーの執念から】
ブログを書いてくれた20名の内から、さらに絞り込んで6名の女性に、ホテルに宿泊してもらい、新しいエッセンシャル製品を試用してもらい、使用後、寝るとき、起きた時など、6名の被験者の変化をつぶさに観察したという。そこでの気づきは、朝、髪形が自分の思いどおりにまとまっていると、生き生きとして幸せな顔つきになった。深層的なニーズは髪形だった。それも毛先が自分の思い通りになることが感動なのであった。

そこから「毛先15cmが変われば『かわいい』がつくれる」の広告キャッチが生まれ、エッセンシャルは30年目にして過去否定の新ヒットになった。すばらしいマーケティングである。
(以上、日経ビジネス 2007年1月8日号参考)

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 どれもが15cm「命」なのだろうか?う~ん、よくわからない。

【トータル・ライフスタイル分析】
この事例におけるリサーチ面の注目は「トータル・ライフスタイル分析」と呼べる密着リサーチである。

日産のSUVムラーノでも使われた手法と聞くが、被験者の24時間を追って、そのライフスタイル全体の視点から、自社の製品機能の位置づけを探るというアプローチである。自社の製品の単純な満足・不満足ではなく、自社製品を含めた商品機能が、被験者の生活へどのようなコンテクスト(文脈)をもたらせているかを観察するものである。

ねらいは顧客に提供する本質的な価値へ、マーケターが気づきを得るというものである。この調査の留意点は、当然大量の人々に密着はできないので、緻密な顧客層のセグメントと実際の対象者の絞り込みが必要なことである。そこを間違えるとすべてが間違いになる。花王エッセンシャルの場合も対象者の選定には細心の注意が払われた。最初は200名、それをインタビューで20名に絞り、さらにブログで6名に絞り、6名を密着取材という、確実さとコストの両立をした賢いやり方であった。学ぶべきである。

【髪に込められた心理】
女性によっては、安易に髪に触れられたくない(嫌な人には触れられたくない)意識があるという。「それはなぜなの?」と聞いたことがあるが、その答えは無粋な男には意外だった。「髪に触れられることで愛を感じる」から。だから(美容師といえども)やたらな男には触られたくないというのだ。

じゃあ美容院で、たとえば指名した人がお休みで、いつもと別の美容師に髪に触れられたらどうよ?と聞いたら、嫌なのでその間ずっと我慢するというのだ。我慢して(高い)お金を払うのもまことに変である。複雑なのは毛先だけではなく、文字通り「髪様のみぞ知る」なのだろうか?(笑)

今日は以上です。

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2007年4月11日 (水)

カスタマー・バリューのフロンティア 3.深層心理の消費:サントリーのネット‘珍問答’飲料調査

【カスタマー・バリューのフロンティア 3.深層心理の消費:サントリーのネット‘珍問答’飲料調査】
消費者行動と調査をテーマにする今週の旬ネタ。今日は実践編その二。「深層心理の消費」における消費者心理と調査について考えてみたい。

【深層消費とは】
外部からは見えない理由で消費者が選択をし、消費行動をすることと規定した。表層心理の消費が、女性なら「わたしXXXの香水を使っているの」と言いやすい一方、深層心理の消費では、男性が「ユニリーバのAXEを使っている(=女性にモテたい)」などと容易には同性にも悟られたくないものを指す。

この例は非常に単純だが、要は「買うか買わないか簡単にはわからないという教訓である。これまで多くの企業がこの深層心理の罠にはまって収益を減らしてきた。有名な例は大失敗だったニューコークを生みだすきっかけになった「公開比較調査」である。

あらかじめどちらがどちらかを被験者に知らせず、コカコーラとペプシコーラを入れた2つのグラスのどちらが美味しいかを比べてもらう調査だった。その結果は半数以上がペプシコーラであり、これをきっかけとしてコークの味を変えて失敗した。このときの教訓は「公開比較」という実験の場が、消費者が購買するTPOとは違うのに、それを真に受けたというものであった。人は味だけでコーラを選定するのではなく、ブランド価値や自らの消費スタイルなど、さまざまな要因からコーラを選ぶのである。

【買うか買わないか】
最近の調査だが、2007年の6月から発売予定のAppleのiPhoneを買いますか?というアンケートが、米国の携帯販売会社で行われた。

iPhoneを「買うつもり」とした人は回答者の18%で、「買わない」は52%。「まだ分からない」が31%だった。買わない理由は、「価格」が49%、「現在所有している端末の機能に満足している」が48%、「通信業者を変えたくない」が23%などとなっている(複数回答)。

「買う」という18%の回答率を相当に高いと見るか低いと見るかも問題だが、iPhoneという商品は、必ずしも見えるところだけ(機能や価格など)の表層消費だけに依存する商品ではなく、むしろ見えない部分(Appleブランド力というかApple教、最先端イメージ)、すなわち深層消費に軸足を置いている情緒商品のように思える。だから定量調査はあまり意味がないし当たらない。Appleコアファンが携帯キャリアを乗り換える、その心理の機微を分析しなくて、何の意味があろうか?

米国産牛肉を買いますか?と主婦に聞くアンケートは複雑な答えが予想されるが、吉野屋の牛丼を食べますか?というアンケートは比較的単純であろう。今、ウィンドウズVistaを買いますか?というのも、わりとロジカルに答えが出る問いかけである。

買うか買わないか?の答えが複雑か単純かで、商品を表層型か深層型かに分けることができる。また調査メソッドも決まる。

【深層心理理解のアプローチ=聴くこと】
ザルトマンは、深層心理を理解する上で、2つの「聴く」作業が重要と言っている。

「優れた顧客中心主義には、2つの種類の「聴く」作業が重要である。
①顧客は、企業の製品が購入に値することを「聴く」、つまり本当に理解する。
②企業は、既存顧客、新規顧客の深い思考や感情について彼ら自身の言葉で語っている内容を「聴く」、つまり本当に理解する。『
心脳マーケティング』より

巧みに聴くことが出来れば、巧みなマーケティングが実行できる。これはわたしの経験からもまさに正比例する。偶然なのか、わたしの先輩のそのまた先輩コンサルタントは「コンサルタントはまず聴き上手たれ」という重い言葉を言われたそうだ。深い言葉である。

【メタファーを介して心脳に語りかける】
その聴く作業のひとつがザルトマンが開発し、日本では博報堂が業務提携している『ZMET調査』である。

この調査の手順は2つある。ひとつは調査に直接は関連しない写真を被験者に見せて、インタビューをしてどう感じているか深層心理を探るもの。もうひとつは、被験者に調査テーマを知らせておき、それに関連した写真を選んで持ってきてもらい、なぜその写真を選んだのか?インタビューで深層心理を探るものである。

メタファー(たとえ)を調査利用するのがなぜ良いのか?それは言葉だけでは説明がしきれない「たとえ」から、消費者の思考や意志決定を理解することができるからである。

たとえば、ある企業のサービスイメージを探るというテーマがあったとしよう。被験者は「枯れた花」の写真をもってきた。なぜ枯れた花なのか?聞いてゆくとその企業のサービスが、落ち着きがない、はきはきしていないイメージを持っていると語った。その企業のサービス部門の社員に同じ調査をする。彼らは「ファーストフードの店舗」の写真を持ってくるかもしれない。標準化された素早いサービスがモットーというように。

もしもそうだとすれば、そのギャップは深刻である。

 Gzaltman ザルトマン氏。

【サントリーの珍問答調査】
サントリーでは直接的にZMET調査を実施したわけではなさそうだが、そのアプローチが似ている。「お客を感じたい」というために、インターネット上で珍問答調査を実施したという記事があった(日経ビジネス2007年3月19号)。

「急須で入れたお茶を、人、モノ、動物に例えると何ですか?」
「お茶を飲んだことのない外国人に急須で入れたお茶を勧める時にどう紹介しますか?」
「1年間の『お茶禁止法』が国会で可決されました。あなたは国民の代表として、お茶を飲み続けるためにどのように反論しますか?」

サントリーでは2000年にこの調査を実施したそうだが、それはインターネットの匿名性に注目して、わざわざコメントを書いてくれる少数意見から、お客様の本音やヒントを「感じたい」ためにこんなアンケートを実施したという。写真を持ってきてくださいというお願いこそないが、動物に例えると何ですか?などは、お茶をめぐる深層心理がわかりそうな質問項目でとても興味深い。

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サントリーではこのネットアンケート調査以外にも、一日に飲んだすべての飲料の記入アンケートを実施して、商品開発者との意識のズレを検知しようとしている。こうした凝った定性調査をするのは、当たらない定量調査から脱却したいがためである。

【被験者=自分】
わたし(郷)に『急須商品』というテーマを与えたとしよう。わたしはどんな写真を持参し、インタビューに発展するか?考えてみた

写真は「大人の男のあぐらの写真」を持ってくる。どうも父のイメージらしい。あぐらが家父長。あぐらをかくということは日本間を表している。そしてちゃぶ台があり、赤茶色の急須の注ぐ先は、どうも欠けている(笑)。貧しくはなかったがつつましかった家庭を象徴するのだろうか。でもそれがお茶というわたしのイメージ。

ガラリと変わってもう一枚は「商店街の写真」も持ち込むかも知れない。

都内近郊のまあまあ栄えている商店街の写真を持ってくる。なぜ商店街なのだろうか?わたしの中の紐をひもとくと、商店街の記号が浮かび上がる。「或る方」とぶらついて、荒物屋に入って、急須を買ったという記憶に基づくらしい。そこでの急須という記号は「ふたり」「ぶらりと買物」「日常」「家庭」「所帯」・・・というイメージなのかもしれない。その「或る方」がわたしより先にお店に入り、これどぅお?とある急須を手にした。わたしは・・・・おっとその先は深層心理というか深層記憶に関わるので書けない(笑)。

 312 コメントはしないぜ。

いずれにせよ調査後のインタビュー・コメントは、「気持ちワード」からザルトマン氏の言う「コンストラクト」にして、コンセンサスマップづくりをする。あなた自身の深層心理に訴求すれば実感が湧くだろう。

【調査は量ではなく質】
以前、新ビジネスを考えてあるベンチャーキャピタリストに説明したとき頂いた言葉が忘れられない。それは「市場規模なんてアテにはなりません。それより、たった一人、一社でいいから、絶対に買いますという顧客を見つけてください。なぜ絶対に買うかその論理こそわたしは聞きたい

人を信じさせるのは、量より質である。今日は(商店街情緒は尻切れトンボですが_笑)以上です。

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2007年4月10日 (火)

カスタマー・バリューのフロンティア 2.表層心理の消費:ホット庫という愛情ニーズ

【カスタマー・バリューのフロンティア 2.表層心理の消費:ホット庫という愛情ニーズ】
消費者行動と調査をテーマにする今週の旬ネタ。昨日の解説編の後は、実践編その一。「表層心理の消費」における消費者心理と調査について考えてみたい。

ケーススタディとして取り上げるのは、目のつけどころがシャープの『ホット庫』である。温める機能付きの冷蔵庫として世間をあっと言わしめた商品である。さすがはシャープという商品コンセプトだった。冷蔵庫で温めるという商品化発想はいかにして出てきたのだろうか?

なお、今回は実際にシャープさんを取材してのものではない。あくまでケーススタディとしてホット庫の開発シナリオを想定し、コンセンサスマップづくりをしてみたい。

【表層心理の消費とは】
昨日(2007年4月9日)のブログに書いたように、「表層消費」とは心の表に表れる心理が、ありのままの行動として伝えられる消費である。その使用や購買において、とりわけ心理的なトラウマがなく、消費を他の人に知られてもかまわない消費行動である。

だがその対象商品やサービスは、厳密に言えば、人ごとに違う。同じ商品でも、ある人はおおっぴらに使い、ある人は何らかの劣等感があり、購買・使用していることを知られたくないこともある。つまりあらゆる商品は、その人ごとに消費意識が異なるのである。ゆえに自社の商品特性は日常使う商品だから、あるいはコンプレクスに働きかけて消費される商品だからと、あらかじめ使用範囲や使用心理にレッテルを張ってしまうと、顧客理解が筋違いになったり、まったく的外れにもなるのである。

【顧客セグメンテーション】
あらためて、顧客セグメンテーションについて考えてみよう。

顧客セグメンテーションは、たいていは自社商品購買量/額という、自社視点からの顧客セグメントが行われている。それにプラスして、年齢や性別、学歴、職業、家族構成、居住エリアなどでクロス分析を行う。だが自社の商品購買額から見るのは、ほんらいはとても狭い見方である。そうして顧客対応を差別化して、収益性を揚げたいのはわかかるが、必ずしもロイヤルティが上がり、離反を減少させられるわけではない。これも実務者には実感だろう。

性別ぐらいはセグメントの基礎として考えていいが、学歴や職業、住所、家族構成、自社製品の購買量や額など、セグメントを丹念に実行しても、消費者を理解することがむつかしい。冗談ではないが、最近は性同一障害も増えている。精神年齢と実年齢にもギャップが増加しており、年齢さえアテにならないのが実情である。

ではどうすべきか。顧客や消費者の「セグメンテーションは、消費者の思考プロセスが似ていることを基準に彼らをグループ化するべき」なのである(『心脳マーケティング』より)。その思考プロセスが似ているか似ていないかで顧客/消費者をグルーピングすべきなのである。自社商品という狭いスコープだけで消費者を区分することは適切ではない。

【シャープの愛情ホット庫】

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この商品の特徴は次の通り。
「冷やすだけが当たり前だと思われていた冷蔵庫に、料理を保温できる多目的室を設けた」点である。従来は冷蔵から冷凍までの多段階の温度帯切替が一般的だったが、愛情ホット庫は、「料理が温かい」とされる55度の保温機能を備えている(2006年モデルでは「汁物も温かく感じる」という60度の保温も可能に)。
 http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0724/kaden005.htm

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シャープの商品開発チームは、この「冷蔵庫で温める」という相反する商品化機能に、いかに到達したのであろうか?実際にどうやったかはさておき、わたしはシャープの開発陣が、「冷蔵庫をめぐるメンタル・モデル」をつくったのではないかと考える。

そのメンタル・モデルを、ザルトマン氏が開発したコンセンサスマップのアプローチで見ると実に発想が湧くのである。

【コンセンサスマップとは】
ザルトマンが開発した市場の心理を理解する思考のフレームワークがコンセンサス・マップである。

コンセンサスマップを活用することにより、マーケット・セグメントに属する顧客層が最も強く感じている共通のコンストラクト(消費者の思考をひとつのラベルで表現した言葉)を知ることができる。すなわち、コンセンサス・マップは市場の心の「生体構造」を表していると言える。(同著)

この説明はやや抽象的なのだが、消費者の思考プロセスをマッピングするものである。消費者の思考プロセスは通常1対1のデプス・インタビューで明らかにされ、その言葉をいくつかをワンワード(コンストラクト)にまとめて、そのワンワード同士を結びつける。そこから商品化機能や自社のサービス改善案を発想しようというものである。

コンセンサスマップづくりで重要なことは、「商品の機能から考えず、使い手のシチュエーションやシナリオから考え、消費者の思考や気持ちを出す」ことである。

【コンセンサス・マップづくり】
冷蔵庫の諸機能である「冷蔵」「冷凍」「保存」「棚」「容量」「温度管理」「電力消費」といった要素から考えるのではなく、冷蔵庫をめぐるライフスタイルから、言わば「気持ちワード」を抽出する。冷蔵庫は24時間稼働する家電なので、朝・昼・晩・深夜というシチュエーションが適切だろう(あるいは、世帯構成によってはもっと細分化してもいい)。

シチュエーションは夫が遅い(Cさんだよね♪=私的通信ですみません_笑)夜食というシチュエーションから。インタビューから「気持ちワード」をランダムにどんどん出そう。以下わたしの創作である。

質問者:料理を作りおきして夫を待つときの気持ちはどんなものでしょうか?」
対象者:う~ん、待ちわびて、ひとりで食べるのは寂しいけれど、腹八分目で食べてしまう、おなか空いちゃうから(笑)、おかずだけ少し一緒に食べてもいいし・・・手持ちぶさただし、冷たくなっちゃうのはどこか愛情不足かしら(笑)・・・のようにインタビューを重ねて「気持ちワード」を整理してゆく。

「夜中の料理」:めんどうくさい、手間をかけたくない、洗い物が面倒・・・
「まちわびる」:愛情が試される、待たされたくない、連絡ぐらい、記念日なのに・・・・
「冷たい料理」:美味しくない、愛情がない、勝手にして、ひとりきり・・・
「夜中の食事」:消化が悪い、太る、食欲がわかない、油ぽいのはいや・・・・
「手早い調理」:作り置きしたい、電子レンジは味気ない、インスタントはまずい・・・
「洗い物」:残して寝たくない、洗うのは面倒、片付け音がうるさい・・・・

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これでイメージが湧くだろうか?というのも、わたしはfunctionalな家庭を持っていないからだ(苦笑)。だから愛情(かなり)手前のホット庫のコンセンサスになっているかも(笑)。それはさておき、このように「気持ちワード」を振り出しに、気持ち圧縮の「コンストラクト・ワード」を配して商品開発をすると、かなり新鮮なアプローチで発想が出来る。

ザルトマン氏はこれを「コンセンサス・マップ」と名付けたが、リサーチャー出身のわたしが思うには、必ずしも目新しいコンセプトではない。作り手からの視点だけで作ることを戒めるものと考えれば、実に普遍的なアプローチである。それがよく忘れられるのも事実である。

このようなリサーチ結果になったとして、問題はここから商品開発者が何を引き出せるか?である。この図ではやや作為的に「愛情」をトップに置いたが、愛情は商品化できないので(少なくとも家電では)、そこからの展開思考こそ重要である。「流刑地」になっては遅いが、開発や企画にはセンスが必要というのは時代を越えて共通することである。

【愛情には時間制限がある】
おもしろいのは「愛情ホット庫では、一定時間が経過すると、自動的に冷蔵(3~5度)やチルド(0~2度)といったモードに切り替わり、食品が傷むのを防ぐようになっている」(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0724/kaden005.htm より)

午前様になって、堪忍袋の緒が切れるところまで、シャープの開発陣は計算したのであろうか?(笑) お後がよろしいようで、今日は以上です。

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2007年4月 9日 (月)

カスタマー・バリューのフロンティア

【マーケティング・ブレイン旬ネタ 1.カスタマー・バリューのフロンティア】
今週一週間「旬ネタ」として書きたいテーマは「カスタマー・バリューのフロンティア」、言ってみれば顧客価値研究の先端、消費者調査の先端という野心的なテーマである。

テーマの発端はひとつの夢を見たことである。夢といっても「お告げ」ではないので安心してほしい(笑)。お告げではなく、夢の中の他人が、自分に語りかけることはよくあるだろう。わたしの見た夢でもそれがあった。彼はわたしにあることを語りかけてきた。その内容を聞いて目が覚めた。わたしは、彼の意見が自分の中から出てきたとは信じられなかった。自分が考えてもいないことを語りかけられたと感じたからだ。

そこでハタと気づいた。人は普段考えていることだけで動いているわけではない。考えてもいない(と思いこんでいる)ことでも動いてもいる。

」のところを「消費者」に変えても事情は同じではないだろうか。人の中には、自分で意識して購買する態度と、無意識的に購買する態度が共存している。表層心理で買う場合と、深層心理から買う場合があるのではないだろうか?それがゆえに「消費者が見えない」と言わしめるのではないだろうか?

今週はこうした問題意識をきっかけとして、意識(表層心理)、無意識(深層心理)をテーマにした書、『心脳マーケティング』(ジェラルド・ザルトマン著)に触れつつ、なぜ多くの企業で、従来の消費者調査を否定して、新しい試みをしているのかを見ていきたい。

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【今週予定している構成】

1.カスタマー・バリューのフロンティア(本日)
2.表層心理の消費:シャープの『ホット庫』という見えないニーズへの気づき
3.深層心理の消費:サントリーのネット‘珍問答’飲料調査
4.感動心理の消費:花王『エッセンシャル』でかわいくなる
5.経験心理の消費:AVISレンタカーの利用者体験からの改良
6.売り手の情熱:トヨタ『bB』 若者による若者のための・・・

教科書的にならないように、商品開発パターン別に、どのような調査が適用ができるかも書きたい。関連して紹介したい消費者調査は次の通りである。

「コンセンサスマップ」(シャープ ホット庫)
「ZMET法/メタファー調査」(サントリー 茶飲料)
「トータル・ライフスタイル分析」(花王 エッセンシャル)
「経験エンジニアリング」(AVISレンタカー事例の紹介)
「フォト・サンプリング」(トヨタ bB)

ここでは、各商品の開発の経緯から、そのような調査手法を適用したのではないかというわたしなりの推測を含めているので、実際にその手法を適用したかどうかは厳密にはNoのものもある。

だが事例というものは厳密さを求めて読むものではなく、自社の商品開発に「こんなやり方が適用できそうだ」という視点で読むものである。そのようにお読みいただきたいし、それぞれの手法は大変興味深い。なるべくわかりやすい視点でまとめるのでお読みください。

【新しい消費者理解が必要な背景】
「作れば売れる」時代はとうに昔のものとなった。何を作ればよいかわからない時代に、「作って売れた時代」はもはやマーケティング・ノスタルジーに過ぎない。あるいは消費者が見えなくなった、消費者ニーズやその変化に追いつかなくなった。そう言われて久しい。消費者がしっかり見えていると豪語できる会社があるとすれば、それはマーケティング・イリュージョン(幻視)に過ぎないかもしれない。

作っても売れない時代に入り、まずなされてきたのは、「何を作るべきか」を探るために「顧客の現状の不満を聞こう」というリサーチであった。しかし「不満や満足」からは、今の製品やサービスの肯定か否定、すなわち製品の改良をすることはできても、「何を作るべきか」まではわからない。改良に明け暮れている内に、従来と異なる地平線上に新たな商品やサービスが表れ、シェアがじり貧になることも茶飯事である。

ならば「あなたのほんとうのニーズは何ですか?あなたがほんとうにしたいことは何ですか?」と聞こうという話になって、潜在的なニーズを探る仮説検証型のリサーチも行われてきた。しかし、「いまだ見えないニーズ」は顧客は知らないし、わからない。だからプロダクトアウトがいい、という乱暴な論調もあるが、何よりも「仮説に基づいて集められたデータは、その仮説を肯定する」*というバイアスがかかって、仮説補強リサーチとも言われている。(*印は『心脳マーケティング』からの引用)

このように、思いのほか顧客価値の本質を考えることはむつかしい。

第一線の現場に立てば、顧客の意識や行動のあり方、その変化は何となくつかめるのも事実である。だがそれは個人的な経験知であり、組織的な集積知ではない。つまり継続的な顧客の研究は案外なされていないのもまた実情である。これが新しい消費者理解が必要だと考える立ち位置である。

【従来の消費者調査、市場調査の限界】
わたしはマーケティング・リサーチャーを7年ほどやっていた。それを辞めて新規事業開発者を経てすでに十数年が経つが、新規事業開発に携わっていた頃はもちろん、コンサルタントになっても、リサーチという作業がわたしの中ではベースにある。

だからリサーチが不必要だということはまったくない。だが単に量的なサンプリング調査では根拠がつかめない、フォーカスグループのような座談会も、バイアスがかかりやすく信頼性が高いとは言えない。単純なヒアリング調査と資料分析でお茶を濁すようなリサーチでは、新しい発見の期待もしにくい。

何よりも消費者が本当のことを言うのか? たとえ彼/彼女が本当だと思って発言しても、消費の現場では深層の彼/彼女が表れて、リサーチでは「買う」と言ったのに実際には「買わない」ことがたびたび起きている。従来型の調査では、ことごとく、答えが出ないのである。

他にもいくつも気になっていることがあるが(リサーチをまるでしないでPJに入るコンサルタントがいるが、それはなぜだろうか?)、本論ではないのでこのくらいに。

【4つの消費者心理プロファイル】
今週のテーマ、下図の視点で書いてみたい。それは、顧客価値分析を4つの観点から見るものである。図も用語も郷(わたしのこと)作である。

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まず縦軸は、消費心理をメジャメントしている。「表層消費」とは表層心理がありのままの行動になって表れる消費である。これに対して「深層消費」とは、外からは見えない理由で消費者が選択をし、消費行動をすることである。前者は「わたしXXXを使っているの」と言いやすい商品で、後者は「XXXを使っているの」と知られたくない商品である。

横軸は、消費態度をメジャメントしている。日常から離れた、感動的な体験を得たいという「感動消費」。未知の旅行をしたい、かわゆいままでいたい、殻を破りたいという意識の強さを示す。対して、ありふれており反復的に間違いのない購買をしたい商品やサービスが「経験消費」である。

このふたつの軸で、心理が深いか浅いか、態度が高いか低いかを表す。

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縦軸の示すことは、自分の心をどれだけ人に見せたいか、あるいは見せたくないかという心理であり、それを「心を見せる係数」と呼ぶことができる。上にゆくと「見せる」、下は「見せない」心理がある。

横軸の示すことは、自分の心への刺激の度合いである。感動や驚きを求めて、心の摩擦係数を大きくしたい心理がある。それが感動消費であり、心にできるだけ波瀾万丈な摩擦を求める。逆にだれもが反復的に経験する消費行動であり、なるべく心の摩擦係数が小さい方がいい消費心理もある。この高低をわたしは「心の摩擦係数」と呼ぶ。

この4軸から、ほとんどの消費態度がポジショニングできるばかりか、なぜ消費者調査や消費者理解を区別して考え、実行する必要があるのか説明つくだろう。今週はそれぞれのポジショニングでの消費者行動と調査のあり方を、コンセプトと事例から考えてみたい。

今日は以上です。

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2007年3月 2日 (金)

ポイント・ウォーズ 5.ポイント・コミュニティ vs. ポイント・コモディティ

今週(2007年2月26日~3月2日)の勝手にアドバイス 旬ネタのテーマはポイント・プログラムである。今日はほっとする最終回。昨日のブログでは「良い政治リーダーがいれば、わたしは自治体クレジットポイントなど要らない。むしろNPOに寄付する」と啖呵を切った。そういうわたし、まだNPOに寄付したことはない・・・すみません。

公金の話に関連して、H兄いからコメントが飛んできた。会津中央病院でもクレジットカード決済が可能になって「手数料が月1回187円」だそうです。現金払いにはない手数料。手数料が3.8%だとすると、逆算して診療単価は5000円である(平均値を取ったのだろう)。同院では医療費後払いサービスを実施するなど、顧客の利便性をずいぶんと重視している。好感がもてる。

公金のクレジットカード払い可は、クレジットカード業界の業界を挙げての攻略と、電子政府化の流れの結合である。その意味では良いことだが、公金決済に手数料(利益)を出してもいいという、従来方針の転換が世間の話題にならずに実現しつつあるのはおかしいと思う。

病院の場合、決済には別の事情(=役務というサービス提供に対するクレジット業界の自主規制)があったので、これまで普及が見送られていた。役務とはたとえば、エステティック・サロン。従来から「ちゃんと脱毛できなかった」などとクレームを付けられて支払いでもめることもあったので、クレジット決済を業界が引き受けなかった。だが脱毛クリームではクレジット決済をじわりと進めてきた。今や合算してカード払いができるところが増えたという。全体に規制緩和が進められているわけだ。

【勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ 5.ポイント・コミュニティ vs. ポイント・コモディティ】
公金決済にもクレジットが可能になると、ますますポイントの流通が求められる。さらに電子マネーも日常化するとなると、電子マネーとのポイント交換などのニーズが高まる。業界ではポイントを仮想通貨として扱う「ポイント経済圏」と言っているようだ。そのポイント経済圏にいち早く進出したのはGポイント

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Gポイントはポイント交換、ショッピングでおトクにたまる!マイル、電子マネー、ポイント、音楽ダウンロードにつかえる!

ポイント交換で最大手と言われるGポイントは、銀行系カードポイントからネットオンライン企業のポイントまで、Gポイントというひとつのポイントに集約し、ANAマイレッジ、Amazonポイントなどに変換が可能である。「ショッピング」「ホビー」「携帯料金」「レジャー」「グルメ」「マイレッジ」「チャリティ」など基幹サービスと、「音楽」「写真集」「占い」などエンタメ系も、そしてリアルの通貨にも変換が可能である。

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この運営会社はG-Planという住友商事系の会社。2001年の設立から5年で、現在145万人の会員数、ポイント交換提携企業128社となっている。2007年2月上旬から、同様のPexというサービスも開始されている。こっちはECナビ、サイバーエージェント系。

Mainimg 牧瀬さん。

【ポイントでの不正と破綻を避けるために】
交換が頻繁になると生じるさまざまな問題に対処するための業界団体も発足した。
インターネット上でポイントを使ったマーケティングを行なう企業13社(ネットマイル、ECナビ、エルゴ・ブレインズ、サイバーエージェント、GMOメディア、ジー・プランなど)が日本インターネットポイント協議会(JIPC)」を設立した。経済産業省主体。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/02/15/14780.html

協議会ではポイントサービスにおける不正行為の実態について、こんな指摘をしている。ユーザーの不正は「1人で複数のIDを取得してポイントを貯める」、一方事業者では「ポイントサイトを開設してから6カ月後に閉めて、まったく違うポイントサイトを立ち上げ」・・・会員に補償は行われない。確かにこれは詐欺である。

ネットポイントだけでなく、家電や書籍、旅行などのポイントについて、「取り扱っている企業が経営破たんした場合、ポイントが使えなくなる」などの問題にどう対処するか」というテーマで、これも経済産業省が音頭をとって「企業ポイント研究会」を設置した。これも運営会社の経営破綻によるポイントの滅失や、大判振る舞いして、実際に行使されて経営悪化、さらにポイント経済圏の発達が自社の顧客囲い込みにつながらないなどの課題を扱うとしている。
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2007/02/post_2005.html

【ポイント・コミュニティづくりに励むのは・・・】
今週を通じて思ったというか、そもそもポイントについて思っていたのは、「ポイント・プログラム=割引=コモディティ化」という公式である。

A店とB店を比べて、商品やサービスに差がない場合にポイントのある方へ流れる。これが基本。ポイント導入で画期的に顧客が増えるということは、そもそも「おまけ」なのだからありえない。ポイント移動の勝者も商売の勝者とは必ずしも言えない。

それなのになぜ猫も杓子もポイントなのか?ポイント導入で、むしろ自ら商売のコモディティ化を宣言してしまってはいる思う。競合他社が始めているのでウチもやるという横並びでは、これまで見てきたように代償が大きいばかりか、顧客維持にもつながりにくい。

【貯めたいポイントと貯めているポイント】
消費者自身が、貯めたいポイントと実際に貯めているポイントにギャップがあるのだろうか。ポイントを「企業通貨」と読んで、この分野で書籍『2010年の企業通貨』も刊行している野村総合研究所では、2005年9月に全国の2,500人に対して実施した消費者調査から次のようなグラフを作成している。

 Graph

総合スーパー、携帯電話、家電量販店では4割以上の人がポイントを貯めている一方で、「貯めたい」意向と「貯めている」実態が乖離しているのは携帯電話、家電量販、ドラッグストアなどが大きい。これは野村総研では「発行量が多い割に、ポイントプログラムがうまく機能していないためだと分析できます」としている。つまり他社に流れやすいか(家電量販)、流れにくい・使いにくい(携帯)からである。

この中で「鉄道・バス」が貯めたい・貯めている共に低いのは、まさか鉄道やバスがポイントなんて・・・という消費者理解からであろう。その意味では東京メトロのポイントはインパクトがあった。コンビニでのポイントはレジ・サービスの低下も起きそうで微妙だが、オサイフ・ケータイの普及次第だと思われる。

 4492555625_01__aa240_sclzzzzzzz_ この書籍をAmazonで買ってポイントを・・・。

【お後がよろしいようで・・・・】
最後にひとつの事例を示してこの項を終えたい。

ヨドバシカメラ、アフターサービス専用のポイント制度を新設
株式会社ヨドバシカメラは、修理代金など、アフターサービスの支払い時に使用できるポイントサービス「ヨドバシアフターサービスポイント」を(2007年)2月14日から開始する。

Title

ヨドバシでは、従来の同店のゴールドポイントとは別途に、前月一ヶ月分の総ご利用金額の1%を、翌月10日に一括してアフターサービスポイントとして自動還元するもの。他店購入品の修理サービスにも使えるが、出張サービスには使えない。

ヨドバシ、顧客志向ありだと思う。先延ばしの値引きをするより、アフターサービスの料金負担を軽減するためにポイントを付ける。使い捨て文化を正し、環境にもやさしい。顧客ロイヤルティを高める上でもとても良い方法だと思う。わたしの中でヨドバシのポイント、上がりました

今週は以上です。お読みいただき、どうもありがとうございます。

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2007年3月 1日 (木)

ポイント・ウォーズ 4.公金も税金も投票も?クレジット・ポイントでお得に!

今週(2007年2月26日~3月2日)の勝手にアドバイス 旬ネタのテーマはポイントである。3日書いてどの程度ポイントを書けたか不安であるが、顧客満足のための活用シナリオが不明確なポイント提携やポイント発行は、顧客のためならずばかりか、自らの首を絞めることになる、というのがわたしの基本的なスタンスである。

今日は月初めとはいえ、読み手も書き手も疲れが出る週の中日=木曜日である。ちょっと肩の力を抜いた話題・・・と思っていたが、ところがどっこい、顧客のためとか顧客ニーズなんて吹き飛ばす、税金のように大きなポイント市場があるというのだ。いや・・・実は税金そのものである。

法律(地方自治法)が2006年に改正され、公金のクレジットカード支払いが解禁されるのである。税金のとりっぱぐれが減るのかわからないが、国民年金徴収にクレジットカード・ポイントの力を借りるという本末転倒な施策にも触れなくてならない。やっぱり肩に力が入りそうだ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
1.日常生活消費にポイントという衝撃  →2/26
2.ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ。 →2/27
3.ポイントからターゲット・マーケティング? →2/28
4.公金も税金も投票も?クレジット・ポイントでお得に!→本日
5.ポイント・コミュニティ vs. ポイント・コモディティ
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ 4.公金も税金も投票も?クレジット・ポイントでお得に!】
その昔、千葉県松戸市の松本清市長の考えた投票率のアップ策は「くじ」だった。

市長在職当時、県会議員選挙の投票率が低迷していたため、松本は、投票整理券の整理番号を用いてくじを実施しようと考え、公職選挙法を管轄していた自治省にお伺いを立てたが、当然却下。しかし、くじを実施しても投票の公正性が害されることがないと考えた松本は、その案を実施した(ただし、景品は1等賞が自転車と、それほど高額なものではなかった)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E6%B8%85

この話は有名であるが、どの程度投票率が上がったか、その後くじを廃止したら下がったのか、情報を調べようとしたが・・・

                 全県平均  松戸市
昭和46年   65.87%     ??           クジ付きの年
昭和50年   68.26%    58.66%
昭和54年   60.77%    52.74%

県のウェブサイト統計には不備があり、かんじんの46年の投票率がわからなかった。今日はもう夜間で電話も掛けられない。いずれ問い合わせてアップします。しつこく調べると、あるブログに『投票率は全体で1.74%も上昇。とりわけ女性票は5.17%も上昇した』とあった。

これがほんとうであれば、特に女性はお得に敏感なのである。ポイントを付けるの価値はありそうだ。尚、松本清氏は1969年当選、選挙のポイント化の志半ばで?73年市長在職中に心不全で逝去している。

【国民年金、カード払いOK・厚労省、08年初めメド】
厚生労働省は2008年初めをめどにクレジットカードで国民年金の保険料を払えるようにする方針だ。カードで払えばポイントもためられ、若者を中心に低迷する納付率の向上に役立つとみている。今通常国会に提出する国民年金法改正案に盛り込む。政府の公金決済では初めての試み。地方税や水道料金など公金決済のカード払いが今後広がる可能性がある。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070218AT3S1602H17022007.html

国民年金の不平等感を、クレジットカードのポイントで補おうというのだろうか?まずそこが、本末転倒な法律改正案と言わざるを得ない。もっとやることが先にあったはずだ。

純粋にポイントとしてみれば、数万円ならばクレジットカード・ポイントは、確かに消費者にはお得感がある。だが給与から天引きされる人にはポイントは付けられないのですよね

さらにクレジット会社への支払い手数料(3.8%ぐらい)は誰が負担するのだろうか?事務合理化で役所のコストがきちんと下がるので、そこで埋め合わせるのであろうか?あるいはカード支払いの利便性として納付者が納めるのだろうか?そんな複雑なシステム化はかえって複雑性を増さないだろうか?今の納付状況をみれば、徴収率が少しでもアップすれば、手数料ぐらい年金機構が肩代わりしてくれるのだろうか?

恐らく自治体によって対応は異なるはずだ。クレジットカード・イシュアーや代行会社は口にしたくないだろうが、自治体ごとに格差は出るはずだ。ポイントとは、結局は誰かが負担をする割引に過ぎないのである。年金に関しては、根本疑問があるだけに、疑問が疑問を呼ぶカード払いOK方針である。

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 江角さん、クレジットカードなら支払いやすかったでしょうか?

【水道料金のクレジットカード払い】
一般の公共料金なら利便性は高い。2007年2月5日付けにこういうニュースもあった。

GMO-PG、自治体向け「公金クレジットカード決済サービス」を提供 今日の非対面クレジットカード決済の市場は、(中略)物販の分野のみならず電力やガス、NHK放送受信料などの分野に範囲が拡大しており、昨年に開催された第164回通常国会においては、地方自治法が改正され、国民年金保険料や国民健康保険料の他、水道料金のクレジットカードでの収納が可能になりました。これに伴い東京都水道局は、2007年度中にクレジットカードによる料金支払の業務を開始いたします。

これはGMOペイメントゲートウェイ株式会社がASPサービスを使って公金をネット決済をするサービスである。同社ではすでにNHK、家賃、宅配などでクレジット決済サービスを広げてきた。今回その対象を住民税、自動車税、固定資産税、国民年金、国民保険、水道料、反則金まで広げた。

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GMO-PGの事例として、神奈川県藤沢市では今年度(平成18年度)の軽自動車税をクレジットカード決済を実証研究として実施したところ納期内納付が前年の72.56%から75.65%に3%も向上することができたという。http://www.gmo-pg.com/service/exam/exam_fujisawashi.php

手数料や督促費用については、事例中にも「手数料に見合う効果」とあるので、従来は公金は金融機関が手数料を取らないのが通例だったが、これからは手数料支払いが発生することになる。もちろんコスト削減に見合う固定費削減が必要である。公金クレジット決済協議会という業界団体もできており、手数料やチャージバック(決済非同意)についても、統一ルールを進めている。

ポイントがすべてというわけではないが、数万円の支払いにポイントが付くのであれば、公金をカードで支払おうという動きが広がることは間違いないだろう。なにしろ市場規模(というのか?)は20兆円もあるそうだ。

【市民の義務をなぜポイント化しなくてはならないのか?】
わたしの疑問はこうだ。公金の義務払いに、なぜポイントを付けなくてはならないのだろうか?

お年玉くじはハガキを年初に送るのが風習視されていたが、近年の激少ぶりである。くじ効果はまるで無いと思う。NHK聴取料は放映に御利益がないと判断する人が多いので支払い滞る。こちらは、給食費滞納と同じくモラル未満の人もいる。

年金やNHK不払い、年賀状拒否などを、大きな視点でみれば日本という政治体/国体に対する不信が根本にある。国民=顧客とすれば、支払いが少ない=義務なのに集金できない。それは顧客ニーズを満たしていないからである。

だとすると、義務払いをカードのポイントにおんぶするのは、民間企業でいう「勝ちに行く戦略」ではない。衰退企業の弱者の戦略に過ぎない。いずれ破綻するのは古今東西の歴史が示している。

勝手にアドバイスするとすれば、クレジット決済という電子化=徴収の省力化=運営のコストダウン=組織の改革=構造改革。この流れを可視化させなければならない。それこそが市長や県知事の財政再建上の使命である。

【選挙でポイントゲット?】
財政の極貧が進む千葉県松戸市でこそ合理化はすべきだろう。だが今夏の参議院選挙に松戸小選挙区と比例代表にダブルで投票したら、マツキヨのポイントを100ポイント進呈します!らしいなんてことはないです、冗談です)。それより支持率でちゃんとポイントを稼ぐ政治家こそほしい。

良い政治リーダーがいれば、わたしは自治体クレジットポイントなど要らない。それをNPOや途上国に寄付するべきだと思う。e-Sales宋文洲さんじゃないが、こんな政策ばかりじゃ「日本の政治、おかしいよ」と言いたくもなる。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月28日 (水)

ポイント・ウォーズ 3.ポイントからターゲット・マーケティング?

今週の勝手にアドバイス 旬ネタのテーマはポイント。

昨日のブログ「ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ」では、NTTドコモはポイント引当金を積み増したくないという理由で、マクドナルドと提携して「刹那な割引」であるトルカ(電子クーポン)と連携させる、ということを書いた。これは正しい読みだとは思うが、ドコモが引当金という消極的な理由だけで提携したとは考えられない。もっと積極的なねらいがあるはずだ。

マーケティングとは、ターゲットをねらうことに始まり、ターゲットがねらわれたことで満足する。これが美しいマーケティングである。ポイント・プログラムとは、その美しい道に乗っているのだろうか?

そこで今日は、トルカという一見してポイントとは異なる販促手段から、ポイントプログラムの利点・欠点を観る。今週の旬ネタ3回目では、「ポイントからターゲット・マーケティング」という公式を疑ってみたい。

【勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ 3.ポイントからターゲット・マーケティング?】
まず、NTTドコモのトルカで何ができるかみてみよう。

「トルカ」とはおサイフケータイで取得できる電子カードのこと。
トルカは、レストランカードやクーポン券など、これまでは店頭で紙媒体として配布されていたカードなどをケータイに取り込むことができるサービスです。取得した情報はケータイ内のフォルダに格納され、ケータイ上でカンタンに検索・ソートなどの管理ができます。

引用元 http://www.nttdocomo.co.jp/service/osaifu/toruca/index.html

 Whats_01  Whats_02

イタリアンレストラン・ボーノボーノで10%のクーポン(トルカ)を取得ができる。また画像広告の配信で入荷しました!」「おすすめ!」をプッシュ配信もできる。トルカの取得はお店などでできるので、特定エリアでの配信や、時間帯別の配信などが可能である。タクシーでも配信されて販促手段として普及しつつある。

このトルカは携帯内でカテゴリ別に保存管理などができる。いつか使うだろうという、気軽な気持ちでピッとやって保存しておくことができるのだ。しかも友達同士で交換もできる(903i/703iシリーズ以降のおサイフケータイ)。

トルカのサービス提供は「アサヒビールの直営店(生ビール1杯)」「アパホテル(チェックアウト延長)」「アルゼ(アミューズメント1,000円分)」「カレッタ汐留(割引)」「キッコーマン(速攻レシピ)」「タワーレコード(セール情報)」「JAL日本航空(割引)」など、もりだくさんである。

問題はトルカを使うときは「お店で電子クーポンを見せるだけ」というところ。ぐるなびのクーポンと一緒で、プリントアウトする(住所や氏名はほとんどの人が書かない)のと本質的に変わらない。見せるだけだとチェックアウトをされたという情報は、その携帯の持ち主を特定できない

【そこでidとの提携】
「iD(アイディ)」は、おサイフケータイをかざすだけでショッピングやキャッシングができるクレジットサービスです。クレジットだからチャージ(入金)の必要がなく、より便利にケータイひとつでショッピングができます。ご利用いただくには「iD」に対応したクレジットカードサービスへのご加入が必要となります。
http://www.nttdocomo.co.jp/service/osaifu/id/index.html

Logo_id ロゴ。

これはいわゆるおサイフケータイを用いた電子マネーサービス。差別化はトルカと同時に用いてもらうことで、誰がいつ何にいくら消費したことがわかること。それも特定の広告や電子クーポンという特定日時の販売促進からいつ消費したかがわかる。あるいは消費しなかったこともわかる。そして、その理由もわかる(なぜならその人はその販促やそのクーポンには興味がないからだ)。

販促と消費を結んだ消費者データを入手できること、しかも携帯電話という個人情報(性別・年齢・居住地・携帯消費履歴等)が併せて分析できる。マーケターにはなんて素敵な仕組みだろうか。

余談だが、ここまでの追跡&分析ことができそうなのに、なぜ世論はプライバシー侵害を訴えないのだろうか?それも不思議だ(ICタグではプライバシー侵害が相当に議論されているというのに)。

【結局ポイントプログラムで何をしたいのか?】
多くのポイント・プログラムがターゲット・マーケティングになっていないのは、「何をしたいのか」が明瞭でないからである。ポイント・プログラムの目的をパターン別に観てみよう。

①ポイントで割引を先に持ち越したい
この効用は顧客の自社・自店からの離反を防ぎ、自社にとっては割引原価を延べ払い、ないし使われなかったらチャラにできるという利点がある。

言い換えれば、先に現金割引してしまうとつきあいがなくなるという不安と、当面の資金繰りをよくする一方、使われなかったら儲けになる。お客様にとっては、いつか(通って貯まれば)割引になるが、一定ポイントに達しなければ使わないのでムダになる(店の得になる)。

顧客志向とは言いにくいので、そこを見透かされて効果が出ない。目下のところ赤字なら、思い切って中止も検討すべき。

②ポイントとは事業アライアンスを実現する企業通貨である
自社・自店だけでなく多くの仲間と共同で、同じ制度を運用することで「あそこでも貯まる・ここでも貯まる」。古くからある商店街スタンプカードの発想が原点である。これには二つのパターンがある。

 強者連合により、囲い込みを強固つくり、他社に勝つ
 弱者連合により囲い込みをつくり、強者に負けない

この二つのパターンともに顧客視点が感じられず、自社都合が優先されているのはさておき、サークル内での個別の企業はその強さ・弱さで、容赦ないしっぺ返しもある(つまりポイント引当金を積む必要があること)。グレシャムではないが、通貨はいつでも強い者に流れるのであるので

③ポイント=仮説検証の顧客ファンづくりツール
わたしは、やはり原点はここにおくべきだと信じている顧客との関係性を濃くする、顧客を知り、何が欲しいか知り、商品やサービスを改善するツールとする。どうしたら喜んでもらえるか、来ていただけるか。それを考えること。恋人を想うのとまったく同じである。

仮説検証といえばイトーヨーカ堂である。ちょうど、今日、元イトーヨーカ堂に勤めていた青年Uと喋っていた。イトーヨーカ堂では新人研修から仮説検証、つまり今日はこういうものが売れる、売れたら評価、売れなかったら反省という繰り返しをするという。店長会議では売上が下がった店長に対して、データをベースにどんな仮説を立てたか、なぜその仮説が効かなかったのか、どうすればいいのか、徹底的に絞るという。

小売業に限らず、仮説検証という思考はほとんどの企業ではなされていないのが実情である。POSデータだって(まったくと言っていいほど)使われていない。ICタグになって情報量が増えても同じであろう。

【ライフスタイル分析こそ王道】
多くの企業が大同連携して「ポイントが移行できます、だからお得です」という連呼をされても、すべての企業にメリットがなく、すべての顧客にとっても必ずしもメリットではない、これは明白である。

他社とアライアンスをする場合で効果が出るのは、当たり前だが、アライアンスで内部競合が起きずに、内部競走が起きる場合である。東京メトロのTo me CARDのようなビジネスモデルならそれが可能である。その駅周辺のお店を組織化してエリア制覇をねらうポイントプログラムとする。ポイントと電子クーポンの販促を共通化するならば、エリア全体での集客力が高まる。

あるいはHondaやToyotaのような自動車会社がガソリン、自動車用品、自動車保険、車検、駐車場・・・など自動車がらみでポイント連携する。それだけではおもしろくないので、車種別にライフスタイル分析ができるように提携先を変えてもいいだろう。

ToyotaのbBのような個性的なクルマなら、ファッション、時計、アクセ、香水、音楽、エステ・・・など、乗り手のライフスタイルを丸ごとポイント化するような事業提携を導入する。ターゲット層が望む(であろう)特定のファッション・ブランドやライフスタイル・ブランドと連携するのである。それを「id」+「トルカ」のようなツールでで実施すれば、次のマイナーチェンジへのヒントだけでなく、そのターゲット層向けの商品開発にも役立つのではないだろうか。

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【マス・店舗・eの違い】
薄利多売でやっているマックの原田社長は、最初は電子マネー導入の申し出を断った。『うちは薄利多売だから赤字になる』と言ったという。システムの利用ロイヤルティの支払いが利益を悪化させるからだ。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/33366.html

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だがそれを思い直したのは、ここで損しようが損しまいがいずれキャッシュアウトの電子化は不可避である。ならばドコモに学ぼうと思ったのと、それに加えて低年齢&低所得ばかり相手にはできない、もっと店舗別・時間帯別・ライフスタイル別の分析が必要だと考えたからであろう

これもそれも仮説検証である。どこの企業も、慣れるまで最初は苦しいかも知れないが、時間をかけて仮説検証を企業体質に刷り込むしかない。いかなる事業でもいかなる業務でも、仮説が商売開発を改善する第一歩だから。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月27日 (火)

ポイント・ウォーズ 2.ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ。

今週の勝手にアドバイス 旬ネタのテーマはポイント

こんなテーマを書いているわたしだが、実はあまりポイントには敏感な方ではない。灯台もと暗しでごめんなさい。たとえば、以前ずいぶん貯めた米国ユナイテッド航空のマイレッジは期限切れでサヨウナラ、ユニクロのポイントはいつの間にか制度が廃止されていた、HMVのポイントカードもいくつ作っても、そのたびにどこかに消えるのです。

唯一得したな!と思ったのは国内線で貯まったANAのマイレッジをヨドバシカメラにポイント移行して、ヨドバシ新宿店でiPod nanoを買う足しにしたことである。まだありました。会社近所の新橋のタイ屋台料理TINUN(ティーヌン)のポイントは貯まっている。ポイントは貯まってタダランチも食べたが、すこぶるタイ好きのわたしは、ポイントがなくてもそこに行くのである。そこには根本的な問題が潜んでいる。

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  ヨドバシに敬意を表して。

2回目の今日は、ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ。

【勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ 2.ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ。】
ポイントとはそもそも何なのだろうか?購入を促進する手段?顧客ロイヤルティを高める手段?割引のアト約束?

その起源はとりあえず明らかにできなかったが。そもそもは商店街のスタンプカードが起源で、80年代からお目見えしたマイレッジでスピンがかかり、ネットワーク社会になってからどこもかしこもやりだしたのであろう。

そもそもは顧客ロイヤルティを高める手段、つまりリピーター獲得であったはずである。ところが「FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)の伝導師」とも呼ばれる日本NCRの大竹佳憲氏はこう語っている。

FSPが目指すのは、顧客のニーズにあわせた顧客分類。つまり、顧客のライフスタイル、ライフシーンの分類だ。 例えば、ペットを飼っている人、低脂肪食品や無農薬食品を好む人などをカテゴライズ。仮説を立てて、その世帯にもっとも効果のあることを行う。そうすることで、商品に情報が付加され、何故それが必要なのかを説明することが出来る。 また、メーカーなどとタイアップして、顧客のメリットを与えることも可能。現状では多くの企業が、価格が安いのか高いのかという情報しかつけていない。それでは、優良顧客のニーズには応えられない。
http://www.nethanbai.jp/muryo2003_11.htm

つまり単純な「割引」ではなくて、お客様のライフスタイルやライフシーンでの消費情報を蓄積するために、良くお店に来られるお客様の購買行動を分析しよう、そこからどんな商品が欲しいか仮説を立てて、お客様やその世帯にとって価値のある商品を販売しよう、というねらいから始めた。そのためにポイントを貯めてもらって自店・自社の使用頻度を上げるというのがそもそものねらいであった。

ところがそんなことはうっちゃってしまって、昨今のポイントプログラムの多くが、お客さんを自店・自社に引き込うだけの手段に化しているように見える。現実には、多くの流通業でPOSもポイントもきちんと分析ができないという実態がある。そこが安易にポイントを行う問題の根幹ではないだろうか。

【ポイントと割引のからくり】
ポイント還元に関する考察」という題で書かれたウェブサイトがなかなか興味深いので紹介させてもらう。そこでの主張はこうだ。

  実は10%ポイント還元の買い物と、10%現金割引の買い物を比較すると、
  ポイント還元の方が実際の割引率は低い。

<ポイント還元店で1万円の買物をする>
①10,000円の買物をする→税込10500円なのでポイントは1050点
②次回の来店時に1,000円の買物をする
 →このとき1,050点のポイントを利用するとすると、ゼロ円、残ポイントゼロ。
③以上より11,000円の買物は、10%ポイント還元で、10,500円でできる

<現金割引店で1万円の買物をする。割引率はx%とする>
①1度目10,000円の買物
((10,000-(10,000x)) + (10,000-(10,000x))×0.05
   商品代               消費税
②2度目に1,000円の買物をする
(1,000-(1,000x)) + (1,000-(1,000x))×0.05
   商品代           消費税
③ ①+②の合計を求めると、こうなる
=11,550-11,550x 
 「現金割引店での割引率xの時の現金支払額」がこれである。

④これはポイント店の現金支払額と同等なので、次式はこうなる。
10,500円=11,550円-11,550x円
⑤これを計算すると、
x=1,050÷11,550 となり、
x≒0.091=9.1%

   10%ポイント還元は、実質9.1%現金割引と同等である。

さらに詳しい説明は実にマニアックにされているので、このサイトを読んで欲しい。保証内容や割引率の変動によって(2倍、3倍のときもある)ポイントの方が得になることも多い。だが小売店側は、だいたいポイントの消化率を80%ぐらい(家電量販では85~90%)と見ているので、最終的にどちらが得しているか、よく考えてみよう。

だが供給者も必ずしも安泰ではない。

【ポイント引当金でポイント倒産も?】
「突然、ポイント負債がバランスシートに計上!」という怖い話がある。日経ビジネス2006年4月24日号にはこんな囲みがあった。

NTTドコモ 400億円
クレディセゾン 238億円
KDDI 230億円
ヤマダ電機 128億円
エディオン 76億円
高島屋 27億円

これは他社へポイントが流出した場合、自社購買にはつながらないので、原資となる売上がない。売上がないポイントは他社への支払いだけが発生する。その恐れのある分(対前年度の傾向値からの率などで計算)引当金がポイント引当金である。日経ビジネスの数値のベースは、いずれも2005年度末のバランスシートだから、消費の上向いた今年度はもっと引当額が増加しているはずだ。

帝国データバンクの調べ(2006年4月期決算ベース)ではこうある。

・直近の決算短信で「ポイント引当金」を計上している企業136社引当金総額は約2870億円。
・このうち、前期から引き当てを行っている企業は116社、前々期からは101社
・過去3期で増加傾向を示している
1社当り引当金上位は、485億円を計上した(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモなど携帯電話会社
・ポイント引当金を流動資産で割った値を「引当率」として算出した場合、5%未満である企業が9割以上
・引当率10%以上の企業は2社で(総じて)財務面に与える影響は軽微といえる。

今のところ軽微であるが、今後わたしのように、ANAからヨドバシへ、他社からの乗り換えが増加したら、この引当金は増加するはずである。

【トルカという電子クーポン】
2007年2月26日、『マクドナルドで「iD」と「トルカ」が利用可能に』という記事があった。詳しくは明日も触れたいが、提携の段取りは次の通り。

Toruca

①マクドナルドでは、「iD」と「トルカ」を軸にした新会員組織をつくる。
②同時期(2007年秋頃)より、全国のマクドナルド店舗で「iD」と「トルカ」を順次導入する。
③都市部の店舗を中心に、iDでの決済やトルカでの電子クーポン配布を行う。

マクドナルドの原田氏社長は、「売上は客数×客単価。だが、単価はある程度上限がある。そこで客数増加が命題と言え、新規顧客の来店頻度をいかに上昇させるか、という点が継続的成長に欠かせない」と語り、それには電子決済と電子クーポンが効くと言っている。

 Mcd00s  中村さんと原田さんのWinWin?

【財務を傷めないポイント・プログラムを選んだNTTドコモ】
この会見で中村社長いわく。
「当社のおサイフケータイは1月末時点で1,900万台、年度内には2,000万台に達するだろう。おサイフケータイが利用できる店舗数は約20万2,000台だ。このうち、iDについては、リーダーライターは約11万台、会員数は173万人、参画カード会社は51社に達している」

お財布ケータイの成長期は過ぎた。これからは普及期だ。そのパートナーはマクドナルドだ、中村社長はこういう方針である。

クーポンは ぐるなびクーポンなどのように、比較的短期日で使用されることをねらったもの。ラフォーレ原宿のバーゲン期間に機関銃のように打つ電子クーポンは「その場・そのときの販促」である。来店者にその場に販促するというやり方。その場なので、財務的には引当金計上リスクの低いポイントなのである。

ドコモは財務内容の悪化と自社商品への転換が少ないことから、2006年4月から自社ポイントのJALやANAへのマイレージ交換を中止するなど、自社商品・サービス利用にこだわっていた。だが一転して提携戦略に出た。その理由は引当金の無いこと、ではないだろうか。

MNPでauやSOFTBANKに食われていて、背に腹は代えられない策として、財務が傷みにくいポイント・プログラム=トルカに移行するのは、主婦のように堅実である。しかも相手はファーストフードの王者マクドナルドである。一見して相思相愛のように思える。両者の安くて安全に集客を図ろうとする試み、果たして成功するのだろうか?

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2007年2月26日 (月)

勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ

消費がちょっと上向いてきたと思えば利上げである。全般に企業業績は良くても、将来の見えざる危機を見据えて、内部留保を重視する企業が多い。それだけバブル・エコノミー後の失われた10年で、個人も法人もデフレに痛めつけられてきたということだろう。仕方ないと言えば仕方ない。

バブル時代を題材にした本を流行らそうという悪ノリには閉口するが(景気は循環モノですから、いずれハジけます)、消費者としてはそろそろ伸びもしたい頃である。新入学や就職で家財や不動産がらみの出費も多いそんな春先、消費者の力になってくれそうなのが「ポイント」である。

東京メトロまでポイントを導入するという時代、2007年花の3月に突入する今週の旬ネタは「ポイント・ウォーズ」としたい。本日(2月26日)現在想定している今週のブログ構成は次の通り。途中で変更することも大いにありですので、ご容赦ください。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
1.日常生活消費にポイントという衝撃
2.ポイントか割引かクーポンか、それが問題だ。
3.ポイントからターゲット・マーケティング?
4.公金も税金も投票も?クレジット・ポイントでお得に!
5.ポイント・コミュニティ vs. ポイント・コモディティ

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【勝手にアドバイス 旬ネタ ポイント・ウォーズ 1.日常生活消費ポイントの衝撃】
何といっても最近のポイントをめぐる衝撃的なニュースはTo Me CARD by 東京メトロであった。何しろ毎日のように消費しているサービス業が地下鉄ある。それがポイント化されるって?これは驚きである。勤め人のわたしのような人にとっては、自宅近所のスーパーには週に何度も行かないが、メトロは平日使わない日はない。乗れば乗るほど貯まるって?いいじゃないか。そのメトロのポイント制度の紹介文。

東京メトロの提供するポイントサービスで、SF乗車ポイントサービスや、To Me CARDのご利用に応じてポイントが貯まります。貯まったポイントは、PASMOにチャージすることができるなど、たいへんおトクなポイントサービスです。
http://www.to-me-card.jp/guide/point/index.html

 2006m29_13

メトロポイントをゲットするには普通の通勤・通学定期やPasmoではできない。あらかじめ申し込みが必要なクレジットカード「To Me CARD」が必要である。クレジット会社は現在JCB、NICOS、UCの3社であり、それぞれ無料の普通カードと有料のゴールドカードを用意している。

【乗車ごとに2ポイント、たまればPasmoにチャージ】
システムは単純であり、1乗車ごとに(定期はダメ)2ポイント(ゴールドカード会員は5ポイント)が加算される。1,000ポイント貯まったところでPasmoに1000円分をチャージできる。160円から210円で2ポイント=2円だから、割引率はおよそ1%である。

定期や回数券販売には適用されないので、ポイントは案外たまらないかもしれない。だが東京メトロの2006年の旅客収入の約57%、1500億円が乗車券売上であり、その1%の割引であるので、最大15億円の販売促進額という小さくはないスケールである。

 Photo_27
 ちょっと見にくいが、トップが東京メトロである。 
 http://www.tokyometro.jp/corporate/management_plan/pdf/tmp2006_14.pdf

対抗上、JRグループが定期券にもポイント化を進めれば、将来東京メトロも定期券へポイント適用をしないと誰が断言できるだろうか?

【たかが1%、されど1%】
この1%の割引が、競合他社や地域商業にとって、じわじわと効くボディブローになる可能性が高い。

まず何よりもJR東日本や都内近郊の私鉄への挑戦状であり、赤字にあえぐ都営地下鉄への最後の一撃になりかねない。同じ方向の路線があれば、ポイントのある方に乗ろうという意識が働くだろう。来年(2008年)6月に開業予定の副都心線は「池袋、新宿、渋谷、横浜、みなとみらいを結ぶ大動脈」と言われる。この路線で影響を受けるのはどこだろうか?もちろんJR東日本である。

今週じっくり考えたいが、ポイントというのは必ずしも「顧客囲い込み」ではない。だが、同じ二つのコモディティ化したサービスがある場合、ポイントがある方に消費は流れる。その意味ではあからさまな挑戦状である。同じ方向に走る二つの電車はコモディティと言っていいだろう(もちろん乗り心地が良い、駅設備が優れるなど選定の要素は別にもある)。コモディティは本質的な差別化よりもお得(=ポイントや現金割引、クーポン)で勝負するのが王道である。

【駅ナカから駅マワリへ】
ポイントカードはもちろん駅ナカへも適用される。東京メトロにはエチカ表参道という駅ナカがある。ここでポイント利用が対象になるのは現在は3店舗に過ぎないが、いずれ増えることは間違いない。東京都ではJR東日本の駅ナカのショッピングゾーン、エキュート品川や立川に都市計画税をかけるという方針を示した。それだけ駅マワリの商業施設に影響が出ているということである。

その辺りを読み取ってか、東京メトロのポイントは駅ナカだけではなく、駅マワリもグループ化している。ベルビー赤坂、カレッタ汐留、六本木ヒルズなどである。駅マワリへの拡張をすることで、通勤・通学者にはお得感を、地域商業の批判をかわすねらいもあると見たが、いかがだろうか。

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【東京メトロは生活動線の囲い込みをする
東京メトロは従来よりANAとは航空チケットの販売提携をしてきたが、売上はさっぱりだった。だがANAとのマイレッジの移行ができるようになった今、地下鉄駅で航空券を購入する人も増えるだろう。さらにペリカン便の日本通運との提携も、モノの移動という視点での提携であろう。

こうして概観すると、メトロを起点とした「エリアポイント」という戦略も見えてくる。

従来は私鉄がターミナル・デパートメントストアでエリアでの覇権を競ってきた。しかし大手流通業の衰退と業界再編&合従連携で、エリア制覇という考え方が後退している。その空隙を衝いて、東京メトロは都内の主要商業エリアでポイントをテコに、エリア商業のグループ化を進めるのである。まして時代はまさに21世紀最初の東京バブル、東京一極集中の時代である。そのトレンドにしっかりと乗る戦略である。

【拡張するポイント市場】
まず手始めに、今日は東京メトロのTo Me CARDを事例にポイント前線の動向を取り上げたが、そこにはポイントをめぐる争点が凝縮されているからだ。

・1%という小さな規模から始める(拡張の余地がある)
・駅ナカ&駅マワリという商業空間囲い込み
・鉄道から空路、運輸という長い動線企業との提携
・生活動線と生活エリアの囲い込み

野村総合研究所が推定した「企業通貨市場規模」(ポイント市場に近い概念)では、約4500億円もの規模になっているという。主な企業のポイント還元額は次の通り(フルに還元された場合の数値)。

 携帯電話(上位3社) 874億円
 航空 750億円
 ガソリン 477億円
 家電量販(上位10社) 306億円
 総合スーパー(上位5社) 292億円
 百貨店(上位10社) 274億円
 コンビニエンスストア(主要3社) 49億円
 ドラッグストア(上位5社) 39億円 

今週はますます拡張するポイント市場を考察したい。今日は以上です。

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2007年1月25日 (木)

「CM、つくってみない?」 ブロガー褌ビジネス

ブロガーの飯の種と言えば、アフィリエイト収入か、さもなくばブロガー喰わねど高楊枝をきめこむのが相場。読者がつけば出版の道もあるが、それはなかなか険しい。その一方でブロガーは、ブログサイトにタダ住まいし、一宿一飯の恩義でブログに広告掲載を許諾している。いわば「持ちつ持たれつ」の関係。DB停止が頻発するココログの非難をしてもいけない(最近してしまったが)。

そういうところに割って入ってきた新ビジネスが「CM、つくってみない?」という、エニグモというネットベンチャーのブロガー参加型動画CM制作ネットワークビジネスの「filmo」。エニグモがCM制作をやってみたいというブロガーと、草の根・口コミの広告効果を期待する企業の期待をマッチング・ビジネスらしい。わたしのように勝手にアドバイスを無料でやるより良いかもしれないと思わせるビジネスが今日のテーマ。

 Main_1 なぜかV-Dayから。

【勝手にアドバイス Vol.109 「CM、つくってみない?」 ブロガー褌ビジネス】
あっさりとしたエニグモさんのfilmoサイトから趣旨を引用しよう。

filmoとは。
企業やブランドの動画(CM)制作依頼を皆様へ配信し、制作された動画(CM)をブログ等でご紹介頂いた方々へ制作費をお支払するサービスです。
数多くの企業CMが流れる現在、価値や影響力のあるCMはどれほどあるのでしょうか?
「自分だったらこう作る」「こう作った方が面白い」と思った事はありませんか?
“filmo”はそんな思いを形にするサイトです。

 Filmo_service 手続き。

なるほど、ネットCM版の「スター誕生!」という要素もあるし、テーマに困っているブロガーに「新製品ネタ提供」という要素もある。企業にしてみれば「アイデア(相当に安く)いただき!」ということだろう。企業の広告を素人に作らせて、その上がりを収益とするビジネスモデルは新しい。

このサービスには次の3つの点が融合していると思う。動画媒体の活用、素人にCMを作らせるという変化球、そしてネットユーザーの褌で相撲をとるという点である。

【動画をめぐるネットビジネスが細分化】
動画サイトではyoutubeがダントツで視聴されているし、いろいろなサイトで商品紹介やサービス紹介で動画を見ることが格段に増えた。PCでも携帯でもiPhoneでも、動画が当たり前になってゆく。

つまり動画をめぐる一番手ビジネスはすでに勝負がついているが、二番手・三番手の細分化したビジネスに主戦場が移っているのだ。ひと口に動画と言ってもズブの素人の動画投稿から、プロのCMまでさまざまである。ネットで動画が主流になることは必死だとすると、自社のビジネスではそれをどう活用できるのか?動画を軸にした新ビジネスを起こせないか?これは今後3年ぐらいの新ビジネスのキーワードである。

【より個性的な広告コンテンツが求められる】
次に電通さんのインターネット広告の市場規模予測を見てみよう。

Photo_14

この予測によると、規模&伸び両方でウェブ広告が大きいのは当たり前として、P4Pともいわれる、検索連動広告やコンテンツ連動広告も1000億円以上の市場規模になると予測されている。

素人(といっても、実際には映画監督やカメラマン志望者、CMプランナー志望者がメインだろう)がつくったCM広告を作らせ、その製作者のブログ経由で流す。トラックバックもされるだろうから、面白ければかなりの広がりが期待できる。単なるバナー広告やクリック広告よりも、オモシロ画像で説得力のあるサイトへの誘導になるものも出てくるだろう。

【ネットユーザーの褌はどこまでゆるいのか?】
Web2.0の時代の大前提は「全員参加型」というキーワードである。参加者が多ければこそ、ネット大衆相手のビジネスも成立するし、細分化されたロングテールビジネスも成立する。

「CM、つくってみない?」は細分化型だが、表現したいからブロガーになるか、ブロガーになって表現欲に目覚めるか、どっちも多いからあんがい多数派になりそう。ブロガーというネット消費者の褌で、どこまでビジネスができるのか?という問いかけには、「実は褌はかなりゆるい」、つまりあんがい参加者は多くなるのではないかと思いました。

【勝手にアドバイス】
以前 「プロシューマ」をテーマに旬ネタでシリーズブログを書いたが、ネットというすべてをあからさまにするメディアの前では、素人とプロの境目もどんどん怪しくなってゆく。だから瓢箪から駒でないが、消費者の目線こそCMの原点であるから、すごいCMプランナーが現れても不思議ではない。

このような表現者を育成・選抜するビジネス、わたしは評価する。どんどんみんなでCMを創ろう!もともと、相当にドンブリな業界なのだから、価格破壊が可能な要素は充分にありうると思う。

折り入ってエニグモさんにお願いがひとつある。わたしのこの「勝手にアドバイス」のような文章で、お金が取れる仕組みをぜひ考えてほしい。「勝手にコマーシャル」かしら(笑)。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow

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2006年12月 1日 (金)

試供品は驚きがいのち

会社を出てお客さんの会社(名古屋)へ向かおうとして、新日石の角の西新橋交差点にさしかかったとき、「よろしくお願いしま~す!」という声とともに、飲食店のユニフォームを着た若い女性からサンプルとして、携帯ぐらいのサイズのビニル袋を手渡された。

わたしはビラだけの手渡しだと避けるというさもしい性格だが、モノ付きだとでもらってしまふ。

渡された透明のビニル袋には、なんと五穀米のおにぎりが!ラップに包まれたふた口サイズのおにぎりなんです。

「ほほう。こういうのもあり?」と、新幹線のお昼のお供にしようと思ってカバンに入れました。おにぎりと一緒に袋に入っていた小紙片には、「からだにおいしい店 雑穀本店 店主 山本美恵子」さんによる、ヘルシーな忘年会・新年会メニューが紹介されている。おにぎりも手づくりなら、広告文も手づくり、手渡しというのも共感がもてました。ときどきお邪魔するお店なのでちょっと紹介。

Head1 おにぎりありがとう。

【勝手にアドバイス Vol.79 試供品は驚きがいのち
もちろん夏だったらこんな芸当はできない。だがこの雑穀さんはヘルシーなお店だから、コンビニ握りのように油も添加物もないから安心。スーパーでボージョレヌーボいかが♪は新味がなくて響かない。ベーカリーで切り取られたパン片は干からびているよう。雑穀にぎりは、わたしの中ではかなりヒットしたサンプル提供でした

【無人でもサンプルは配れる】
その日は(日帰りです)帰りがけの大手町でも面白いポスターを見つけた。「COTTON USA」というポスター。

このポスターにビニル袋入りの(冷蔵庫につけるような紙を止める)磁石シートがたくさん貼り付けてある。勝手にもっていっていい、ということらしいので、わたしも剥がして2つもらってみた。イメージアップ広告であるのでポスターも磁石シートも、アグレッシブなデザインではないが、こうして自分の手が「剥がすという」アクションをすると、普通の広告から受けるのとは違う感触がある。

Mark  こんな磁石シートでした。5cm×3cmぐらい。

何を言いたいかといえば、「消費者自身に剥がさせるという行動が新鮮なのである。ポスターを流し目で見るだけでなく、ポスターの一部を「剥がす」という行為が新鮮。

それでひらめいたのは、通りすがりの人が、ポスターに貼られたサンプルを剥がすたびに、ほんとうに伝えたいメッセージがだんだん見えてくる、ようなポスター広告。だんだんメッセージや図柄が見えてくるから、みんなで一枚ずつ剥がそう!のというようなメッセージと共に。どうでしょう。

【化粧の試供品をエキナカで】
花王がエキナカ(JR新宿、品川)でメーキャップ化粧品を無料で試せるブースを期間限定(12月中2~3週間)で提供するという記事もあった(日経)。

メーキャップブランド「AUBE」の春の新商品を宣伝するのがねらい。ブースは横7メートルと買いてあるから、5人ぐらいは座れるのだろうか。約1万人の利用を狙うという。男は座れないので試せないのが残念。男向けもぜひお願いしまっす。

1  元画像がフラッシュでして。

電車でメーキャップ女たちは、あれほど電車の中でお顔の虚構作業にいそしむのだから、エキナカに座ってじっくり塗りこみ、目のひさしを巻き上げるという需要は大きいかも知れない。

あまり?メークをしない男だから間違っているかもしれないが、わたしが思うのは、電車メーク女はほんとうのAUBEのターゲットではない。化粧しているところを衆人環視されて何も思わない感性と、エキナカで(ある程度)落ち着いてメークしていただき購買につなげるというねらいとは、本質的な違いがあると思う

エキナカ=電車中ではない。エキナカは揺れないし、来年度からちゃんと課税される。いずれにせよ中年マーケターの血を騒がせるのは、限られた公共空間でのマーケティングは実はかなり効くという法則である。

【航空機でのサンプル配布効果】
カタログやサンプルを同封するという業者がある。たとえばニッチ・メディア・ニュースというサイトがある。
ここでは旅客機の乗客にサンプルを提供するという広告宣伝を企画・実施している。前に聞いたことのある米国事例では、航空機内という、時間をもてあまし、なおかつ移動目的がある程度絞られるという点が格好のマーケティング・ターゲットになるという話。サンプル配布後のレスが相当高いという結果がある。

他にすることがないし、機内誌も読み飽きる。それに対してエキナカはかなり流動性が高い。それでも限られた空間ではあるから、特定のタイプの駅(女性が多い、オシャレなイメージなど)ならある程度ターゲットも絞られるから、サンプル提供は威力を発揮する。

飛行機と同じような空間として、新幹線、夜行電車、夜行バスなどがあるが、もっと絞り込めば「スキーバス(お肌のお手入れ用品、疲労回復サプリメントなど)、「タクシー(お客さんの年齢や姿かたちを運転手が見定め、臭いオトーさんには消臭剤、疲れきったワーカーにファイテンのサンプルを手渡す)」などがいいかもしれない。

【サンプル百貨店】
サンプル百貨店とは、2005年8月にオープンしたウェブサイト上のサンプル百貨店。サンプルの配布とアンートなどを実施する。

Logo_3  女性の起業。

「需要と供給は経済の基本。だが、ことサンプル品に関しては、そのバランスがとれていない。(中略)そのアンバランスに気づいたのは、街でコンタクトレンズのサンプルをもらったときだという。(2005.10.17掲載)
 「2人とも視力は良好。でも、捨てるのはもったいない、誰か欲しい人いるよねと話しているうちに思いついたんです。従来のサンプルは企業側が一方的に配布するものばかり。そのサンプル品が本当に必要な人たちに届く仕組みがあれば、企業にも効率的ではないか、
と」
引用元 http://www.yukan-fuji.com/archives/2005/10/post_3706.html

おもしろいビジネスだが、インターネットがここまで老若男女が使うようになると、サンプルをねらいにやってくる人も多様化しすぎてフォーカスがあまくなる。「試供品を手にとれない=その場で驚きがない」という点が、ネット・サンプル配布の限界でもある。

リアルなサンプル配布ショップを東京メトロで経営すべきだと思う。みなさんが手に取るR25の壁からも、毎月の使用料金を受領してホクホクのメトロ。いっそサンプルだけのコンビニを開こう。ポイントはレシートを発行することである。バーコードリーダー、レシート発行でサンプル配布管理を行い、QRコードを印字して、サンプル受領者からのアクセスをねらおう。

【勝手にアドバイス】
試供品をわたされた人が「驚く」、「新鮮さを感じる」、ないしは「(ポスターから剥がすなどで)自分も参加している」という気持ちになれば成功である。

限定された空間での渡しは効く。なぜなら(ある程度まで)その空間に集う目的は共通しているから。

エキナカはサンプルとの相性も良い空間。エキナカの壁や柱がフリーペーパーに使われていることを参考にして、「サンプル配布柱」を実施するのもいいわたしは日本中のあらゆる場所にある、あの広告可能物体がいつも気になっている。それは「郵便ポスト」。あれを改造して「サンプル配布ボックス/フリーペーパーボックス」になぜできないのだろうか? 1本年間3万円の収入×何万本=??? いったいいくら儲かるのだろうか?

試供品配布ショップをつくることもいい。ぜひとも「お渡しのレシート」を発行しよう。いつ、いくつ、陳列後どのくらいで配布したかなど入力が可能レシートにQRコードなどを印字すれば、顧客からのレスも期待できる。

@WORK**********************************************************************
今日は、まずうさぎのブリーダーに出会った。社内の中途入社の女性SEですが、おもしろい人で。わたしは誰にでもたいていは本音オンリーですが、最初から本音可能な人だな♪と思いました。GUGUってみるとウサちゃんブリーダーの権威を確認しました。偉い方なんですね、びっくり。

そしてスペイン帰り・スペインなまり?のNT嬢とじっくりおしゃべりしました。お帰りなさい。就業時間中ですが上司は見て見ぬフリしてくれました。おかげで根ほり葉ほり。好奇心が満たされました。スペイン事情に少し通じたかな。トモに明日に向かって走ろう!

わたしの勤め先は、悩ましい男や地雷男がいますが、女性は素晴らしい方が多い。何とかならないか。今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

Nethdwarfwcr_p108 かわゆいドワーフ。

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2006年11月24日 (金)

行列マーケティング 5.行列の科学: 顧客の心の中に高順位をつくる。

行列マーケティング5回目は「5.行列の科学: 顧客の心の中に高順位をつくる」である。

4回にわたり行列あれこれを書いてみると、雨にも負けず、肌寒さにも負けず行列をする人の行列を作らせるテクニックや手順は存在していることがよくわかった。テクニックがあるということは、並ぶ心や行列の長さを法則によって操作することができるという意味である。それは行列を科学することの入口、いや行列に並んだことにもなる。

そこで行列マーケティングの最終回は、「科学する」というテーマで行列あれこれを締めくくりたい。

1715ap2006 PS3のためにSonyニューヨークに最初に並んだ人々。

【再び行列ポジショニング】
このブログの第一回(11月20日)に行列ポジショニングを「エンタメ度」と「レア度」で斬ってみた。再び行列ポジショニングをしたい。「科学する」というタテマエ上、数値化までせずともそれに近いことを示す必要もあるので、今度は「行列時間」と「行列キュー対応」にて、各行列要素をポジショニングしてみたい。

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この図はヨコ軸が行列時間、長いか短いか、長さを感覚的に示せば、最も長いものをPS3としてみた。日本では24時間、米国では100時間ぐらいだったと思ってほしい。真ん中のDL(ディズニーランド)、パチ(パチンコ、スロットの開店前行列)、小児(小児科医への行列)、だいたい1~2時間としたい。もっとも左の「短い」のは15分~2分ぐらい。

タテ軸の「行列キュー対応」とは、行列をどう解消するか、すなわち受付=一気に解消型もあれば(PS3)、バッチ的に順次解消していくもの(ディズニーのアトラクション、30~50名/1回など)、随時解消していくもの(ひとりずつないし2~5名ずつなどのレジ対応)を示している。

行列を伸ばすのはいいが、どう解消するのか。PS3など話題の商品は行列すること自体がイベントなので、一気に解消する必要がある。一気に解消することがカタルシスがある。バッチでやると緊張感が切れる。

ランチや宝くじ、ATMは、随時に行列解消されることが理想であり、そのため宝くじやATM受付の数をいくつにするかが読みどころ。

問題は小児科医のポジションである。一定に長く、しかも随時にしか解消されない。その随時という時間はだいたい規則的であり(10分程度)、「次の方」となる。同じ時間間隔は、行列をする側にとってもっとも時間を長く感じるとされる、単調かつ一定の刺激なのである。病院の行列には、大道芸人のようなエンターテイメントを盛り込むこともできないため(当たり前か)、行列心理を柔らぐのがもっともむつかしいと思われる。

以下、いくつかの心理学的な視点に触れたい。

【同調行動】
行列するひとつの動機に「同調行動」があるとされる。同調行動とは心理学用語であるが、話題のお店への行列はおおむねこれで説明がつく。

①追従心理
誰それに気にいられたいため、自分の気持ちをまげてでも、誰それに同調する。自分はグルメではないが、グルメの誰それが美味しいといっているなら、そうするという心理。
②同一視する心理
並ぶことで、並ぶ人々やグルメと価値観が似ている、同じようなことをすることで自分と彼らを同一視をする心理である。
③内面化
人に釣られて並んだだけだったけど、本当は自分はこれがしたかったんだ!と自分をだまし、だましが嵩じて本当になるという心理。

上記のポジショニングで示すとDタイプがこれにあたる。

【小耳にはさんだ効果】
「小耳に挟む」、たとえば「あのお店、XXXXがとっても美味しいのよね。美味とはアレよ」という行列している人の言葉が、つい耳に入ってしまって並んでしまうといもの。社会心理学用語で盗み聞き効果(overheard communication effect)というそうだが、行列現場での口コミ行列促進と言っていいだろう。実際に並んでいる人がいて、囁くのである。これはかなり強力。フラ~と行かない方がおかしいのかも知れない。

余談だが、百貨店の「新春 お年玉袋」なる販売の現場では店員が囁いていた。「奥さん、あの袋にはXXXのドレス・ウォッチが入っているんですよ。あの袋だけ、あとひとつだけなんです」。あれは汚い手だと思った。

Isetan  ちなみに伊勢丹では。

2006年に創業120周年を迎える伊勢丹新宿店では、1月2日と1月4日に「新春祭」と称して魅力的なお年玉袋が約47,000点販売になります。なかでもオススメは、1月2日(月)限りで販売になる化粧品<クラランス><ジバンシィ>のお年玉袋。価格:各5,000円 ※数量には限りがありますので、品切れの節はご容赦ください。

だそうです。ネット耳を使って予告して並ばせる。もう始まってます。

【行列時間】
これについてはアインシュタインの言葉を引いて少し触れた。行列をしていることを短く感じさせるためには、五感の刺激、アトラクション(大道芸人など)、差し入れ、匂い、職人の手さばき、など変化を付けることが大切である。何か起きれば気が紛れる。

待ち行列理論」というものがある。実務では主に情報システムのトランザクションタイムを計ることに使われるもので、小児科医に並んだママが「あとどのくらい並べばいいのだろう」というときに効果を発揮する。

一般的な式や計算方法などはネットで調べてもらいたいが、「窓口の数」「到着時間分布」「サービスの時間分布」など式を変形して仮説を立てることができる。もちろん、待ち時間データがなければ計算できないわけだが。業種やケースによりさまざまな仮説を立てて計算することは大規模店などでは必要となる。

【行列のかたち】
最後に行列にもかたちがあるという指摘をして終わりたい。もっとも皆さんも目にしてきたのは、ディズニーランドの非日常空間の行列である。ディズニーのアトラクションの行列のポイントは「行列が直線でないこと」にある。あのクネクネと折り曲がって進ませる行列のカタチにもアトラクションがある。

クネクネと曲がれば、景色が変わる。屋外のアトラクションだったら、行列する向きが変わることで景色が変わる。あ、あんなアトラクション、楽しそう!さらに他の待っている人の顔が見える。同じ目的で並ぶ人の表情が見えて、相憐れみ意識がもたげる。

物理的かつ時間面の制約はあるが、行列を固定化させないこと、行列のかたちを変えることも、行列時間をもてなす工夫のひとつである。

以上です。一週間お付き合いいただきありがとうございました。明日からまた「勝手にアドバイス」を書きます。
ではまた明日。Click on tomorrow!

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2006年11月23日 (木)

行列マーケティング 4.行列づくりのテクニック: 悪魔のテクニックはお奨めできない

行列マーケティング4回目は「4.行列づくりのテクニック: 悪魔のテクニックはお奨めできない」である。

3回にわたり行列について書いてきたが、そもそも「なぜ人は行列するのか」という根源的な問いかけを少し考えてみたい。

【なぜ人は行列するのか】
衝動的な行列への参加の場合、この答えは至極単純である。「人が並んでいるからオレも並ぶ」のである。

「お時間と御用の無い方、ちょいと足を止めてください。どうぞ見ていってください!」に釣られて並ぶ。これはわかりやすいし、行列嫌いなわたしも1度ぐらいなら経験はある。横並び意識、ベストセラーを購入するフォロワー行動、スケベ心か強欲な心を出してしまって、つい並ぶ。余談だが、近未来通信のあの新聞広告で、嘘を見ぬけないほど欲ぼけになってはまずい。ちょっとインターネットで調べるだけでIP業界の掟(安いものが勝つ=出資損はまぬかれない)はわかりそうなもの。

PS3にせよ、Wiiにせよ、昨年行列ができたいW-ZERO3にせよ、行列には「行列トリガー」が仕組まれている。「行列トリガー」とはわたしの造語であるが、「並ばなきゃ、先を越される」「並ぶことがおもしろそう」「並ばないと手に入らない」など、いわゆるティーザー(じらし)キャンペーンが何らかの情報で仕込まれている状態である。

多いのは供給を絞らざるを得ません、今回の生産はこれ限りです、という在庫不足情報である。少ないとか無いとなると、人は方々を回って探そうとする。インターネットの無い昔であれば、テクテクとこの店、あの店を探すが、電話をかけまくって探す。ネット時代の今では、サーチをしまくる。

こういう陽動作戦も口コミ・ネットコミで伝わり、ナーバス(そわそわ)キャンペーンをユーザーに展開させることをマーケターは画策する。

ちなみにCherryさんたちは千疋屋の月一回しかない、デザート食べ放題(だったか)への予約に電話行列をしているが、なかなか成功していない。これも「月一回」という絞込みがミソであろう。

Logo_2
舞浜イクスピアリ店では、大人気のフルーツ食べ放題をクリスマス企画といたしまして、12月20日に特別開催することとなりました。皆様のご予約お待ち申し上げます。 
(ゴメン、もう満席)

千疋屋に毎月電話している女性たちは(かなりいるそうだが)、すでに心に行列がインプットされている。つまり心の中で「行列トランス状態」(大げさですね笑)であり、ナーバス・キャンペーンが効いている。マーケターであれば、こういう心で並ばせる仕掛けこそ編み出したい。さすがは千疋屋です。

余談だが行列でゲットした物品をすぐ「ヤフオク」で横流しにする人々は例外である。彼らは行列マニアではなく、オークションマニアに過ぎない。

【どこまでの情報を出すべきか】
そこで問題になるのが「並ばせるためにどこまでの情報を出すべきか」。これは時と場合とモノによって異なるが、PS3とWiiの場合、どうだったのだろうか。

(2004年)
・2003~2005年度で投じる半導体投資額は5000億円。うち2000億円がプロセッサCELLの製造にあてると発表。
・PS3本体の発売は開発が順調に進めば2005年末~2006年春ごろ
・2005年春ごろに正式発表会を開催(する予定)

(2005年)
・ISSCC2005(2005年2月開催の半導体技術者向け展示会)で、CELLの製造プロセス、トランジスタ数、浮動小数点演算性能、消費電力など詳細を発表。
・5月17日、PS3の概要をプレスリリース。仕様だけではなく、主要なゲーム開発メーカー社長のコメントも掲載している。2006年の春発売予定、とだけ記された。

(2006年)
・3月になりPS3の発売を11月上旬に延期。BD規格のライセンスの遅れが公式理由とした。
・この時点では「月産100万台の生産体制を早期に実現させ、発売日までには100万台以上を用意」としていたが、未だ日本で10万台、米国で40万台だけである。
・5月時点で、11月11日(土)=大安を発売日にし、正式な(価格59,800円)を発表(後に引き下げ)。
・北米欧の発売日は11月17日とした(が欧州は2007年に延期)
・9月6日になり、欧州の発売延期を発表
・9月22日、PS3を49,980円に値下げを発表。HDMI出力端子付きとした。

参考サイト http://ps2.unisord.com/ とても詳しい。

とまあ、じらすことじらすこと。Sonyの生産計画の大幅な遅れが原因とは言え、Sonyはマイクロソフトを狼少年とはもはや言えない。 久夛良木社長のSony本社への苦言を呈したこともあった。あのSonyが右往左往したサマを見せられた。PS3の場合、情報開示にはあまり戦略性が感じられなかった。

Wiiの場合はこんなじらしだった。

(2004年)
・6月9日、任天堂経営方針説明会で「レボリューション」開発を発表(後にWiiになる)

(2005年)
・3月10日、GDC (Game Developers Conference) 2005で概要発表
・9月16日、東京ゲームショウ2005の基調講演で、コントローラ公開(本体はまだ隠している)

(2006年)
・4月28日、深夜1時、全世界同時に任天堂公式サイトで正式名称「Wii」が発表された。
・5月11日、任天堂より発売される最新ゲーム機「Wii」向けソフトを開発するメーカーが発表された。
・5月25日、連結決算短針発表の場で、「25,000円以上は考えていない」という回答を出し、具体的な価格や発売日については、後日発表」とした。
・9月14日、任天堂より発売される新型ゲーム機「Wii」の発売日と価格が決定した。発売日は12月2日、価格は25000円。さらに販売の計画についても(全世界合計で)年度内に600万台、年内に400万台を目指したい、としている。

こちらはWikiを参考にした。http://ja.wikipedia.org/wiki/Wii

Wii04_1  もうあと少し。

任天堂は、もともと情報開示には定評がある。Wiiについても、いつどこで何を、どこまで言うべきか、かなり議論をして決めているように推察できる。

PS3にしてもWiiにしても、情報開示は業界のプロ向け、次いでコアファン向け、株主向け、そして一般向けと、時間の経過と共に開示情報内容を順序づけている様子が伺える。ティーザー情報開示とは、ターゲットを口コミ力でセグメントに分け、それぞれの影響力と口コミでの伝達内容を想定した上で行うのである。

「よくわからないが凄い開発が進んでいるらしい」「そのコア部品はこんならしい」「仕様がわかってきた」「競合との情報戦がおもしろい」「価格はだいたい・・・」「販売計画はXXX売る」「正式なネーミング発表」「確定仕様、価格、発売日発表」、そして行列をしていただけるのを待つ。

PS3でまことしやかに言われた「あまりに性能がスゴいのでゲーム開発業者がついてこれない」のは嘘も方便であった。開発コストがかかりすぎるので開発業者が逃げそうになるのを抑えるために、自社の技術力を誇示して一般ユーザーの声という行列(世論)を誘導し、開発業者の尻をたたいたのであった。Sonyさんもなかなかやるのである。

【悪魔の行列テクニック】
店舗などでは行列をつくるテクニックは、意外なほど簡単である。

作業をゆっくりすればいいのである。調理時間、サーブ時間、レジ時間・・・。デパ地下の焼きたて行列の類は、だいたいこのテクニックが応用されている。焼きたてが美味しいというメッセージ。焼くまでのオーブンや調理を見せる。焼けてきた匂いもする。並ぶ人が現れる。焼けるまでにもうちょっと時間がかかる。行列が長くなる。「焼きたてですよ~♪」。実に単純。

だがわたしがこれを「悪魔のテクニック」と呼ぶのは、美味しくないとすぐにバレる。あくまで本業に自信がなければ逆効果になるからである。並んで失望した客は二度と来なくなる。特に客さばきや包装などが遅いせいもあって行列が長くなるお店は、怒りの行列になる。口コミで店が殺される。

ディスカウントストアなどで駐車場が足りず、ずらっと公道上を駐車待ちの車が並ぶ店舗もある。故意に駐車場が少ない店舗施設設計をしたわけではなくても、「いつも並んでいるから止めよう」という心理も働くので、やがてガラ空きになる。これも悪魔のテクニックである。

さして美味しくなくても、行列している間の対応が丁寧であれば「並んでも気持ちがいい」ので、また並びに来るのである。悪魔に誠実さを売り渡してはならない。本業を離れた行列づくりというテクニックは存在しない。

ふと思い出したのは人形町のたい焼き屋「柳屋」である。尻尾まで餡子が入っていて、かりっとしたたい焼きで有名が、わたしは焼き金具でひとつひとつたい焼きを焼き上げる、おじさんの手さばきに見とれてしまう。あれを見るだけで行列する価値がある。

Img_4119_1 1枚ずつ、 Img_323889_3091962_0_1 焼いてます。

今日は以上です。今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2006年11月22日 (水)

行列マーケティング 3.行列ホスピタリティ: 行列をもてなす。

行列マーケティング3回目は「3.行列ホスピタリティ: 行列をもてなす」である。

【PS3:「犯罪現場じゃありません」 ニューヨークの行列】

061118ps3ny04
  警官出動。

061118ps3ny05  これなら警官も出るって。
http://www.gizmodo.jp/2006/11/ps3_11.html

写真のクレジットがはまっているのでおもしろい。でもまあアメリカにはPS3のために1週間前から並んでいた群集がいたとは。ごくろうさま。このテント設営もそれぞれでテキトーにやっていたので、隙間ができて、折りしもかなり雨も降ったので、隣のテントシートの傾斜から水がじゃんじゃんかかってきたという話もあった。それに、アメリカは「歩道が広いから泊まれる」という観察もできる。

余談ですが、10年ほど前ですが、カリフォルニア州を車でぐるぐる走ってつくづく思ったは、近所の道路のようなフツーの道路でさえ、真ん中にある中央分離帯が日本なら何軒も家が建ちそうな広さがあります。それを思い出して、行列にさえ、国土の広さ、豊かさの差を感じてしまった。やはり戦争する相手ではなかった。

【人は行列が好きなのか、嫌いなのか】
心理学的にも、人は並んでいるときの時間は長く感じるものだという。こむつかしい理論だと、単調な刺激(ドット刺激という)が長いと余計に長く感じる。たとえば「並んでください~! 通行の邪魔になりますから3列整列にご協力くださ~い!」というような文句をアルバイトに連呼させているが、同じ情報を連呼されると、並んでいる時間を余計に長く感じさせる。

「あと○○分です」「今現在○○人までお渡しができます」「あと○○分かかる予定です」と、嘘はダメだが、許容範囲内の見込みを具体的に伝えさせることで、待ち時間の感覚は柔らぐのである

順不同であるが、並んだ時間が長く感じるケースを列挙してみた。

 嫌なことは長く感じる。
 反復行動(ATMのような日常行動)だと長く感じる。
 情報が無い(少ない)と長く感じる。
 管理者/店舗から無視されると長く感じる。
 アンフェアなときは長く感じる。(Cheatingですね)

【好きな長い時間もあります】

人は好きな長い時間と嫌いな長い時間がある。それをアインシュタインはこう説明している。

熱いストーブの上に一分間手を載せてみてください。まるで一時間ぐらいに感じられるでしょう。かわいい女の子と一緒に一時間座っていても、それは一分間ぐらいにしか感じられない。それが相対性というものです。

なるほど。わかるなぁ。素敵な女性たちとのランチの時間が短く感じられる理由が。思い出しました!連休狭間の明後日の楽しいランチをセットしなくちゃ。そういうのはセットする時間からして楽しい

つまり、行列をする前の準備時間さえ、行列を(予定)する人々にはインプットされていて愉しんでいる。特にPS3やWiiのように待ち望んだ商品であればあるほど、すでに心の中では行列をしているのである

【年齢と待ち時間の反比例の法則】
年齢と待ち時間が反比例する法則についても心理学者のさまざまな見解がありますが、次の記述にはなるほどと思いました。引用させていただきます。

実際にある心理学者の調査によると、時間の感覚は、その人の実際の年齢に反比例するという結果が出ています。こう聞くと小難しいですが、つまり、同じ1日であっても、例えば1歳の人にとってはこれまで生きてきた時間の365分の1であるのに対して50歳の人にとってはこれまでの人生のたった18250分の1でしかないわけであり、その分短く感じるようになるのは当たり前といえば当たり前のことです。 そう考えると、この世に生まれての第1日目は本当に長かったのでしょうね。
引用元 http://homepage2.nifty.com/osiete/s699.htm

年取ると時間間隔が薄まる。新しいこと/知らないことに素直に驚くこと、自己(経験)否定すること、美には素直に美しいと口に出すこと、つまりカサカサにならずに日々感動することが大切でしょう。ちと脱線しました。

【行列に優しい店舗になろう!】
さて、ニューヨークのPS3販売前のソニーの状況を伝える写真で、わたしが注目したのは「珈琲」である。

Picture005  無料の珈琲。

どうやらソニーの店舗が「並ぶのもたいへんでしょう。何もおかまいすることができませんが、せめてコーヒーをどうぞ」と振舞ったらしい。これは低コストで気が利いている。たかがコーヒー、されどコーヒー。雨の降る寒かった夜、そのコーヒーの味は忘れられない。

つまり好きで並んでいる行列なのだからこそ、低コストのちょっとしたもてなしでも心理的に最大の効果を発揮する。思いやりのような小さなサービスでほっとするのである。それがあるだけで、暴徒になるか、店舗クルーと仲間意識に包まれるか、分かれ目になり店舗の評判に影響する。

店長さんは、行列に対して「小さなサービスをしてあげましょう」と店舗クルーに実施させることが大切である。最初はマニュアルないしプログラム化するのでもいいでしょう。できれば、店舗の正社員のみならず派遣さんも「もてなしましょう」と率先して実行するような店舗になれば、素晴らしいと思います。

並ぶ人々はその店舗の取扱商品のコアなファンなので、行列に優しい店舗というイメージは、固定客作りにもなる。積極的にお店のトイレも使わせてあげて、ちゃっかり行列キット(髭剃り、使い捨てタオル、下着、コンタクト液、タオル等々)を販売するものいいでしょう。

【たわいない思いつき=行列をもてなす】
行列をもてなすためにいくつか思いつきを書いて、締まらなくて今日のブログの締めにします。

・大道芸人を呼んで行列をもてなす。(PS3を1台差し上げるギャラでやって来ますって)
・音楽家を呼ぶ(どんな音楽が良いか、考えどころ)
・クイズやビンゴをして、受賞者に特典を与える
・フード屋台を呼ぶ(情報を流すだけ)
・冬ならトン汁を振舞う(トン汁なら食中毒もないでしょ)

Performer  芸。 505_indiacurry  食。

大切なことは「行列の目的に関する事実/情報を伝える」「行列していること以外の刺激をする(単調にならないように)」「行列者はコア・ファンであるという認識をパートまで浸透させること」である。

行列のできる飲食店では、行列ひと口ワイン、ひと口ビールを振舞うと、高いランチを注文するンです。Cherryさんやわたしはそうですね(笑)。

明日は逆に「どう並ばせるか」というテーマについて考えます。今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2006年11月21日 (火)

行列マーケティング 2.顧客不満足度を増す行列マネジメント

行列マーケティング2回目は「2.顧客不満足度を増す行列マネジメント:管理するという間違い」である。

【整然と並ばない人たち】
ナッツベリーファーム(ロスアンジェルスのテーマパーク)でのことである。ここはディズニーランドよりも体感型の遊戯施設がある遊園地である。ディズニー並みに混雑もすることが多い。気持ちよく濡れるウォーターライドの遊戯施設ではズラリと行列が出来ていた。わたしは子供と行儀良く行列の末尾に付いた。そのウチにもどんどん行列は伸びていった。行列は金属の棒の柵で仕切られていた。列に並んで10分もすればライドができるのだ。

ところがそこで柵を乗り越える奴がいた。どう見てもメキシコ人だった。しかも子供に「くぐれ」と指示をして柵をくぐらせるのである。彼らに向かって「you are cheating! と叫んだわたしだが、聞こえなかったフリか、英語がわからないフリをされた(発音は悪かったよスマン)。

人種差別的な発言はいけないが、どうも彼らに「並ぶ」という感性が乏しいという光景にはファストフードや店舗での振舞いで何度も見かけた。お国柄なのだろうと思った。

【整然と並ばない人たちも日本にいる】
先日のPS3の販売時(有楽町ビックカメラ)の行列の説明にこうある。

混乱の原因のひとつには、客のかなり大きな割合を占めた、外国人と店側のコミュニケーションが上手くとれていなかった点がある。店側では十分な数の在庫が確保できている点、落ち着いて整列を行なって欲しいという指示を再三にわたって出していたが、これらのアナウンスが効果的に伝わっていたとは考えにくい。作法の違いからか、我先にと列に割り込む客も多く、これが混乱に拍車をかけた。
引用元 http://blog.so-net.ne.jp/kazufumi_my-sony/2006-11-11

Thumb320x213images824869 向こうの列かしら。
Thumb320x234images824864  こういう掲示もあったが(こちらの列では・・・)。

ここで言う外国人は中国系の人たちである。わたしの乏しい中国体験からも、彼らにもまた「並ぶ」という意識が低いと思う。行列する民族としない民族があるのは事実である。

日本人は相対的にかなりマナーがいいが、最近目につくのが中年男性のマナーの悪さ。コンビニではフォーク型の行列をしない。歩いていて避けない。歩きタバコをする。おとーさんたちのマナーは悪化している!余談であった。

【タイプA「パブリシティ行列」の心理変化】
行列をきちんとマネジメントできるかどうかは情報提供力次第である。再びPS3の発売日の状況から。ビックカメラの店員が、歩道から車道にあふれた群集に警告を与え、整理を促している際だった。その店員は2つに分かれた群集から混乱なく列を作るために、店舗裏手と公道側の群集を別々に誘導していこうと意図していた。しかし、その考えが裏目に出てしまった。
メガホンで叫ぶ店員は「ここにいるお客様には十分な数の在庫が確保できている」と前置きした上で、「向こうの(裏手側の)人たちから先に誘導します」とうっかり叫んでしまったのだ。この時点で、列待ちの群集の多くは、1000人近い数にふくれあがった全員に商品が行き届くとは考えていなかった。

引用元 http://ascii24.com/news/i/topi/article/2006/11/11/665782-000.html

口を滑らせたのはうっかりミスだが、ヘタをすれば暴動であった。そもそも2つに分かれた列をマネジメントしきれなかった店側のミスであり、さらに「何人に何台行き渡るか」「どのように行き渡らせるか」それが「何時からなのか」、臨時に行列マネージャなる人をおいて、情報を繰り返し繰り返し伝えるべきであった。

20061111_1906981 ビック。  F2cd61796c3a82bbafm ヨドバシ。

これに対してヨドバシ アキバ店では地下4~5階の駐車場に集められて夜を過ごしたお客さんが多かったという。こちらにも中国人や中東人の人もいたが、混乱は無かった。店舗施設(の余裕)や環境の違いとだけとは言えないと思う。

行列という物理コントロールは、並ぶ人の心理コントロール次第なのである。2001年の明石花火大会歩道橋事故でも行列の誘導ができなかったのが主因だった。明確なことばで、情報を伝えきるという基本を忘れてはならない。

【ヘルス・エンジェルスという悲劇】
昔の話で恐縮ですが1969年、通称オルタモントの悲劇と呼ばれるコンサート会場で殺人事件が起きたのだが、それはヘルス・エンジェルスという警備担当に雇われた暴走族によるものだった。
参考サイト http://nagoya.cool.ne.jp/b0y/1969.html

それをもじって「行列エンジェル」なる行列をマネジメントする女性の専門集団をつくって派遣するというのはどうだろうか。女性がいいのは柔らかな対応で暴徒も治まりやすいから。さまざまなイベントで需要があると思うのだが。

【タイプD「怒りの行列」の行列マネジメント】
タイプDはATMやコンビニ、スーパーなどであるが、このタイプの行列マネジメントは標準化、ルールづくりとその運用が必要である。

ところがコンビニエンス・ストアやスーパーでは、店舗什器の配列/配置によってまちまちの運用がなされている。チェーンとして統一されたマニュアルがあるはずだが、それが運用されていないときもある。。XXXチェーンならどこの店舗に行っても同じ設備とサービスを訴求するなら、行列マネジメントの標準化もまた重要なはずである。実際には教育などの問題もあるのでむつかしいだろうが。

ある米国のスーパーでは「three is crowd」というサービスをしていた。レジにお客さんが3人並んだら、閉めているブースを即座に開ける、さらには割引もするという店側のルールである。three is crowdというのはことわざで(2人だと仲間だが3人寄れば分裂する)、ようするに「長い行列をつくらない」というわかりやすい合言葉という、アメリカ的な発想。

  

パートやアルバイト、派遣さん、さらには外国人(だけ)で運営する日本のサービス業では、こうした米国並みの「わかりやすい合言葉」という標準化が必要になっている。合言葉の良いところは、店側の管理だけでなく、お客様にも「あのお店の行列マネジメント・ポリシーはこれこれである」というイメージを植えつけられるところにある。

日本の銀行のATMでは30人並んでいても「お並びください」と言うばかりである。ATMの外にまで行列が出来ていても放置されている。まさしく「Time is Money」なのに、お客さんのTimeにどう気を配るかポリシーが感じられない。

【顧客は管理する対象ではない】
行列させるのは「ほんとうは申し訳ない」が基本である。行列させて話題づくりは本末転倒である。だが種々の事情でそれが致し方ないときもある。そういう思いからスタートしてほしい。

「行列を管理する」のではなく、「行列に育てられる」と思って仕事をすべきだろう

今日は以上です。明日は「行列をもてなす」をテーマにたわいないテーマを書いてみたい。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2006年11月20日 (月)

行列マーケティング/旬ネタ 【1.行列ポジショニング】

米国全土では、11月17日の某商品発売までの数日間、各地で凄いことになっていた。1週間も前から並ぶヒマ人(失礼)が多数出て、マンハッタンでは大々的にテントが張られ、警官も出動し、コネチカット州のウォルマート裏では発砲事件まで発生した。その商品の発売を先行させた日本では、11月10日夕刻から11日未明にかけて、やはり徹夜行列組がたくさん出て、一部の行列は混乱した。

それはソニーPS3での行列騒ぎ。国内外で生産が追いつかず、発売時の初期供給数を絞り込んだのが原因といわれるが、それにしてもたかがゲーム、されどゲームなのだろうか。

対抗馬の任天堂Wiiは19日、全米で先行発売され、40万台を売り切った模様である。こちらでも行列ができたが、需給バランスが整ったせいか(それが良いのか悪いのか)それほどの混乱は報道されていない。12月2日の日本での発売を前に、熱心なファンはいつから並ぶのだろうか。

何を隠そうわたしはゲーマーじゃない。単なるマーケターもどき。だからゲームよりも「行列」に興味がわいた。行列とは予備購買行動であるだけでなく、行列を見る人には購買促進行動でもあり、見られることは購買完結エネルギーである。並ぶ何とかに見る何とか(というのか?)、とどのつまり、行列は商売繁盛の基本である。

年末に向かって並ぼうぜ!という行列も増えそうなので、今週の旬ネタは「行列マーケティング」を取りあげる。ネタ予定は次の通りである。

*********************************************************
1.行列ポジショニング: エンタメ度とレア度で斬る行列特性
2.顧客不満足度を増す行列マネジメント:管理するという間違い。 
3.行列ホスピタリティ: 行列をもてなす。
4.行列づくりのテクニック: 悪魔のテクニックはお奨めできない
5.行列の科学: 顧客の心の中に高順位をつくる。
*********************************************************

【1.行列ポジショニング : エンタメ度とレア度で斬る行列特性】
ひとくちに行列といってもさまざまな種類がある。楽しい行列、嫌々立つ行列、一刻を争う行列、生活のための行列・・・・そこでまず、行列をポジショニングしてみよう。




4



この図ではタテ軸をならんで求める商品やサービスの稀少性から「レア度」、ヨコ軸をエンターテイメント性の高低を示す「エンタメ度」とした。二本の軸に仕切られて、A・B・C・Dの4つのタイプができる。

【タイプAとB エンタメ度高し】
まずタイプAは「パブリシティ行列」と呼んでみたい。PS3やWiiなど話題の商品の行列に代表される、購買やエンタメ目的の行列である。行列する時間も、行列の長さも、一定限度長いほうが並び手にとって並びがいがある。それがパブリシティにもなる。

ポイントは「もしかしたら、行列しても目的が達成されない(買えない、予約できない)かも知れない」という心理的な圧迫である。この圧迫があまりに強すぎると供給者への不満になる。圧迫が小さいと行列が短くなる。情報をいかに漏らしていくか。ティーザー=じらしのさじ加減が重要である。

次にタイプBである。これを「劇場型行列」と呼びたい。ディズニーランドの人気アトラクション、ゲームショウでの新発売ゲーム、コスチュームまできめて並ぶ「スターウォーズ」といった話題の映画、死亡事故も起きた花火会場での行列などがここに入る。エンターテイメント度は高いのだが、並べばいずれ乗れる/プレイができる/観れるので、実はレア度は高くないのである。

余談だが、わたしは中学1年生の頃だったか、リンダ・ブレア主演の恐怖映画『エクソシスト』の封切りでの行列を思い出す。劇場をとりまいて並んでいたが、行列づくりもマナーも悪く、オシクラ饅頭になってケガ人も出た。押されたわたしはいつの間にか映画館の中にいた。前売券だった。ところがやっとたどり着いたのは2階席の後ろ、立ち見だった。

この映画の有名なシーンのひとつに、悪魔にとり憑かれた少女の頭が、ぐるりと360度回転するシーンがある。だが小学生だったわたしはまだ背が低く、立ち見で前の人の頭しか見えなかった。ひどい。あれほど混雑していた映画を観たのは、後にも先にもエクソシストだけである。話題の映画は観ないというアマノジャクになった機会でもある。あのとき世間は、オカルト・ブームにとり憑かれていた。あほらしい。

Amffzizti  ニフティ/ココログのシステムがおかしくて表示が。。。。

【タイプCとD エンタメより怨嗟】
タイプCは「ご指名型行列」と呼びたい。わたしの家の近所の行列のできる小児科医がその事例である。その『はやしXXXクリニック』では、早朝から整理券を求める人でにぎわう。パパが車で乗り付けて、整理券をピックして、申し込みはママが8時頃からだ。子供の熱とあらば仕方ないのだろうが。

このタイプは主にサービス業であり、供給が絞られているので需要期にあふれてしまう。行列のできる法律相談もこの口である。販売促進型に近い面もあるが、エンタメ度は低い(病を治す、税金を減らす、資産を増やすetc.)。

最後に「怒りの行列」はDタイプ。日常的な反復行動なので行列をしたくないのにしているというもの。代表的な事例はATMの行列である。東京三菱UFJの支店はどこも混雑しているが、特に新橋店はディズニーランドのアトラクション施設のように、人の腸のようにくねった行列をつくらせているほどだ。いつも大混雑。ところがチェリーさんは静脈認証のブースへ、すらすらだそうです(いいね!)。

JRのチケット発券、コンビニでのレジ行列もここに分類される。必需品を買うので無駄な時間をすごしたくない。お腹がすいているランチ時は怒りが先に立つ。支払が遅い客は、「レジの遅い列」でも作ってほしいとさえ思う。

真ん中にはランチの行列。だいたい美味しい店なのでエンタメ性はそこそこ高い。だが行列にそそられて、実は調理や接客力に難があった、という事例も多く、わたしはこれを「悪魔のテクニック」と呼んでいる。

なおパチ(ンコ、スロ)を象限Bに置いたが、プレイの上がりに生活を賭している場合は、そのスポット(台)が欲しいという切実な行列なのである。ゆえにエンタメ度は低い。象限Dに入ることがある。

【タイプによって行列づくり・マネジメントの対処が違う】
A~Dのタイプ別に見て、供給側として行列が好ましいのはA、B、C。好ましくないのはDである。

自明のようであるが、この違いは案外重要である。たとえば行列へのもてなしが効果的なのはAとB、特にBである。Aはもてなさなくても並ぶが、Bはもてなすことで次回にまた並んでもらえる。そして顧客ロイヤルティが高まる。

だがCへはもてなしは効かず、「早くしてほしい!」と懇願されるDへのもてなしは逆に顧客の怒りを誘発し、顧客不満足度を上げることになる。

Aには「無関心」を装いつつ事故が起きないように気をつける。Bは行列をもてなすことで行列(顧客ロイヤルティ)を育成する。Cはサービス効率性をアップさせて満足度を高める。Dはサービス・マネジメントを抜本的に見直し、標準化も進める。

そもそも行列(させること)は是なのか非なのか? 行列(すること)は満足なのか不満足なのか? 疑問はたくさんあるのである。

Thumb203x152images824874   こんなお迎えなら並びたい?

今週は行列という不可思議な現象を、やわらかく、ランチ時には自ら並びながら考察してみたいと思います。
明日は「顧客不満足度を増す行列マネジメント」の予定です。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2006年11月12日 (日)

がんばれ!東急ハンズ

東急ハンズが業績悪化にあえいでいる。わたしは池袋育ち、ハンズにはたいへんお世話になった。それもあって渋谷店の資産売却はショックな記事であった。しかも創業店も閉鎖するという。そこで、今日の勝手にアドバイスは「がんばれ!東急ハンズ!」である。

Head_logo_1  おなじみ。

【勝手にアドバイスVol.67 がんばれ!東急ハンズ】
東急ハンズ本格再建へ渋谷店の資産売却
旗艦の渋谷店(東京・渋谷)が入居する西渋谷東急ビルの土地・建物を不動産投資ファンドに譲渡し、売却益を事業再構築の原資に充てる。年内に不採算の藤沢店(神奈川県藤沢市)を閉鎖する一方、2007年春までに2店舗を開く。他の事業部門が好調な中で、小売部門のてこ入れが課題になっていた。

首都圏を中心に不動産業は回復してきたが、不動産に入居する小売業の業績はまだら模様である。大手家電量販店は好調、百貨店は弱肉強食、スーパーはそこそこ、ドラッグストアは峠を越した感あり、高級ブランド店はすこぶる好調。量販店でも日本に本格オープンしたIKEAは好調だが、バラエティストアの草分け、急ハンズはここ数年、業績は下降の一途をたどっている。

Gaiyou  ピークは2002年。

業績悪化の理由は、この記事中には郊外の安売りホームセンターやインターネット販売に押されたと書いてあるが、確かに昔は「ハンズにしかなかった」モノが多かった、ネットを探せばハンズに無いモノも多い。わたしもブログネタを漁るため(昼間でした、すみません)東急ハンズ新宿店に立ち寄って、ある品物を探したが取り扱っていなかった。「そんなバカな。ネットにはかなり流通しているのに!」

【30年ひと昔】
わたしの中では東急ハンズ本店=渋谷店なのだが、実はちょうど30年前(76年11月)に藤沢店がオープンしたのが創業だった。2店舗目は二子玉川店、3店舗目が渋谷店で78年9月にオープンした。

地元(実家)池袋で東急ハンズの池袋店オープン(86年11月)にはわくわくした。忘れられないのは、競合相手でもある西武百貨店池袋店は、開店初日に店舗の前面に大きな垂れ幕をかけた。そこには「祝開店 東急ハンズ池袋店」と書かれていた。粋なエールを送るもんだと思った。池袋というB級エンタメエリアが、東急ハンズ出店でバリュー・アップするという、西武なりの感謝の表現だったのだろう。

創業30年の節目に創業店舗藤沢店を閉鎖する。店舗は街の盛衰とともにスクラップ&ビルドをするものであり、人の流れの変化、街の重心の郊外化、駐車場が少ない、店舗自体の耐震構造が低いなど、さまざまなことで閉店する。理由はいろいろだが、好調なら閉店はしない。

【田舎と都会の狭間に】
ある流通業の人が「田舎と都会の違いとは、そこに東急ハンズがあるかないか」と言っていた。象徴的な言葉だと思う。

都会立地=ハンズあり」という公式は、ターミナル立地+巨大店舗で、圧倒的な集客力をベースに、「手」に関する素材だけでなく、ありとあらゆる生活創造グッズを取り揃えるというモデルである。渋谷、池袋、横浜、新宿、町田がこのパターンである。これらは店舗面積6000㎡~1万㎡の店舗である。

ところが流通業の定めで、この公式はどこかに飽和点があり、ハンズも近年は「郊外拠点立地=ぎりぎりの都会にハンズあり」になってきた。それが川崎、北千住、先月オープンの豊洲の2000㎡クラスの店舗である。これらはいわば「ミニ・東急ハンズ」である。品揃えはまあまあで、「我慢するか、近所だから」というのが率直な感想である。都会と田舎の境界線とは品ぞろえ上の「我慢」なのである

【バラエティ量販からバラエティ専門店化へ】
ハンズは専門店出店もトライしている。家具やインテリアを主体とする「homeyroomy」、家庭用品専門店「HANDS Select」、バッグ&トラベル「outparts」、ヘルス&ビューティの「natulabo」の4つの専門業態を開発している。

わたしは丸の内OAZOで、natulabo(ヘアケア、ボディケア、ヘルスケア、フィットネス用品)とoutparts(バッグ、トラベル用品、雑貨)を見たが、ひとことでいうと、そこには「手の復権」はない。「手が入る余地がない」。雑貨販売店であった。そもそもそういうコンセプトなのだろうが、わたしは手持ち無沙汰で何も買わずに帰った。

homeyroomyを巨大化したようなIKEAは、好調な集客を続けているのを見ると、途半端な規模の出店では逆に個性が出ていないと言わざるを得ない。都会立地の圧倒的な量で、ユニークな品揃えのホームセンター兼バラエティストア、そこにハンズの価値があったと思う。(余談だが、米国駐在時にはよくIKEAに通った。何も買わなくても楽しかった)。

【手の復権】
手の復権をテーマに、一人ひとりの生活を豊かに創造するための素材を幅広く取り揃え、お客様とモノとの出会いの場を提供するため、東急ハンズは誕生しました。(中略)「楽しい」「驚きがある」「お役に立てる」という企業アイデンティティを基に、手のぬくもりの大切さを忘れることなく、お客様と共に成長していきたいと考えています。同社HPより。 http://www.tokyu-hands.co.jp/company/index.ht

ハンズのコンセプトは「」である。わたしは手づくり大好き派なので、木材、樹脂、包装材、皮、紐、布、金具・金物、工具、靴の補修材料を山ほどハンズで買ってきた。ハンズにしかない素材があった。だからハンズのアイデンティティは「手」であり「素材」である。売上高に占める素材の割合は知らないが、素材を購入するファンともに成長してきたといえるだろう。

Top_01  手ですよ、手。

【ハンズの店員力が発揮されているのだろうか?】
商品情報はあり余るほどネットに流通しているし、最近はアフィリエイトという仕組みで、プロシューマーが商品の品定めもしてくれる。完成品のどれがいいかは、お客さんの方がよく知るところになってしまった。複雑なAV家電やPCの家庭内ネットワーク構築などならまだアドバイスが必要だが、単純なアクセやバラエティ、健康機器ならば、お手伝いは要らないのである。

ハンズの品ぞろえのよさのひとつに、フロアの店員に調達がまかされてきたことがあった。狭くて深い専門的な知識を持つ販売員自ら品定めの上仕入れる。だから相談にのってくれるというコミュニケーションができる。それが廃れたかどうかわからないが、少なくても2000㎡クラスの店では、相談しようにも品ぞろえも少ない、そんな店員もいないのではないか(と思う)。

【手の復権=個性の復権】
わたしは手の復権とは個性の復権だと思う。人とはひと味違うモノを持ちたい。自分の好みのインテリアにしたい。料理で自分なりの工夫をするのと同じである。だからこそ出来合いの(普通の)モノに満足せず、少し何かを継ぎ足したり、色を変えたりして変化をつける。それには手が関わる。手が変化をつける。

大量な情報がインターネットで瞬時に伝わるから時代だからこそ、ますますロングテールな商品も売れる。ハンズはその点、良いポジションにいると思うのだが。

【勝手にアドバイス】
①「My○○○」を演出する素材の充実。
自分だけのモノ」へのこだわりは、かつてないほど高まっている。ノートPCの天板デザイン、携帯のデコレーション、バッグやバッグにつけるアクセ、めがね、ブックカバー、ヘアバンド、机や椅子やソファ、インテリア(チェリーさんは壁いっぱいのワインセラーが夢)。ゼロから作るのではなく、ちょっとした個性を演出できる改造といレベルの品ぞろえ。

②店員の個性化、プロフェッショナル化。
お奨めの素材で個性化をするというテーマで、定員さんにブログを書いてもらえないだろうか。加えて、もっと尖がった個性的な店員さんがいてもいいように思う。ハンズのお店は人が財産だから

③手づくりイベント・サポーターの設置
学園祭やマンション管理組合をメインターゲットにして、イベントの道具やユニフォーム、材料のコンサルティングを行う担当者を設置する。メール相談受けます!でもいいだろう。草の根から手づくりファンづくり。

④ものづくり体験ツアーの企画。
机、椅子、カバン、陶器、靴、帽子、時計、パソコン、ハム燻製、何でもいいが、作家を呼んでくるより顧客に足を運ばせたい。体験記をブログにでも書いてもらえれば(リンクを張る)尚いいトップツアー(前東急観光)とタイアップしよう。

⑤2000㎡クラスの出店の中止
ハンズのコンセプトが「手の復権」なのであれば、2000㎡ではその個性が出せない思う。これは余計な老婆心。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

Top_02  ハンズでもっとお買物しましょう!

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2006年10月22日 (日)

本日私は、フラレ~ました♪_話題の資生堂のCMとその舞台裏。

告白もどきの出だしだが、中年男の告白がおもしろいわけない。このブログのテーマは告白ではなくAha!と言わせるマーケティングである。このCMとその舞台裏には、深い感動がある。

【勝手にアドバイスVol.59 本日私は、フラレ~ました♪_話題の資生堂のCMとその舞台裏。】
資生堂が8月28日、CMの日に放映したドラマ『メッセージ~伝説のCMディレクター杉山登志』にあわせて、企業広告CMとして制作した「新しい私になって」が今日の勝手にアドバイスのテーマ。

このCMはすばらしい。モデルのMAIKOの初々しさ、清楚な美しさ。そして、写真家上田義彦氏のCM制作舞台裏を記録した番組(NHKプロフェッショナル仕事の流儀 10月5日放送)にも感動してしまった。なかなか泣けなかったモデル、自分のやれることをやって仕事を完遂したカメラマン。ふたりともすばらしい仕事をした。

    Ph_maiko05 Maikoさん 所属事務所サイトから

【CMの流れ】

MAIKOが洗面台で顔を水でそそぐ横顔のシーンから。タオルで顔を二度、三度とぬぐう。白いタイルに反射した自然な光、やわらかい陽ざしに照らされたMAIKOの顔が鏡に写り、カメラはそれをじっと追う。涙は見えない。いやきっと水の中に流れたのだろう。

ちょうど、バックに流れる歌詞が「(お別れを言われた)だけどもあのとき、少しだけ、微笑んでくれたとような・・・」にさしかかる。それにあわせて、MAIKOもすこし微笑む。

画面は一瞬、みずみずしい青々とした、だけれどもたくさん水滴をつけた葉に。水滴が涙を暗示している。そしてMAIKOの顔にに画面がもどると、彼女の大きな眼から涙がこぼれそうになる。ふたたび洗面に顔をひたす。

場面は化粧台に変わり、スキンケアクリームを手にとり、だんだん表情に元気をとりもどす姿が描かれ、エンディングへ。

流れている歌詞(まだ題名がついていないというが心に残る旋律)とナレーションは次のとおり。 

  本日私は、フラレ~ました・・・わかっていました、無理なのだと。
 だけどもあのとき、少しだけ、微笑んでくれたとような気がしたから・・・
 こんなとき、いつも、涙を拭いてくれた母さんは今はいないから
 忘れます、忘れます、新しい私になって・・・忘れられると思います。
 新しい私になって


 (ナレーション)
 新しい自分に生まれかわったら、きっと、もっと美しい明日がやってくる。
 ・・・一瞬も、一生も、美しく、資生堂。

反響が大きく、資生堂にはたくさんの問い合わせがきたという。同社HPに説明がある。

企業CM「新しい私になって」で流れている曲名、歌っているアーティスト名、出演しているモデルの名前は以下のとおりです。
●楽曲名:CMオリジナル曲(CD化未定)
●アーティスト名:熊木杏里 (作詞 中島信也、作曲熊木杏里 歌熊木杏里)
●出演しているモデル名:マイコ

【CMの舞台裏】
写真家上田さんがプロとしてひとり立ちするまでを描いた「プロフェッショナル 仕事の流儀」の中で、このCMの仕事の舞台裏が取り上げられていた。

CMの日にあわせて資生堂が企業広告の長編CM(90秒)を撮ることが決まり、撮影が上田さんに依頼された。監督はこのCMソングの作詞も手がけた中島信也氏。坊主頭のこわそーな人。新人だが初々しさから抜擢されたMAIKO。絵コンテをみた上田さんは、この撮影のもっともむつかしいのが「涙のシーン」だと考えた。

撮影のロケ地、民家を借り切ってのCM。事前の打ち合わせで中島監督と上田さんが衝突。CMは大きく2シーンにわかれ、洗面台での涙のシーン(2階)と化粧台で気を取り直すシーン(1階)。どちらがむつかしいかといえば涙のシーン。監督はMAIKOに本物の涙を要求した。役者じゃないので果たして泣けるかどうか。

そのシーンのむつかしさから、監督は最初に化粧台のシーンを撮り、それから2Fにあがろうと主張した。たいてい1日で撮るCMでは、むつかしい場面を後にするのが定石だから。だが上田さんは、CMのシナリオどおり泣くシーン、そして化粧をして気持ちを切り替えるシーンという順序が自然であると主張した。恋にやぶれて涙を流す。それをお化粧することで徐々に立ち直る。それが自然だとして、まっこうから対立。中島監督のきついひとこと「だけど、俺はなかなかOKださないぜ」。

撮影の日まで、1階からか2階からかの順序は決まらなかった。撮影の日、中島監督が折れるかたちで2Fから撮ることになった。

しかし本番になって、いくら待ってもMAIKOから涙がでない。ついに10分のフィルム1本が無駄になった。休憩となった。気持ちを入れ替えることにするが、いったん撮影を中断すると感情を入れるシーンに戻るのはむつかしいのが演技の世界の法則である。

窮地に立たされた上田さんは、カメラマンの自分にできることを一心に考えた。それはたった今、無駄になった10分のフィルムを見て、何ができるか考えることだった。フィルムを観た。そこからわかったことは、「MAIKOは鏡に映る自分の顔の演技を見たとき、気持ちがさめている、だから涙がでない」のではないかという洞察だった。それをMAIKOにぶつけると、そうです、という返事。

それでアドバイスをした。気持ちが高まるまで鏡を見ないでずっとうつむいていなさい、と。2回目のテイクが始まった。そして6分後、ついに涙がこぼれた。自分のこぼれた涙を隠すように、MAIKOは自然に顔をかたむけ洗面台で顔をそそいだ。CMでは涙をこぼしたシーンではなく、涙を隠す、ここからのシーンが採用された。その中島監督の手腕も見事、である。

2006101800000031oricentview000

【いい仕事をするとは】
上田さんは独立直後、広告代理店のディレクターから面と向かって「君の写真は広告に全然向いていない」といわれたという。それで広告写真から一時離れ、女優さんのポートレイト写真を主に撮っていた。ポートレイトの仕事のコアとあるのは、その人のもっとも特徴のある「表情をつかみ、撮る」。はずされていたときの仕事が、このCMで生きた。

上田さんの信条とは、困難なときこそ自分の判断を信じて「カメラマンとして自分のやるべきことをやる」。

Photo_ps  写真家の上田さん NHKのサイトから。

だれでも仕事がうまくゆかないときがある。そんなとき、自分がやってきたことをどれだけ信じることができるか、自分の仕事の真ん中にあることにどれだけ執着してきたか、執着する気持ちがなえていないか。それが仕事の流儀をつくるということなのだろう。

わたしのささやかな流儀。コンサルティングの仕事とは「課題を洞察し、変化を創造し、人を動かすこと」、これに尽きる。その真ん中、変化の核になるものが「顧客にAha!といわせるクリエイティビティ」だと思う。もっといい仕事をしたい。メルマガやブログを書くのもそのため。

みなさんの流儀はどんなものだろうか。流儀には頑固さも必要だが、上田さんのように「仕事の原点への謙虚さ」こそ大切なようが気がした。柔軟にこだわるからこそ、現場を動かせたのであろう。そんな勇気をつけさせてくれたのが資生堂のCMであった。

今日の話題は次のメルマガのテーマでしたが、この話を書きたくて前倒しにしました。掘り下げられたら続編を書きます。今日は以上です。

今週は「コーズ・リレイテッド・マーケティング」を旬ネタで取り上げる予定。
ではまた明日、Click on tomorrow!

参考URLリスト
youtube 検索キーワードは「新しい私」 CMとNHKの放送あり(検閲削除が及ばぬうちなら_笑)
http://www.shiseido.co.jp/corporate-ad/060828ad.htm 
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/061005/index.html

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2006年10月14日 (土)

クロスクリック・マーケティング:クロスクリック・チェックリスト

【勝手にアドバイス:旬ネタ クロスクリック・マーケティング】
勝手にアドバイス:旬ネタ、当初の予定からさらに脱線気味で6日目、最後のテーマは、「クロスクリック・チェックリスト」。もともと関連販売例のレコメンデーションをしたいと思っていた。

しかし、昨日のブログでは『販売促進担当者は、持ち前のアイデアとその効果検証、そして顧客の気持ちを感じ取る感性で進むしかない。さまざまなクロスクリック手段の最適な組み合わせを考えながら』と書いて突き放してしまった観があるので、いくつかのレコメンドよりも、ネット上の関連販売(クロスクリック)に法則があるのなら、それを考えるチェックリストを考えてみたいと思いました。

【関連はいろいろな顔をしている】
幸福な家庭の顔はお互い似かよっているが、不幸な家庭の顔はどれもこれも違っている』というのはトルストイの有名な言葉だが、関連販売ではどうなのだろうか。幸福な関連販売と不幸な関連販売というものがあるのだろうか。

ちょうど今日のニュースで、家電量販店大手のベスト電器がコンビニエンスストアに参入するという記事があった。

(記事引用)
ベスト電器は13日、コンビニエンスストア事業を手がける100%子会社「ベストファミリー」(福岡市)を設立した。大手コンビニチェーン(ファミリーマート)とフランチャイズ契約を結び、主に自社店舗の空きスペースに店を構える。12月には北九州市に1号店を出店、今後3年間で、全国に50店を出す計画だ。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/keizai/ke_06101401.htm

Head_logo

これはリアル店舗での話であるが、いくつか示唆に富む。

まず「自社店舗内の空きスペースに出店する」という点。区画はするわけであるから別店舗となるが(家賃も払うのだろう)、電器量販店とコンビニエンスストアという関連。家電量販の主力商品とコンビニ商品では、購買頻度も商品特性もまるで違う。電器やパソコンの消耗品の購入、デジタルカメラ撮影画像の出力など、「家電コンビニ」的なサービスはあるが、購買行動は異なると観るのが一般的である。

次に「集客力を向上させる」という目的。地方家電量販では電球や蛍光灯、電池やリモコン、スイッチやコード、フューズ類などの品揃えを強化して、文字通り「家電コンビニ」を営むチェーンもある。これは消耗品の販売を通じて、顧客とのコミュニケーションを厚くして逆に主力の家電商品に関連させていく戦略なのである。

だがベストの戦略では、コンビニの客をぶらりと家電売場にやってこさせて、衝動買いは無理でも「価格や品揃えの下見」をさせようというのだろうか?たしかに、用もないのに有楽町ビックカメラを週に2回もぶらつくサラリーマンは多い。だが幹線道路沿い主力のベストへ、ビックカメラほどのマニアックな商品集積もないのに、わざわざ車を降りてぶらりと立ち寄るだろうか?疑問である。

コンビニを出店させる立地や利便性」という点では、一定の評価はできる。ベスト電器は国道や幹線道路沿いに多く出店していること、そして駐車場も設置されているので、利便性や店舗環境面でも障害は少ない。それは関連というより相乗効果であるが。

結論としては、これを幸福か不幸かといえば、不幸な関連販売と言うしかないだろう。コンビニだって曲がり角の商売。家電量販も成熟した商売。儲かっていない。マイナス+マイナスはプラスにはならない。

(記事引用)
ベスト電器は13日、2006年8月中間連結決算を発表した。パソコンの販売不振や、ソフトレンタル会社「ベストゲオ」が連結対象から外れたことが響き、売上高は前中間期比2.8%減の1753億9100万円、経常利益は12.9%減の19億7800万円だった。税引き後利益は22.9%減の9億5700万円。

【クロスクリック・チェックリスト(Ver.1)】
リアルからバーチャルへもどろう。自社の商品やサービスのクロスクリックをどのようにして創りあげるか。ネットの世界なので、ファイル間を何らかの関連づけをすればいいと単純に考えがちであるが、ネットであろうとリアルであろうと、関連づけでヒザを打つのは人間の心理である。人間心理に棹差さない関連販売しか成功しない

先日も引用した、懐かしのオズボーンチェックリストに倣って、わたし流のクロスクリック・チェックリスト8か条(Ver.1)を考えてみた。自社の商品・サービスを別の商品・サービスに関連づけるか、関連づけをしやすいものにするか、ヒントになれば幸いである。

成長 顧客の、サプライヤーの、ファンの、自分の、
 →Amazonのレコメンデーションが代表例。

切断 慣習を、商慣習を、商取引を、しがらみを、
 →これまでの商取引を白紙にもどして関連付けを検討する。

細断 本業を、商品の機能を、商品の価値を、
 →本業をきざむ、取扱い商品を分解してみる、その価値を突き詰める。

延長 寿命を、サイズを、機能を、時間を、
 →商品やサービスの何らかの機能やかたちを伸ばしてみる。

比較 較べる、重ねる、突き合わせる、
 →何と較べるべきか、コーディネイトすべきか、突き合わせるか。

競争 競わせる、較べさせる、行司をとる
 →商品・サービスの競合相手、比較される相手は? ウチは行司になれるか?

因縁 これも何かの、切っても切れない、因果応報の、
 →どうしても斬れない縁があるか、因果がめぐりめぐってきていることは何か。

共感 味覚、音感、触感、視感を深める、違和感を感じさせる、
 →味の関連、音の関連、素材の関連、デザインの関連。あえて違和感を訴求する。

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以上、6回に分けて書いてきた「クロスクリック・マーケティング」、とりあえずお仕舞いです。書ききれなかったこと、思いが深まらなかったこともありますので、いずれ場を替え、形を替え、アンケートやテストもして、もうちょっと体系的なものにしてみたいと思います。

1週間、お付き合いいただき、ありがとうございました。6回の連載をまとめました。

1.関連幻想を捨てよう: クロスクリック・マーケティングとは。
2.クロスクリック・ショッピングモール: クロスセルにもアップセルにも耐えうるショッピングへ。
3.ネット時代の顧客クラスタリング:画像・デザイン・カラーでサーチできる時代へ。
4.ネット時代の顧客クラスタリング:関連のねじれ(洋服はユニクロ、腕にはロレックス)は分析可能か?
5.クロスクリック・マーケティング:クロスクリック・メディア
6.クロスクリック・マーケティング:クロスクリック・チェックリスト

明日は他愛無い話題、明後日はぷろこんエッセイ掲載の予定です。今日は以上です。

このブログは個人及び所属会社の活動の普及のために実施しています。記述内容は所属会社の公式見解ではありません。またその顧客やその商品などのPRや販売促進を目的としておりません。アフィリエイトと縁はありません。マーケティング・ビューからの個人的な見解であり、読者がこれに基いて何らかの活動をした結果に責を負うものではありません。報酬などを要求するものでも、やせ我慢でもありません。

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2006年10月13日 (金)

クロスクリック・マーケティング:クロスクリック・メディア

【勝手にアドバイス:旬ネタ クロスクリック・マーケティング vol.5】
勝手にアドバイス:旬ネタ、当初の予定から脱線気味で5日目のテーマは、「
クロスクリック・メディ」。ネット上で情報提供、売り込みを図るためにさまざまなメソッドが開発されてきた。その関連販売(=クロスクリック)について雑記をしたい。

【昨日挙げたものを再分類と解説】
ネット上の関連販売を誘発するメディアとして、昨日、いくつかリストあげた。

それらの分類方法には「情報の発信者の明示度」「直接販売/紹介販売の明示度」そして「媒介技術の普及度や使い方の違い」などがあるが、からまりあっていて綺麗に分類ができない。だからひとつひとつコメントを付した。

以下は、IT技術から観た分類ないしコメントではない。わたしはあくまでマーケティング系の人間なので、「クロスクリック・メディア=関連販売の媒介」としてとらえている。技術的に間違いがあればご指摘をいただけるとありがたい。

①検索
テキスト検索だけでなく、画像、地図、音声、音楽、さらには動画と検索技術は展開している。関連販売を誘うよりも、主に商品検索に用いられている。SEOもここに入れておく
②ハイパーリンク
文書内に埋め込まれた、他の文書や画像などの位置情報であり、広告、アフィリエイトなどの基本技術。
③タグ
文字飾りやリンクをつくる<タグ>であるが、画像に自由なタグを埋め込むことで、画像に関連した商品やサービスの紹介販売なども可能である。
④トラックバック
ブログの機能の一つ。別のブログへリンクを張った際に、リンク先の相手に対してリンクを張ったことを通知するシステム。これだけ自体では関連販売にはつながりにくい。

Trackback  トラックの後部デス。

⑤メールマガジン
やや古典的になってきた販売促進手段。関連販売としては、記事内での「おすすめ」であるが、最近はターゲット(クラスタ)別のメルマガ配信が主体。のおすすめなどでは関連販売が多いと考えられるが、問題になるのは株や儲け話などの投資がらみであろう。
⑥ブログ
初期にはウェブログと呼ばれていたが、割と狭い分野ないし専門分野での話題で議論を深めるというのがそもそもの形式。同じ嗜好や考え方に共鳴すると、関連販売につながりやすい
⑦SNS
MixiやGreeに代表される、参加者が互いに友人を紹介しあって、新たな友人関係を広げるコミュニティ型のWebサイト。コミュニティサイトでのやりとりで、かなりの商売が発生していると推定される。
⑧Q&Aコミュニティ
教えて答えるで有名になったOKウェブなどの質問・回答の掲示板。回答者への信頼が関連販売を生む。@コスメで有名になったが、口コミ掲示板もここに含めていいだろう。

Logo_top_20061001

⑨CGM

上記のブログ、SNS、Q&Aコミュニティを総称した概念。Consumer Generated Media。
⑩PGM
これはわたしの造語で、Professional Generated Mediaを略した。つまりCGMが一般の人のコメントであるのに対して、PGMはプロの立場からブログなどの形式で商品やサービスをおすすめする。この威力は大きいが、あまりに「やらせ」になると逆効果である。
⑪アフィリエイト
サイトやメールマガジンにお店や商品、企業サイトへのリンクを張り、閲覧者がそこを経由しての紹介販売。おすすめ文などとセットである。
ソーシャルブックマーク
よく使うサイトやブログなどの「ブックマーク」「お気に入り」アドレスをネットワーク上に登録・保存し、ウェブ閲覧者と共有するシステム。直接的な紹介というより、信頼を媒介にして関連販売を誘うことができる。
⑬広告
バナー広告、テキスト広告、ポップアップ広告、コンテンツ連動広告などがある。最近は動画が増えてきた。
⑭クーポン
出力するものや電子的に配布されるクーポンがある。
⑮ポイント付与
Cherryさんは「ポイントカードがすべて電子化されたが、お財布が小さく軽くなっていい」と言っていたが、そういう時代もすぐだろう。関連販売というより、顧客の維持や得意客化に効果がある。
⑯懸賞
これは古典的だが、メールアドレス取得で行われており、販売面ではともかく関連販売との関連は薄い。
⑰アンケート
アンケートの依頼から、その企業や商品の購買意欲を高めるということもゼロではないだろうが、関連販売上は効果は薄いだろう。
⑱教育サービス
ウェブ上の教育サービスの中で教材や本、道具などを販売するもの。強制的に買ってくださいというもの以外に、先生が買っているなら、ということで関連購買につながることもあるだろう。
⑲予約
お店やサービスの予約。メールや電話で行うものだが、これ単独で関連販売を促進するというものではなく、供給者とどういうかたちでつながるべきかを考える場合、重要なポイントがある。
⑳決済手段
従来のクレジット決済から、Edyなど電子マネーが一般化しつつある中、関連販売にどうつながるか今後の動向を見ないとわからないが、支払い手段はすべての活動と密接な関係があるので、何とどう組み合わせるか、大切である。

他にもあるだろうし、別の切り口もあるだろう。だがかなり網羅したつもりだ。こうしてみると、インターネットというものの本質=あらゆる「境界」をデジタルで消滅させるということがよく理解できる。

【クロスクリック度合いの強いもの】
上記のクロスクリック・メディアのいずれが「クロスクリック度合い」が強いか弱いか。対象とする商品によって異なるので一概には言えないが、メルマガからブログ、そしてSNSという流れの中で言えば、今はCGM系がやはり強い。特にPGMは、語り手・奨め手が権威であればあるほど、わたしなぞはホロリとほだされてしまう。無名の人でも、しっかりとしたブログであれば、わたしは信じてノリます。

しかし、より重要なことは、商品やサービスによって、ネットに向く商品・不向きな商品があるのと同じく、関連購買にも向き・不向きがある。スポーツ商品ではXXXがいい、コスメではXXXX,、学習ではXXXXがいいというパターンが効果的であるということが言えればいいのである。

ところが現時点では、ようやくネットで売れる「商品」「購買パターン」「売り方」が、ほんのりと見えつつあるが、関連販売までは手が回らない状況。

『とりあえずメルマガ、やりましょう!』というコンサルティングもあるにはあるし、それが手っ取り早いから何もやらないよりはいい。だが、雑誌や新聞の広告、テレビのCMだって、本当の購買にどれだけリードしているか、学説は多々あれど因果が実証されたためしはない。いわば「因果があるようです」レベルである。でないと多くの人々が困るし。

【クロスクリックをクロスさせる】
だから、お客様に対して誠実なアプローチとは、こうしたクロスクリックのいずれが心地よいのか、気持ちよく買っていただけるのか、確認しながら初期販売や関連販売をするこであろう。

店頭購買行動」のような(豊富な経験則と実証実験から)確立された学説がネット購買行動の世界であるわけないので、販売促進担当者は、持ち前のアイデアとその効果検証、そして顧客の気持ちを感じ取る感性で進むしかない。さまざまなクロスクリック手段の最適な組み合わせを考えながら

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2006年10月12日 (木)

ネット時代の顧客クラスタリング:関連のねじれ(洋服はユニクロ、腕にはロレックス)は分析可能か?

【勝手にアドバイス:旬ネタ クロスクリック・マーケティング vol.4】
勝手にアドバイス:旬ネタ、そろそろ疲れが見えてくる4日目のテーマは、顧客クラスタリングと関連購買における「ねじれ」についてである。

今週の掲載予定テーマは次の通り
1.関連幻想を捨てよう: クロスクリック・マーケティングとは。
2.クロスクリック・ショッピングモール: クロスセルにもアップセルにも耐えうるショッピングへ。
3.ネット時代の顧客クラスタリング:画像・デザイン・カラーでサーチできる時代へ。
4.ネット時代の顧客クラスタリング:クォリティ~関連のねじれ(洋服はユニクロ、腕にはロレックス)は分析可能か?
5.ネット時代の顧客クラスタリング:マインド~癒しサイト、癒しグッズ、癒しサービスはクロスクリックされるのか?
6.いくつかのクロスクリック・レコメンデーション:たとえばwine&songs、tickets&flower・・・

Ny_banner_still  Mainwatchrolex

ねじれとは、ここではストレートではない購買スタイルという意味ぐらいと思ってほしい。田舎の金持ちは百貨店に長靴でやってくるとか、洋服がユニクロでも時計は高級腕時計をしていると言われる。日本橋三越に手ぶらでやってきて、各階をめぐり「これとこれ、ください」と外商担当に申し付けて(そこでは支払いもせずに)立ち去るのが本当の金持ちと聞いたことがある。真偽はさだかではない。

つまり貧乏人だと「一品豪華主義」、金持ちだと「かけるところにはかける」言われる消費スタイルである。「一分の隙もない」の逆で「隙だらけ」、レベルがばらばらの消費性向はまさに「ねじれ」である。

【リッチなカメレオンとプアなカメレオン】
78万世帯の富裕層(金融資産5億円以上は6万世帯で、1億円~4億円が72万世帯という)が注目される一方で、格差社会、下流層などプアに関する本も売れている。消費者はカメレオンのように変幻自在だから、クラスタリングなどしても追いきれない、という見解が多いといわれる。だが「消費者=カメレオン」であることと、「リッチなカメレオン」であるか「プアなカメレオン」であるか、その二つは別の生き物として扱うべきだろう。

消費性向について、カメレオンがリッチかプアか区分するのはクラスタ」、その体色を変幻に変えることを関連」と整理してみるとわかりやすいのではないだろうか。仮にクラスタはリッチからプアまで何階層かに分かれているとしよう。関連は次の3つに集約できる。

A.大衆的な関連
B.クラスタ内の関連
C.個人的な関連

A「大衆的な関連」とは、季節やイベント、習慣や生活スタイルで、ほとんどの人が同じ関連想起をもつもの。珈琲にクリープ、ビールにスルメのようなセットである。もっとも一般的な関連づけで、日本人なら同じような行動・経験をしているという具合で関連をセットしやすいが、販売現場では陳腐なありふれた提案になりがちである。

B「クラスタ内の関連」は、特定の購買性向を持つ集団(クラスタ)に対して関連が効くもの。そのクラスタしか反応しない関連想起である。テキーラにチョリソー、ローリング・ストーンズボ・ディドリーというように(やや)マニアックな関連である。同じ日本人、同じ世代でもかなりの差異がある。

C「個人的な関連」とは、文字通りある特定個人の中だけに通用するプライベートな関連想起である。わたしの場合なら、神様とキス、安物のスコッチと涙の砂浜・・・わかられては困るのだ。誰にもわからない、思い出や体験の中での関連だから・・・(失礼をば)

商売での分析対象、関連づけ対象のメインは、もちろんBである。だがちょっと待てよ。Amazonのおすすめは「Bレベル」なのだろうか?それとも「Cレベル」でやっているのだろうか?Aぽい気持ちでベストセラーを検索するときもあるぞ。

つまりA・B・Cは突き詰めれば「混合」しないのだが、同じような購買でも「混在」しうるのである。もちろん同じお店/サイトで混在している。だが「今Aでクリックしています」とは誰も言わない。曲づくりのためにHなサイトを「取材」していたというのと、個人的関心からHなサイトを「品定め」していたのでは、CとBの違いがあるというわけ。

ただしAレベルの関連と、Bレベルでの関連づけは単価的にも商品的にも違いがあるので、販促実務では「どちらをねらっているのか」明確にすべきである。

【業界/商品の壁がねじれを生じさせている】
食業界の人は食の嗜好や買物行動から、オーディオ業界の人はミュージックの嗜好や音楽デバイスから、消費者を分析する。もちろん収入階層や年齢層、職業などからもクロス分析はするが、主体はその業界、その商品からの嗜好分析である。業界の枠を超えない分析をすると、むしろ消費者が見えないということもある。

有名な例はコーラのブラインドテストであろう。銘柄目隠しテストでニューコークの味を決めて、大失敗という話。コーラを飲むのは、とてものどが渇いたとき、スポーツの後などシチュエーションがあるのに、コーラだけの飲食というありえない設定で、それもメーカー商品開発者が注目する場の(非現実的な)テスト会場で味を決めてしまった。消費者はアンケートのために生きているわけではない

180pxlg_new_coke_logo   Pepsi   わたしにぁ、どっちもどっち。

最近の自動車開発では、想定されるオーナー像を決めると、そのオーナーのモデルタイプの人を決めて、彼/彼女のライフスタイルを24時間追いかけということもしているそうだ。それは自動車という商品がライフスタイルの真ん中にあるものなので、自動車というの枠を取っ払って、オーナーや家族を丸ごと分析しようという、そこから自動車の内外装をチューニングしようという商品開発アプローチである。

【ねじれの結論をコンピュータで出すよりも・・・】
洋服はユニクロ、腕にはロレックスは分析可能か、という命題に立ち返ると、結論としては可能であると思うし、近い将来Googleが世界市民のクラスタと関連性をググってくれるのは確実である(としておこう)。

わたしが興味のあるのは「分析」ではなく「Aha!」であり、「クロスクリック」で生まれる売上増の「ホホぅ」である。明日から2回はもうクラスタ分析はやめて、クロスクリックを誘発させる「クロスクリック・メディア」を考察したい。即ち・・・・。

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Hな誘い(marketing-brain宛にたくさん来る。撲滅してほしい)

ネットと消費者の媒介メソッドはこ~なにあるのだ。並びがこれで正しいかわからないし、落ちがあればcherryさん、ご教授よろしく。だけどアレは何気なく隠してます(笑)。

だからネットビジネスはおもしろい。今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2006年10月11日 (水)

ネット時代の顧客クラスタリング:画像・デザイン・カラーでサーチできる時代へ。

勝手にアドバイス:旬ネタ、3日目のテーマは、ネット時代の顧客クラスタリング:画像・デザイン・カラーでサーチというテーマ。抽象的な内容ぽくてすみません。言いたいことはかなり単純ですので、最後までお付き合いください。

【勝手にアドバイス:旬ネタ クロスクリック・マーケティング vol.3】
最初から脱線ですが・・・
動画サイト大手youtubeがGoogleに買収されるという大型ニュースがあった。

20061010t041004z_01_nootr_rtridsp_2_tech
Video website YouTube co-founders Steven Chen (L) and Chad Hurley in a 2006 publicity photo released to Reuters October 9, 2006.

号外にも書いたが、何よりIPO(株式公開)するよりも身売りで2000億円の濡れ手に粟。いまどき会社を公開するということは、「内部統制」というハードルがあるから(内部統制コストを費やし、株主に気をつかい、統制が乱れれば役員は辞職etc.)公開しないのも有力な選択肢になった。その意味で身売りは正解だろう。

忘れてならないのは、youtubeが大手メディアとの提携したことと、身売りの決断は「セットである」ということだろう。爆発的なサイトアクセスを背景に、著作権問題が先鋭化しないうちに大手メディアと提携、そしてそれを担保に身売り。この間、一年に満たないのである。ネット時代寵児、史上最速の売り逃げという、心に残る事例になった。

教訓はいくつかある。コバンザメ・ビジネスでもネット界のそれは小判ザメ(笑)。ショッピングの主力がネットになる3年後(ぐらい)、今までのマーケティング常識は崩れ去る。だから、まだたくさんの小判チャンスがある思っていい。cherryさんとわたしも、新事業の密談をして盛り上がったところ。サメだけでなく、目からウロコのマーケティング・ブログも志したい。

【関連とクラスタの関係】
昨日、関連とは「あ☆面白いものあるじゃない!これもあれもカートに入れちゃおう」を引き出すテクニックであると書いた。ところがそれとそれが関連しているかどうか、その関連に気づくバックグラウンドを持っていなければ、せっかくネットやリアルのお店側が苦労して関連づけの商品展示をしても意味がない。

だから「クラスタ」という考え方に行き着く。クラスタ分析とは「対象をいくつかの排他的グループに分け、グループ内を比較的同種のものにする手法」(P・コトラー)である。そのある排他的グループでは、同種のニーズがあると仮定され、同じような性向をもつので、同じような消費行動をとるとされる。帰属意識が強ければ強いほど購買が深まる。だから基本的な順序はこうだ。

クラスタ → 購買 

商品やサービスにより異なるものの、あるクラスタに属していることで、ある特徴のある購買行動をとる。趣味品や嗜好品ほどに表れないにせよ日用品においても表れる。無農薬・有機野菜を買う、米国産牛肉を買わないのも、国民全体をいくつかに分割する大きな区分(クラスタ)である。

ところが関連とクラスタの関係はややこしくなる。「クラスタ→購買」は一般にこういう関係であると認識されている。

クラスタ → 購買 → 関連 → もっと購買

Amazonのおすすめも基本的にこの流れである。もう一歩踏み込むとこういうことなのかもしれない。

クラスタ → 購買 → あなたはこのクラスタに属しているのです! → もっと関連・もっと購買

「あなたはこのクラスタに属しているのです!」という、「クラスタへの帰属想起」を引き出しているとも言える。「あ、わたしはこれが好きだったんだ」と気づかせるのが、Amazonの関連本のおすすめである。 

とここまで書いたら、サメさん(人間です 笑)という、いつもとても派手なシャツを着ているコンサルタントが近づいてきて、ちょっとおしゃべりをした。彼の今日のシャツは鮮やかなグレー地のクレリック・シャツ。袖は白地のダブルカフス。バーバリー柄のカフス(上下共にボタンのかたちをしている)がオシャレでした。彼はシャツを作るとき店頭でこう言われただろう。「この柄のダブルカフスのシャツを誂えるのであれば、このカフスボタンがぴったりですよ」と。まさに関連販売である。彼のシャツはアメリカ人みたいな派手さでいつも楽しいし、彼もそれを意識しているだろう。

シャツそしてカフスボタン、派手なシャツのアメリカ人と同じ「鮮やかシャツクラブ」というクラスタに属する商品。そういうクラスタ商品の購買行動は「鮮やかシャツクラブ」に属していると見られたいという、隠された購買動機もあるだろう。

【クラスタ分析は無力か?】
しかし今時のマーケティング・プロジェクトでは、「御社の顧客データベースを元に5つのクラスタをつくりましょう」と口にした時点で、その提案はオシャカなのである。「何、バカなこと言ってんの?」という虫けらを見るような目で、お客さんににらまれてしまうのがオチ。失注、さよならである。

とくに消費財では、顧客を何らかの軸でクラスタでくくろうという考えがナンセンスと考える企業が増えている。お客様はカメレオン。クラスタ?どんな切り口で?どんな切り口でも無意味だよ。ピリオド。だから、販促ジャブを打ち込んで当たれば八卦、当たらなくても八卦。これが販促現場の現実である。

だがネットでの関連購買を考える場合、やりようによってはクラスタ化がロジカルにできるのではないかと思う。ひとつの切り口が「画像/デザイン」である。

【画像を切り口にするクラスタ化】
わたしの通勤バッグはデザイナーPhilip Starckの品。発売当初ではなく、流通在庫をフランスから買ったという凝りようだった。携帯電話はデザイナー深澤直人氏のinfobar。デザイナー系譜を知る人であれば、この二人のデザインには接点があることがわかる。デザイン論を論じる場ではないので省くが、形やテイストにはその系譜が表れている。

Ms_01  01  スタルクと深澤、似てるだろうか?

デザインも今や3Dで解析されすべて数値化ができる時代。抽象的なデザイン論をぶちかますより、商売を考えるとき、デザイン(形状、カラー、素材)情報に多くのタグを付けることで、かなりの関連づけができるのではないだろうか。タグとは色番号、艶、柄、サイズ、パターン、暗さ・明るさ、好まれ度合い、嫌われ度合い・・・など。将来、デザインが入力時点から3D化され数値情報に置き換えられれば、画像(情報)からの商品選択行動の意味づけが可能になるのではないだろうか。

デジタル化で、画像情報の関連性が紐とければ、ある種のシステム手帳と万年筆の関連購買があることも、確率的にはレコメンドができるのではないか。色はもちろん柄でもデジタル・サーチができるなら、インテリアやファッションのレコメンデーションも「お、こんなぴったりの選択をしてくれるの!」ということになる。

好きなアイドルを5人分の画像を集める。それらを3Dで徹底解剖すればどんなアイドルのどこが好きだということが数値化できる。結婚情報サイトでの「マッチングの相手探索」によさそうな機能である。だがそれはあくまで外面である。内面・・・性格、遍歴、やさしさ度合いはわからない。内面のマッチはどうしたらわかるだろうか。それも「関連」かもしれない。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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2006年10月10日 (火)

クロスクリック・ショッピングモール: クロスセルにもアップセルにも耐えうるショッピングへ

【勝手にアドバイス:旬ネタ クロスクリック・マーケティング vol.2】
勝手にアドバイス:旬ネタ、2日目のテーマは「クロスクリック・ショッピングモール」。今のウェブサイトは、クロスセルにもアップセルにも対応していない。

昨日書いたように、お店の中をてくてく歩いて、「あ☆面白いものあるじゃない!これもあれもカートに入れちゃおう」がリアルなモールの購買スタイルである。今のネットモールの購買行動は、あるモールに入る、検索する(その逆もある)、見つける、モール内で価格と納期と配送料金を較べるならいい方だが、たいがいは価格comで価格を調べ、Googleに返って、また別のサイトをブラウズして、結局お客を逃すということが多い

【そもそも関連購買とは何だろうか?】
スーパーや量販店の棚割りにおいてときどき見られる「カテゴリーマネジメント」。懐中電灯に電池、パスタにソース、カレーに福神漬け、蕎麦に刻み海苔、鍋セットにポン酢を一緒に陳列しておく「ついで買いの誘導」である。

カテゴリーマネジメントを実施する際には、過去の販売データを分析して、カテゴリー間の併買の強さをはじきだし、A商品とα商品に関連があると仮説して陳列を変える。いやもっと簡便には、秋の運動会や遠足シーズン連想、秋の味覚連想、秋の旅行先連想など、生活習慣からの提案・発想である。目端の利く売場主任なら、特定のニーズやアイデアでエンド陳列を作る。たとえば「午後2時の睡魔に勝つ!ガム・キャンディ・チョコレート商品」もまた関連販売である。

何とか「もう一品」売ろうという心意気が、小売業からは伝わってくる。

【ネット・ショッピング・モールはフリマと変わらない】
ところがネットショッピング・モールは違う。たとえば楽天ここでは関連購買はまったく考慮されていないといっていい。A店で靴下を見つけた、それと同じ靴下で価格が安いところを見つける機能はある。だが、A店にあってB店にない色違いの品が見つかって、良さそうだからまとめ買いしよう!と思っても、別別に支払いをするしかない。送料も二倍になるし、受領も二回になる

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このショッピング・モールは、舗の出店料収入に関心があって、個々の業績向上には無頓着であることを示している。楽天大学というような機能もあるし、SEO向きの検索しやすいページ、キーワードをつくってください、メルマガで販促しましょう・・・それも大切だが、今の仕組みは単に価格競争だけをさせているだけといえなくもない

ここが楽天はITビジネスではなく、場所貸しのフリーマーケット・モールに過ぎないと揶揄される所以であろう。

【集めて較べるから、較べて併せるへ】
共同購買で業績好調のネットプライスは、この商品を買いたい人・この指とまれで、「人」を束ねたことが革新的であった。時間も場所も散在している人をぎゅっと一緒にするインターネットならではの機能を活用した。

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楽天に限らず、おおよそ今のショッピング・サイトは、たくさんの商品を「集める」、そして「較べさせる」ことばかりに目が向いている。それではいつまでもロングテール需要をコツコツと拾うだけである。ショッピング・モールが滞在時間と購買単価を本気で上げようと考えたときには、商品を較べさせ併せて販売できることが重要である。

本当にサイトを出展者全員で盛り上げたいなら、サイト内で併せて買ったら送料をまとめるサービスぐらいはほしい(最悪、別便発送になってもいいだろう)。併買の場合、配送料の半分を手数料としてモールに支払っても、出展者としては売れた方がいいのではないだろうか。

【どのようにクロスクリックを誘導するか】
ジャスト・アイデアだが、あらかじめクロスクリックが予想されるパターンがデータ集積できれば、その商品をクリックしたら、関連購買割引をその場で提供する仕組みを入れておくことも可能だろう。たとえばこうである。

A商品を買う→その商品に関連して「こんなB商品も買われています!」「提供するお店は違いますが、AとBを併せてご購入いただけるなら○%引きとなります」がポップアップで出たら、思わず買うだろう。もっといいのは、「目方でドーン(相当古い番組デス)」ではなく「買物カートでドーン」である。ざくざく商品をカートに入れて、レジに進んだとき、関連割引率でお会計がドドーンと出るのもいいかも知れない。

レコメンデーション(おすすめ)に工夫も入れたい。A商品とB商品を両方買ったお客さんには、個別商品ではなく、併せ買い体験のコメントを寄せてもらうように誘導する。そこでわかることがひとつ。現在のレコメンデーションはあくまで「個々の商品」に対してであり、そのサイトでの「ショッピング体験」ではない。お店としては顧客軽視ではないだろうか。

さらに言えば、モール内だけではなく、モールとモール、お店とお店の垣根を超えて、関連購買がワンクリック・レジができれば、もうリアルな商店街は要らない。だが、それこそ、インターネットが実現する本来のロングテールではないだろうか?

【ネット購買プロセスに‘関連(クロス)’を入れよう】
比較の上「ええ~い、これも買っちゃおう!」と言わせられるかどうかが勝負の分かれ目。わたしの同僚のM子さんなら、当座借り越しでも(笑)バンバン買うが、彼女は太っ腹だから。ネット時代の購買プロセスはこうだ。

「サーチ(検索)」「コンペア(比較)」「アクション(購買)」のプロセスの間に「関連(クロス)」を入れて、
「サーチ→コンペア→クロス→アクション」とする。

余談だが、次期ウィンドウズVistaにはタスクバーのシースルー機能が付くという。この機能がもっと進化すれば、画像をシースルーさせて、ブラウスとセーターとブローチを、画面上で重ね合わせシミュレーションすることはできないのだろうか?これこそ究極の関連販売!

Images821133  真ん中のファイル画面の裏が透けている。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

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Qooqle videoとGoogle youtube~北朝鮮のニュースにならって号外(笑)

北朝鮮の独裁的ニュースは興味不快だが、こっちのニュースは興味深い(最近ダジャレづいている)。

Google、YouTubeを16億5000万ドルで買収 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0610/10/news006.html

GoogleがYouTubeを買収すると発表した。Google VideoとYouTubeはどちらも運営が続けられる。米Googleは10月9日、米YouTubeを16億5000万ドルで買収すると発表した。買収は株式交換によって行われる。

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CNetにブロガーふじたやすしさんが書いている記事がなるほどと思った。
http://rblog-media.japan.cnet.com/0002/2006/10/google_youtube__68e6.html

ところで皆さんは「Qooqle video」というサイトをご存じだろうか。このサイトを用いて、YouTube 内にある動画を検索することが可能だ。しかも、検索結果の表示は YouTube のそれよりも優れていて、一つの動画についてサムネイル画像が3枚表示されるというモノである。

Video

たしかにGoogleぽくてyoutubeの検索よりも格段に優れている。最近検索されたキーワードがトップに出てくるのだが、「混浴」「おっぱい」「エロ」などという日本語が多いのが笑わせる。

それはそれとして、ふじたさんいわく、Googleは世界中の画像を入手して、随時発信できる、しかも聴取者が勝手にレーティングしてくれて、検索もできる機能を買収した。それも、当初は個人のビデオを配信するというコンセプトだったのが、それがいつの間にかNBCという大手メディアが付いていた。NBCの番組供給が付いてくるから2000億円でも安いのだ。

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とどめのニュース。http://journal.mycom.co.jp/news/2006/10/10/100.html

米YouTube、ビデオ配信でCBS、Sony BMG、UMGと提携
ビデオ共有サービスの米YouTubeは10月9日(米国時間)、CBS、Sony BMG Music Entertainment、Universal Music Group(UMG)との提携を発表した。

「メディア企業の新たな流通チャンネルとして、YouTubeは著作権保有者とユーザーコミュニティの要望のバランスを保った形で、インターネット上で最高のビデオエンターテインメントサービスを提供し続けられるように努める」とCEOのChad Hurley氏。

おいおい、2000億円でどこまで買うんだい?画像をめぐる戦いもマグニチュード5級である。

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2006年10月 9日 (月)

クロスクリック・マーケティング/ネットのクロスセルの強化

独裁国家で核実験があろうとも、今週は「勝手にアドバイス☆旬ネタ編」を書きます。テーマは「クロスクリック・マーケティングでクロスセルを強化」するには。

【勝手にアドバイス:旬ネタ クロスクリック・マーケティング vol.1】
今日の時点では、次の項目を書いてみたいと考えている。書いているうちにアイデアの詰まった場合は変更する。お許しください。

1.関連幻想を捨てよう: クロスクリック・マーケティングとは。(本日)
2.クロスクリック・ショッピングモール: クロスセルにもアップセルにも耐えうるショッピングへ。
3.ネット時代の顧客クラスタリング:デザイン~画像・デザイン・カラーでサーチできる時代へ。
4.ネット時代の顧客クラスタリング:クォリティ~関連のねじれ(洋服はユニクロ、腕にはロレックス)は分析可能か?
5.ネット時代の顧客クラスタリング:マインド~癒しサイト、癒しグッズ、癒しサービスはクロスクリックされるのか?
6.いくつかのクロスクリック・レコメンデーション:たとえばwine&songs、tickets&flower・・・


今日は第一回の「関連幻想を捨てよう: クロスクリック・マーケティングとは」。まず用語を整理しよう。

【クロスセル&アップセル】
マーケティング用語の「クロスセル(cross-sell)」とは、『ある商品の購入者または購入希望者に対して、その商品に関連する別の商品あるいは組み合わせ商品などを推奨することで、顧客あたり購買品目数の向上を目指す販売アプローチ』 

昔から関連購買分析はPOSデータでバスケット分析(つまり買物カゴ一回分の購買行動分析)を行ってきた。近年はカード支払いの顧客が増え、さらにお財布ケータイの登場で、買物カゴ分析から冷蔵庫分析ぐらいまで分析対象が広がってきた。

では、アップセルとは。ある商品の購入者または購入希望者に対して、購入あるいは買い替え・契約更新時に、その商品と同種でより上級(販売単価や利益率の高い)のものを提案することで、顧客単価の向上を目指す販売アプローチ。

【セリ~カを買いに行き、MR-2を買った女】
米国で車を買ったことがある人ならわかるだろうが、ディーラーに行ってそこにある車を買う」のが普通である。日本のように納車待ちということはあまりない。だから在庫車(ディーラーが仕入れた在庫)を買うのだ。傷が付いていたり、グレードや色が欲しいタイプでなければ交渉である。

わたしが居候していた米国のオフィスで働いていた妙齢のロビンは、親戚からのボタモチのような遺産が転がりこんで急にリッチになった。それまでTargetで買ったようなぺらぺらなシャツもテイラード・スーツになり、車も買い替えなきゃとなった。やはりToyotaがいいとなって、セリ~カ(と発音していた)を買いにある日曜日にディーラーに行ったが、帰ってきたとき乗っていたのはMR-2という、同じToyotaのスポーツカーだった。

V11374a セリ~カ  62 MR-2(いずれも95年モデル) 

セリカだってスポーツカーではあるが・・・。セリカは4人乗り、MR-2は2人乗り。セリカのエンジンは、MR-2のエンジンはにある。スタイルも性能も(たぶん価格も)ぜんぜん違うのである。急にリッチになったからか、おおざっぱなアメリカ人だからか、車に無頓着だからか、いずれにせよ、わたしにとっては、妙齢の女性の購買行動には法則らしきものはないと確信した瞬間であった。

だからというわけではないが、気の弱いわたしはup-sellにはよく引っかかるし、cherryさんのそそのかしにつられて衝動買いをするが、関連購買のワナにはあまりはまらない。それはなぜだろうか?

【Amazonの成功を支える循環型成長戦略の構図とは】
まずは「コストのかからない構造」を用意する、これにより「低価格販売」が可能になり、「顧客体験」が向上する。そうすると顧客からの「トラフィック」が増え、「商品を卸す会社も増える」。これは「(商品)セレクション」の充実につながり、それがさらに「顧客体験」を向上させる。また、Amazonならではの「使いやすさ」を向上させることも顧客体験を良くする。こうした良い顧客体験が再びトラフィックにつながる--この好循環がAmazonに成長をもたらすというのだ。
昨年の今頃、WPC Expoにおける同社シニア・バイス・プレジデントの発言。
(引用元 http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20089876,00.htm

Amazonにおける関連販売とは「最近チェックした商品」から入り、「おすすめ商品」、そして「郷さん(わたし)へのおすすめ」をクリックすると、チェックした商品の関連商品がずらりと並ぶのである。10月5日付けのブログにマリメッコ・マウスを買ったと書いた。それはAmazonで買った。今日、Amazonのおすすめをクリックすると、ちゃんとマリメッコ柄のマウスパットが勢揃いしている。だがわたしが買ったマリメッコ色はおすすめのトップになかった。そこまではAmazonはお見通しではなかった。まあしかしお見事である。システムだから当たり前だが、アホな店員にこんな芸当ができますか?

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しかも個々の商品ごとに「持っています」「興味がありません」のラジオボタンのチョイスがあり、評価も☆の数でできるのだ。Amazonのサイトは進化を遂げている。

しかしだ。それでもわたしはAmazonのおすすめで何か買ったことはほとんどない。このおすすめシステムにはAha!な感動があるし見事。だが買ったことはほとんどない。わたしがケチであることはさておき、奨められる相手が無機質なネットであって、ニッコリ笑う女性でないからということも(とても)大きいが、ここまで奨められても買わないというこの心理に、インターネットのクロスクリック・マーケティングのむつかしさがあると思う

【クロスクリック・マーケティングとは】
これは私の造語である。クロス(関連)とクリックをくっつけて、ネット用語仕立てとしたわけである。つまりネット上の関連購買を誘発するマーケティングという意味。クロスクリックにはまだ課題が多い。

ひとつはシステム上の課題。現在のインターネット・エクスプローラはFirefoxのようなタブブラウザでないので、ネット上の商品比較がやりにくい。

また女性のあっちこっち購買行動がネット上ではいまだ実現できない。K美さんは日比谷シャンテに立ち寄った。1Fでシャツを見つけた。あたし好み。だがちょっと待て。2Fに上がった。あらこのブラウスも素敵ね。でもまだ安くないわ。このプライスで買う気にまでならない。で1Fに降りた。例のシャツを手に取った。まてよ、あたしのワードローブの中のどれと合わせようかしら。ちょっとタバコを一服して考えようかしら。で紅茶。決め手は似合うジャケットね・・・

インターネットならクロスセルが簡単にできそうだが、たとえばショッピングモール楽天に行く。モールの中の複数のお店で併せ買いをしようとした。ところが個々の店舗で決済が求められる一緒に包装もしてくれない送料も別々である。商店街だから当たり前だろう、でいいのだろうか。ちなみにAmazonでも、同じ古本屋で二冊買っても包装料は二回分である。

まだ課題(というかチャンス)はたくさんあるのだ。

【勝手にアドバイス】
One-to-Oneマーケティング理論が発表されてから13年が経過したが、ネットがすみずみまで行き渡り、携帯電話で小学生まで捕捉できる時代になった。詳細なことがわかれば、それまでの理論が覆されるのは科学の領域では普通である。マーケティングでも同じ。購買行動はカードやお財布ケータイで逐一捕捉、RFIDのおかげで購買後の行動まで捕捉できる時代。昔の基準(年齢や世帯構成、収入など)のライフスタイルだけで顧客をくくる幻想は捨てるべき。

②それでは顧客をどうくくるか?くくらなくてもいいのか。くくっても客はカメレオンだから、ジャブレコメンデーション)で対応しようというのがひとつのやり方であり、もうひとつはクロスクリックで関連購買を誘発しようというカウンター対応。ネットがパブリックなものになって10年。お店の装飾(サイトデザイン)から、お店の枠を超えて「個々の商品やサービス」と「顧客行動」をダイレクトにクロスマッチできる時代。今週はこんなことを考えていきたい。

今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!

このブログは個人及び所属会社の活動の普及のために実施しています。記述内容は所属会社の公式見解ではありません。またその顧客やその商品などのPRや販売促進を目的としておりません。アフィリエイトと縁はありません。マーケティング・ビューからの個人的な見解であり、読者がこれに基いて何らかの活動をした結果に責を負うものではありません。報酬などを要求するものでも、やせ我慢でもありません。

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