ふと見回すと、いつの間にか眼鏡美人、眼鏡美男という人がかなり増えた。ひと昔前は眼鏡をしているだけで「・・・・」扱いをされたが、今やメガネはヘアスタイルと同じくらい重要なファッション要素になりつつある。
わたしも人並み以上に目が悪く、裸眼は失明と同じ語である。PCと10時間以上付き合うこの仕事で、視力はさらに悪化している。よし眼鏡を新調するか!と思えば、以前買ったとき(5年ほど前)と比較して、マーケティング環境ががらりと変化しているのに気づいた。
【勝手にアドバイス Vol.83 メガネはアイ・ウェアからアイ・ケアの時代へ】
そこで眼鏡市場の変化と、わたしが欲しい眼鏡という切り口で勝手にアドバイスしたい。
【売り手の変化】
ざっくり年代史を作ればこんな感じだろう。
1960年代 地元の眼鏡専門店の時代
1970年代 メガネドラッグを代表とする価格破壊チェーンの台頭
1980年代 量販店のさらなる台頭、地元眼鏡専門店の衰退
1990年代 コンタクトレンズ全盛を迎えて眼鏡市場の縮小が顕著に
2000年代 2/3プライス店の伸張、眼鏡美人伝説から眼鏡復権へ
現在の売り手はおおむね次のように分類される。
1.既存の眼鏡販売店
→国内生産地(特に福井県鯖江市が有名)をベースにする伝統的な製卸販の垂直統合
2.眼鏡量販店
→事業テーマはかつての「安売り」から「固定プライス(低品質)」から「固定プライス(品質重視へ)」
3.眼鏡起業家
→高単価のデザイン・素材品
→インターネットとリアルの併売で路地裏販売とロングテール販売を実現
眼鏡業界の分類では、以上の他に「デパート内の眼鏡売場」「SC内の眼鏡売場」などがあるが、実態として1~3に包含される。個人的には「メガネドラッグ」「メガネスーパー」などにお世話になった。
なつかしくも健在。
【眼鏡は着替えるもの】
いつも朝が早くて夜が遅い、もう若手とは言えない年齢に差し掛かった営業のODさんは、なんと眼鏡を5本持っているという。いずれも5,000円ぐらいで、いわゆる3プライスのお店で買っているそうだ。度数はぜんぶ一緒にしている。
5本持っているということを聞き出したのは、彼の顔がいつもと違ってるなと気づいたから。パステルカラーのビジネスぽくないフレームの眼鏡をかけていたのだ。彼は極端な例だとは思うが、低価格・均一眼鏡ショップのポリシーは「複数買わせること」である。そう、結局は年間顧客単価を一般のメガネ店並みにするのだ。
大手眼鏡alook(株式会社 メガネトップの店舗名)では、『着替えるメガネ』がコンセプトである。
4つのコンセプト=春夏秋冬。
四季で着る服のカラー素材、シルエットも替わるように「メガネ」も服に合わせて四季で替わっても良いのでは?という発想から季節ごとのリリース(中略)
生活における様々なシーンにあったメガネを考える(中略)
その年の流行や季節毎のカラー、またはディテールを見定めることで(中略)
(中略)「メガネ」から「アイウエア」という認識に広がることでさらに「楽しむ」範囲を拡げていくと言えるでしょう。
アルクでは5,250円、8,400円、12,600円のスリープライスだけでなく、30分以内に加工するスピードも命としている。これだとメガネを買うとういうより「ネイルケア」と似ている。ファッションや髪型にあわせて変える。だから流行や春夏秋冬の着せ替えがある(べしと主張する)。
「単価を追わず数量(本数)を追う」という一貫したコンセプトがあり、その点は理にかなっているが、使い捨てになってしまうことを助長するなら、今の時代に合わないと思う。
【眼鏡にはどんな種類があるのだろうか?】
☆素材から見ると・・・
「セルフレーム(セルロイドなどプラスチック系素材)」
「メタルフレーム(金属系)」
「コンビネーションフレーム(フロントの主要部分が金属とプラスチックの複合)」
「リムレスフレーム(コリア風)」
「ツーポイントフレーム」
☆形状から見ると・・・
「オーバル」「ラウンド」「ブロー」「アンダーブロー」「スクエア」他
☆価格から見ると・・・
「2/3プライシング」(5,000円、7,000円、10,000円)
「2万円クラス」(もっとも標準)
「高付加価値プライシング」(50,000~100,000円、スポーツ用途や超軽量など)
【マーケティング分類】
だが商品がデザインに走るというのは、「デザイン未満」から「デザイン以上」へ市場がシフトしたという証(あかし)である。つまり市場の争点が「機能」や「価格」から「デザイン」という嗜好の細分化の世界にメガネも突入した。その点から見れば、眼鏡市場動向は次のようなマーケティング的な分類が可能である。
①着せかえ需要(TPOでメガネフレームを変える需要の発掘)
②ネットショッピング需要(サイズを登録して気軽に通販)
③メッセージ需要(素材やデザインに特にこだわる)
④目の健康需要(目を酷使する職業や加齢変化への対応)
【着せ替え需要の事例と勝手にアドバイス】
メガネトップがいうように「着せ替え」というコンセプトは業界を変えてきた。着せ替えには春夏秋冬だけでなく、多くの需要が潜んいる。
・ウェディング・ドレスに似合うメガネ
・和服に似合うメガネ(以前紹介したソールワークと提携?)
・勝負服と勝負メガネ(今日のプレゼンは決めるぞ!というときのメガネ)
以上は例だが、ウェブサイトでロングテールでも受注ができるので、需要が細分化され際立った一物販売をしてみても案外「おっ」という需要があるかも知れない。
【ネットショッピング需要の事例と勝手にアドバイス】
わたしの勤め先のビルの1Fには「白馬山」というメガネ屋さんがテナントとして入居している。正直言ってかなり家賃は高いビルである。しかも1階である。狭い店舗だが家賃は高いので、お客さんも先客万来という感じではないので「いつ潰れるンだろう」と、ほんとうに老婆心ながら店の前を行き来していた。
一見無謀出店。だが潰れない秘訣あり。
ところが潰れないのだ。潰れないどころか、最近とみにお客さんが増えてきたようだ。その秘訣はどこにあるんだろうか?
夕刻、宅急便屋さんが集荷に来る時間帯にそのお店の前と通ってその秘密がわかった。ようするに「さおだ屋はなぜ潰れないのか」の逆なのだ。「さおだけ~」では、タケヤ~♪サオダケ~♪で軽トラで回っているのは、金物屋やサッシ屋のおとうさん。店舗にいてもブラブラするからその間働いてきなさい!と送り出される。
白馬山メガネショップは、店舗がネットショップの傀儡(かいらい)なのだ。そのお店から加工して、ネットショップ向けに出荷する方が、来店者向けよりよほど多いと思われる(推定です)。
良い売り方、良い説明、良いアフターサービスがあれば、今や小さな店舗もネットとリアルを行き来して生き残れる。しかも霞ヶ関という立地は信用創造にも寄与している。
【メッセージ需要と勝手にアドバイス】
竹メガネというジャポニズム、ご存知ですか?
竹製。
味わいあり。
竹という素材に最初驚くが、かけてみると次第に、自然に感じてくる。今まで何故、竹の眼鏡がなかったのかと感じる。このような自然素材を使った商品が、今後の産地の商品開発のきっかけになればと思う。素材の柔軟性の奥に、精神の柔軟性も見える商品である。 (この作品の表彰者のことば)
新潟華眼鏡(にいがた はなめがね)というサイト。亀山さんという方が運営者兼デザイナーらしいのですが、自然を大切にしながら、これまでにない日本的な商品を創った。この発想&デザイン。眼鏡界の武満徹と呼ぶべきか。
竹だけでなくブナ、シナなど、万年筆の特注イメージで加工する職人起業もロングテールである。
【目の健康需要への勝手にアドバイス】
やはり目には健康が一番。特にわたしのようにVDT(Visual Display Terminal)ワークには疲労回復が一番。そこで「眼精疲労対策レンズ b.u.i [ビュイ]」というのがある。無色レンズでやさしい光だけを目に届けるというレンズ。眼精疲労には良く効くという。
特殊レンズだそうで。
コンタクトレンズにはオルソケトラジーという「視力を回復させるレンズ」があるが、眼鏡でそういうタイプのものをまだ聞いたことがない。目をよくするレンズ(視力回復ではなくても視界回復でもいい)があってもいいだろう。
「アイグラス」から「アイウェア(装身具)」へさらに「アイ・ケア」へとコンセプトを発展させ、目に優しい香りを放出するヒーリング・メガネとか、目尻の小じわを取るアンチ・リンクル・メガネがあってもいいだろう(痛そう笑)。
今日は以上です。ではまた明日。Click on tomorrow!